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狂次郎の半生  作者: 木介


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2/2

狂次郎の死後

不倫・窃盗・殺人・悪酒・嘘。

地獄とは賑やかなもので様々な人の罪に対して様々な罰がある。

鬼から逃げれば斬られて骨を砕かれる。

鬼に捕まれば舌を千切られ目をくり貫かれる。

業火に焼かれ全身の痛みで気を失う。

気がつけば元に戻りこれを永遠に繰り返す。

これはごく一部に過ぎないが、狂次郎もまたこのような罰を日々受けていた。


皆、泣き叫び逃げ惑う、それは恐怖からでは最早無い、ただ正気ではいられないのだ。

そんな地獄を永く過ごした狂次郎だったが、ここで彼が行ったのは人助けであった。

逃げている人を助け、捕まった人を助け、業火に苦しんでいる人を助けに行った。

この行動自体、地獄では無駄な行為であったが生きている間は退屈で仕方なかった彼に取って今が充実した日々であり、皮肉な事に死んでから初めて生きる事の意味を得ていたのだ。


この行いを神様は見ていた。

彼自身元々は悪い人間では無く、彼の環境に問題があった点、彼は生前多くの人を傷付けてはいたが誰も殺してはいない点。

今の心持ちであれば、もう地獄から天国へ引き上げてその魂を現世へ戻しても良いと神様は彼を天国へ引き上げた。


地獄を抜け出し天国へきた狂次郎、ここで現世へ戻るまで過ごす事になる。

地獄と違って静かで苦しみとは無縁の世界。

周りは一面の白が続いており、雲の上と人が表現する理由に納得がいく。

この世界で一人穏やかな時間を過ごしていたが、心地よい光にいつの間にやら眠ってしまった。

目覚めた狂次郎は(天国とはなんと退屈な所か)そう思い自らの舌を千切るのだった。


次に目を覚ました時は地獄にいる事を願って。


(了)

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