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母の疑惑

子どもたちは乗り込んできた。


私は、英に ありきたりの挨拶を交わし新幹線は動き出した。



そして、落ち着いてから英にメールをした。



「英のお陰で、彼とは、じっくり話が出来ました。本当にありがとう。

子どもたち、大変だったでしょ?また、遊びに来てやってね」



しかし、英からのメールの返信はなかった。




それから、二、三日が過ぎてお盆休みを迎えた。



私は、子どもたちを連れ、久しぶりに実家へ帰った。


すると、どうだろう~

母と妹が最近の私について あれこれと疑問の目を向けてきた。



解らなくもない。



家族四人が四日間も、全く連絡もなく雲隠れ。


その後の一泊二日も音信不通。


極めつけは、私がペニュキアを塗っていることに話は飛んだ!!



今までお洒落に関心のない私の変化に疑問をいだいている。




私は、言い訳をする前に弁解する余地も与えられず、

攻撃的な言動に また、そんな状況に苛立ちを覚え母に向かって声を荒げ、

子どもたちを連れて飛び出してしまった。



あの場で母に反発しなければ要らぬ詮索をされるところだった。



しかし、家に戻り、母に反抗的な態度を取ってしまったことに後悔していた。




その時、大阪から墓参りに帰ってきた英からメールが届いた。



私と母のやり取りを聞いて英は心配して、我が家に訪ねてきた。



「玄関の鉢植え、凄いことになってたわよ。

蹴飛ばしたのは、あんたでしょう?」




「そうだよ!あんまり酷いことを言うので‥腹がたったもんだから。

そんなに酷かった?」




「酷いってもんじゃないわよ。伯母さん、泣いてたわよ。どうしたって言うのよ」



私は、玄関先にある母が大切にしているラベンダーの大きな鉢植えを蹴飛ばして割ってしまっていたらしい。



何だか、母に見透かされているようで怖かったのだ。



多分、私にとっての防御策だったのだ。



「母親っていうものは、本能的に娘の気持ちが判るもんなんじゃないの」


と、英が言った。


「そうかもしれない!でも‥」



まさか母に、あんたの娘は あなたと同じ年の男性と不倫をしている。

なんて言えるわけがないではないか!!



母が心配して小言が増えてきたことは気づいていた。




私も、母に悟られないようにしなくてはならないのに用意が不十分だった。


が、嘘を上手く付けない性格だから‥考えものだ。





離婚を決めた私に母が言った言葉は、


“三人の子どもたちを あなたの人生を掛けて育てあげる覚悟があるならば、離婚を許す。

再婚をしないという約束を守れるなら

子どもたちの為に離婚をしなさい”


そう言ったのだ。


それは、再婚に対しての母の偏見かもしれないが、再婚すれば、子どもたちが不幸になると考えていたようである。



ともかく、母の許しを得るために、私は母と約束を交わして離婚を決意したのだ。



その代わり、母も 大勢の孫たちの中で私の子どもたちを特別に可愛がり、時には父親の代わりをかってでてくれてもいたのだ。



そんな母に、私の付き合っている人は‥



言えるはずがない。



亡き父が帰ってきているというお盆の夕べは悲しい一日になってしまった。




しかし、彼と知り合い 彼を愛してしまった私は、秘密にするしかすべのない恋愛を誰かに認めて欲しいなど考えていない。


この先、どんな果てが待っているのか想像もつかないけれど、今が幸せなら それで良い!



彼を信じて着いて行くしかないのであった。




『ゆき、お盆休みを有意義に過ごしてるかい?

僕は、久しぶりのゴルフに来てるよ。

僕は、やっぱり晴れ男だったよ。

今日もいい天気だったね。九月に、そちらへ行ける日が決まったよ。

24日は、どうかな?

一泊二日の予定だけど、ゆきの都合を聞かせてね』




『うれしい!!24日ですね。大丈夫です。本当にあなたは晴れ男ですね!!今日の天気予報では、全国的に天候が崩れると聞いていましたのに‥こちらも晴れていましたよ。私のお盆休みは最低です。


些細なことで母と喧嘩をしました』



『そうか。ゆきが、どんなに成長しても母親からすれば、子どもだからね。心配なんだよ。甘えてあげると嬉しいもんさ!!』



そう考えると‥私は、小さい頃から母に甘えることが苦手だった。




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