恐怖の細道
今の時期、日が沈むのが遅く長い間明るい時間が増えていた。そのせいで遅くまで遊ぶ日も多かった。
「はぁー楽しかった。またね。」
私、千寿子はそう言って友達と別れた。
今の時間は午後7時。
いつもなら夕飯時と言って早く帰るように言われているが、今日は母も用事があって遅い。なので遅くまで遊ぶことができたのだ。
いつもの道を帰っていたが、ふと違う道から帰りたくなり途中から脇にそれ細い道へと入っていった。
その道はあまり人通りがなく、少し荒れていた。雑草がコンクリートの隙間から生え、今にも割れそうな勢いだ。
「ちょっと気味が悪いかも…。」
どこかでカラスが鳴いている。
カァーカァー。
歩いているうちにだんだんと霧が立ち込めてきた。
「やっば。急がないと…。」
千寿子は少し早足で歩くが、行けども行けども先が見えない。迷子になった気分だ。心配で手に汗をべったりとかいていた。
しばらく歩くと霧が晴れ、視界が良くなってきた。しかし、そこはいつもの見知った場所とは全く違う場所だった。
「えっ?道に迷った?」
千寿子は方向音痴ではなかったが、今回ばかりはお手上げだった。
そこはお墓だった。
しかも知らない場所。
戻ればいいのだろうが、腕時計を見ると時計が止まっているのか動いていなかった。なので正確な時間がわからない。
しかし道がない以上戻るしかなく、振り返った。その時お墓の方から音が聞こえた。てっきり誰か人がいるかと思ったが、気のせいだったのかカタカタと何かが当たる音が聞こえるだけだった。
「こわっ。早く帰ろ。」
千寿子は慌てて元来た道へと帰ろうとしたが、ジャリジャリと何かが歩く音が聞こえる。
何かがいる。
それが何かはわからない。
怖い怖い怖い。
恐怖が千寿子の心を支配する。
慌てて走り出したが、蹴つまずいてしまった。
「いった。でも逃げなきゃ。」
何から?
ふとそう思ったが何かがわからない。振り向く勇気はなかった。
ジャリジャリジャリジャリ。
「ヒー。」
慌てて起き上がり走った。しかしなかなか元いた場所に戻らない。泣きそうになりながら必死になって走った。
どれくらい走っただろう…ようやく元来た道まで戻ることができホッとして振り向いたがそこに道はなかった。
あの道は一体何だったのか今以てわからない。




