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不幸な騎士と幸せな魔王  作者: クレパス
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第一話:兄と弟


「死んでくれないか」


出会い頭にそう言われた

俺に死ねと言ったのは蒼い髪を短く切り揃えた痩せ形の青年

俺の双子の弟のルア・アリシエル


「・・・どういう意味だ?」

「どういう意味って・・・そのまんまの意味だよ」


セントラル王国にあるセントラル城

12人の騎士からなる騎士団に与えられた一室

そこに蒼い髪の青年が二人

一人はセントラル王直属の騎士

クレアス・アリシエル

もう一人はルア・アリシエル

同じ顔をした双子の兄弟であり

兄であるクレアスは騎士団長を

弟であるルアは副団長を王より任じられている


「俺らの王様が言ったんだよ。兄貴に死んでくれって」

「王・・・ミレス様が?」

「理由は兄貴が強すぎるからだとさ。もし兄貴が反乱の意思を持った場合、兄貴を殺せる人間はいなくなってしまう。だから俺が殺せ・・・と」


セントラル国王

ミレス・セントラル・リアスに仕えて8年

王は俺を殺せと弟に命じた

8年間一切の抵抗も躊躇もせずに王の命令を遂行してきた俺を


「俺としては兄貴を殺したくはないんだが・・・」


と、弟――ルアは言う


「王の命令は絶対だ。兄貴も分かっているだろう?あの路地裏ボロ雑巾のようになっていた俺たちを拾ってくれた王様が俺たちに何を刻んだか」


俺たち二人には親はいない

戦争孤児か、それともただの捨て子か

それすらもわからない

ただ弟と一緒に・・・16歳になるまで生きていた

そして王に拾われ、騎士にしてくれた


「分かっているのか?俺を殺したところで・・・次に殺されるのはお前だということに」

「分かってるさ。理解している。だが仕方ないだろう」


最強の騎士と呼ばれるようになった兄を殺せる弟

ならば王は弟も殺すだろう

兄と同じように

・・・いや、実際に俺にもその命が下っている

弟を・・・ルアを殺せと


「じゃぁな・・・兄貴」


だが俺は抵抗しない

王の命令を初めて自分の意志で拒否する

否定する

俺は弟を殺したくなどない

だから弟に殺される


「せめて・・・一瞬で殺してやるよ」


ルアは一瞬で俺に詰め寄り、手に持った剣を俺の心臓に深々と突き刺す


「あぁ・・・じゃぁな弟」


口から大量の血を吐き出しながら俺は絶命する

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