傘はいらない
濡らされたズボンの不快さから逃げるように、雨の中を帰る 自分の体を伝う水滴を感じてふと考える
ぼくが濡らされている水はぼくの体から何か奪っているのだろうか、平等に、均等に濡らされている人々はまるで少しずつ雨に溶け出していくようで
ぼくの一部を伴った雨が流れ、巡り、充満していく。きっと海を眺めて懐かしさを感じるのはどこかに溶け出した自分自身を見つけられるせいなのかもしれない
明日の予報も雨のようで、曇り時々雨のようで
降るのは果たして何時のぼくなのやら
傘を持ち歩くように勧めるテレビを聞き流し、明日も濡らされていみようか。
いつかまたぼくと巡り会えるように




