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狂次郎の半生  作者: 木介


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1/2

生前の狂次郎

狂次郎は地獄へ堕ちた。


この男の人生を振り返ればそれは至極当然である。


狂次郎は裕福な家庭の次男に生まれ、豪華な食事、綺麗な服、最高の教育、そして何より将来を約束された人生であった。

次男坊という事もあり両親は甘く、使用人へ横柄な態度をとっても、狂次郎の行動を注意出来る人物などいなかった。

故に狂次郎は退屈であり、常に他人を見下していた。


これが当たり前の狂次郎にとって、自分が他人と違う事に気付いたのは学校に入学して間もなくに感じた違和感だ。


(なんでこんな簡単な事が出来ないんだろう?)


幼き狂次郎はその違和感を素直に相手へ伝える、相手も子供であった故に当然喧嘩になるが狂次郎は教わっていた護身術を使い相手に大怪我を負わせたのだ。


この時は目の前で血を流して泣いている相手を見て、狂次郎は悪い事をした気持ちでいっぱいであった。

駆けつけた先生に叱られて狂次郎は我慢出来ずに声を上げて泣いた。だがこの後狂次郎が責められる事は無い、何故なら【相手が先に手を出してきて狂次郎は自分を守ったに過ぎない】という結論になったのだ。


何故そうなったのかという疑問があったが

狂次郎の中で(別に何しても良いんだ)と彼の今後を大きく変えた出来事である。


次の日狂次郎を叱った先生は学校におらず、子供から大人まで学校内で狂次郎に逆らう者などいなく、狂次郎は学校でも退屈であった。


その後、狂次郎は他人を物のように扱い命令するのが当たり前、命令を実行出来なかった者に対しては教育という名の暴力を振るっていた。

大人になってもこの狂次郎の言動は変わらず飲食店などの施設では言葉での教育を行っていたが名家のご子息という有名人であったが為に許されていた。


退屈な日々を送っていた狂次郎はふとある光景を目にする。


働きもせず昼間から路上で酒を浴びているような人物が何やら楽しそうにしているのだ、狂次郎はそれが許せなくその者へ教育を行った。

自分を知らない者が地に伏して許しを請うさまはこれまでの人生で一番の興奮を覚えた。

これを狂次郎は【世直し】と称して、相手が許しを請えばアタリ、許しを請わず動かなくなればハズレというルールを付け遊んでいた。


この遊びにも退屈し始めた頃、その気の緩み故か追い詰められた者の抵抗に偶然命を奪われてしまった、言い方を変えれば狂次郎に天罰が下ったのである。

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