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オッサンの異世界記  作者: 焼きうどん
第一章:人→クワガタ→人へ
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続おっさん、大樹と話す

『さて、わしからおぬしに尋ねたいことがある』


唐突というわけでもないが、大樹がなにやら物々しげに声をかけてくる。

こうゆう時って物語だと得てして厄介事に巻き込まれたりするんだよな。おっさんそうゆうのノーサンキューなわけよ。


「黙秘権を使用します」


どうだ! きっぱりと断ってやったぜ。

おっさんはノーと言える日本人。上司が帰りに呑みに行こうと言っても奢り以外では行きません。奢りなら限りなく百パーくらいで参加するけどね。

ちなみにおっさんは25歳以上の女性(発育は平均以上)でないと興味がないので「新入社員の若い女の子達も来るんだよ」と言う誘い文句に踊らされない。ただし、「中川さん(36歳・既婚)も来るみたい」にはほとほと弱い。中川さん、美人で胸がでかいからね。おっさんの好みどストライクなのさ。人妻? おっさん的にはその響きは世界一のバイオリニストの演奏並におっさんの心を奮わせます。

ただ、肩にポンと手を触れただけで「セクハラですよ」と言われるのはいかがなものか……

その癖、他の社員の男(美形)に同じことされても「なに、偉そうにしてんのよ」とかまんざらでもない顔で言うんだよね。

不快感を感じたらそれすなわちセクハラ。日本政府よ……ちゃんと境界線を決めてくれ。あっ、今居るのはたぶん日本じゃねーからおっさんには関係ねーか。


『して、何を尋ねたいかと言うとじゃな』


ん? あれ? おっさん黙秘権使ったよね?

なんで話が進んでんの?


『人という種についてじゃ』

「はあ」


言っちゃったよ……

こっちが黙秘権使ってるのに聞いてきやがったよ。

これ、もう聞くしかなくない?


「どうゆう事ですか?」

『ほむ、人という種になりたくはないかということじゃ』


よくわからん。

でも、なりたいかと聞かれればなりたいわけだが……


「なれるんですか?」

『可能性の話じゃが……わしが見たところ、おぬしには人という種になれる可能性が高い』

「どこら辺がですかね?」

『その前に人という種がどうやって誕生したか知っとるかの?』


人がどうやって誕生したか。

これは歴史が苦手なおっさんでもわかる。

猿から類人猿。そして類人猿から人へと進化していくことで人が誕生したはずだ。いわゆる進化論だな。

まあ、アメリカなんかじゃ神様が全て造ったと言う創造論を信じてる奴がかなりいるらしいが、おっさんは断然進化論を信じてる。


「えーと、神様が造った。または別の生き物から進化した。この二つが考えられますが、私は後者だと思います」

『そう、それが正解じゃ』


正解って言われた。クイズだったの?


『人という種は進化によって元よりも優れた力を得た。まずはじめに妖精の中から進化した最初の人という種が現れ、自らをエルフと名乗った。次いでエルフが作り出した無機物に命を吹き込んだ物、つまりはゴーレムから人に進化した者が現れ、ドワーフと名乗った。次に四足の獣の中から進化した者が生まれ獣人と名乗り、その次は水の中で生きる者から進化した者は魚人と、最後に二足で歩行する猿は人間と名乗ったのじゃ』

「そうですか」


だからなんだよって話。

つーか人間はやっぱ猿から進化したのな。獣から進化した点では獣人とやらと同じだが、きっと獣耳がないのだろう。あとは、見たことないからわかんね。


『その進化した条件はなんじゃと思う?』

「さあ? わかりません」

『少しは考えて欲しいんじゃがな。まあ、よい。人に進化したものにはある共通点があったのじゃ。それは……知恵と魔力。そしてその魔力を扱う技術じゃ』

「なるほど」


わかったようなわからないような……

で、それがなんでおっさんが人になりたいかどうかの話に繋がる?


『わしはおぬしを見て、言葉を交わした。その結果、おぬしは人と同じような知恵を持っているとわかった。いや、おぬしの言葉を信じるならば人であった存在がスタッグビートル種へと知恵をそのままに生まれたことになる』

「……要約すると?」

『わしは長年生きてきた。そのうえで、初めて人へと進化できる可能性を持つ虫を見つけたのじゃ。じゃからおねしが人に進化したいと言うのならば、手を貸そうと思っての』

「なんでそんな一文の特にもならないことを?」


ぶっちゃけ裏があるだろと勘繰ってしまう。

おっさん、これでもドロドロした大人の世界にいたからね。

こうまで親切にされることに抵抗感があります。


『ほむ……いいじゃろう、話してやろう。まず、最初にエルフに進化した者はタファンの森という場所に現れた。ドワーフもタファンの森が最初じゃ。次に獣人はバコタの森で生まれたのじゃ。魚人はどっかの海。人間はテロンの森の猿が進化した種なのじゃ』


どこで進化したとかどうでもよくね?


『で、根っこワークで一年に一度超長距離根っこワーク会議があっての』


もはや根っこワークはどうでもいいんですけど。


『あいつら何年経ってもそのことを自慢げに話して悔しいんじゃ!』


……は?


『じゃからおぬしを進化させて、新たな人の種に立ち会うことで自慢したいんじゃ。じゃから、な? 一緒に頑張ろ?』


こいつ、他の木に自慢してーだけかよ。


「やってやってもいーけど、世の中はギブアンドテイク。おっさんが進化することであんたは他の木に自慢出来る。だけどおっさんにあんたは何をくれるわけ?」


おっさんの中で大樹のランクが下がったことで発言がかなりおざなりになった。

ちなみに人に進化出来るならそれだけでおっさんには利益がある。

しかし、相手にお前が言うから仕方なく進化してやるんだぜってスタンスになることによって恩着せがましく、もっと色々な物を引き出そうとこ狡い活動中です。


『ほむ、それは進化できてから決めようではないか』


……腐っても(物理的には腐ってないけど)一万年以上を生きる大樹か。

ここで了承すれば、進化出来たとしても「ほむ、進化できたんならそれで十分じゃないかのぅ」とか言い出す畏れがある。なんとしても言質はとっとかねーと。


「なんか役立つもんくれ」

『とは言っても、所詮わし木じゃし』

「一万年生きてるならなんかあるだろ」

『ほむ……そうじゃな。ならばわしの力を与えよう』

「与える? どうやって?」

『わしの力を濃縮して実を付けるんじゃよ』


おっさんには大樹が不敵に笑ったような気がした。



まず初めに、この物語はファンタジーです。

猿から人に進化するには何十年、何千年、何万年かかったとか言うツッコミは聞きません。

なぜならファンタジーだからです!

大切なので二度言いました。

納得できない部分はこれでどうにか誤魔化してください。

なお、ファンタジーでも説明出来ないような疑問があれば質問はありです。答えるかどうかは別ですが……

ただ、出来る限りは答えたいとは思います。



作中に出てきた中川さんですが、私の書き方のせいで感じ悪い人に見えるかもしれないですけど、実は悪いのは全部オッサンだったりします。一人称なのでそこらは書けませんが、悪いのはオッサン。これだけはわかって欲しい。

ちなみに裏設定では中川さんはオッサンと同期入社。

機会があればそこらも書こうかな……



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