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キャンパスでは「ご安全に!」  作者: リオン/片桐リシン
015-挨拶の効用 全3話+3話
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015-挨拶の効用 1 <防犯対策、盗難対策としての挨拶>

誤字のご指摘感謝いたします。

年を取ると字が見えにくくて(言い訳です。)

朝5時に投稿するのも行けないのかしら...駄洒落です。

 「おはよう!」

朝、まだ暗い廊下で他人を見かけたら、安野は大きな声で挨拶をする。小中学校で行われる朝の「あいさつ運動」ではない。防犯対策である。

 安野の朝は早い。今はまだ午前5時である。そのため、廊下の電気は消されており、人はほとんどいない。その様な薄暗い廊下で佇む人は…不審者だ。

 電灯をつける。少し離れた場所からそのような人影に大きな声で再度、挨拶をかける。

 「おはよう!」

もし、その人物に後ろ暗いことがあれば、何も言わずに逃げ出すはずだ。自分も本当は逃げ出したい。でも、大学のスタッフとしての矜持もある。逃げられない。大きな声は威嚇の意味の他に自分を奮い立たせる意味もある。


 「あ、安野先生。おふぁようございます。」

不振な人影は隣の研究室の修士の学生だった。

 「何だ。徹夜かな?」

 「ふぁい。泊まり込みです。6時からに測定を行うので…いま起きたところです。」

 「廊下の電気ぐらい付けとけよ。 不審者かと思ったぞ?」

 「不審者ってひどいなあ。」


 《不審者だったらどうしよう?》と不安に思っていた安野は、ホッとし、肩の筋肉の緊張を解いた。


 「無理はするなよ。」

 「それはうちの先生に行ってください。安全のために学生に無理をさせないように、是非一言、先生からもよろしくお願いします。」

安野は苦笑いを浮かべる。

 「そんなこと、言えるわけない。」

 「どうしてですか?」

 「だって、君のとこの先生、怖いもん。 そんな不安全行動できないよ。」

学生がガックリと肩を落としてトホホと笑う。


 大学では盗難事件が発生しやすい。席の確保のために食堂の机の上に鞄をおいて配膳を受けにいく者がいる。席を取るために、教室の机の上にパソコンを広げてその場を離れる奴がいる。そんな置き引きホイホイは論外だ。

 昼間、研究室や学生居室の扉の鍵を掛けていないことも多い。ご丁寧にドアストッパーを使って扉を開け放している。しかもそのような部屋には換金しやすいノートパソコンが机の上におきっ放しになっている。最近の学生さんは、スタイリッシュでお尻のポケットに入れていた財布をわざわざ机の上におきっ放しにする。女の子はポーチを机の上におきっ放しにする。研究室はプライベートスペースだから知らない人ははいって来ないと誤解している。そのように無防備な研究室も泥棒さんには絶好の狩り場だ。

 せめて扉は締めておこう。誰かが部屋にいるかもしれないと思えば、泥棒さんも入室して来ない。しかし、最近は密室でのセクハラやアカハラ防止のために、扉に透明のガラス窓があり、室内を見渡すことができる。防犯対策とハラスメント対策が二律背反でぶつかる。 困ったもんだ。


 「先生! いらっしゃいますか?」

聞き慣れない声だ。他所の研究室の学生かな? 大声で返事する

 「ハ〜イ!どなたかな?」

 「あ、何でもないです。」

何でもないことはないだろう。極めて不自然だ。


 部屋の入り口に向かう。もう誰もいない。隣の部屋の学生に声を掛ける。

 「お〜い。誰か呼んだか?」

 「「誰も呼んでません。」」

複数の学生が答える。

 「不審者だ。デフコン4だ。声かけ事案だ。 泥棒さんの下見かもしれない。他の研究室にも情報を流せ。」

学生が廊下に飛びだす。

 ここ大学院棟はいろいろな学部の研究室の寄り合い所帯だ。普通は研究室間の連携は取れていない。しかし、うちの大学院棟は学部を越えて連携ができている。うん、喜ばしい。 


 この連携は一朝一夕でできたわけではない。


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