祈りは届くと信じて
国王は自分の城が無茶苦茶になっていたが、冷静であった。
このような苦難は幾度となく過去にあったし、なにより家族が無事なら、なん度でもやり直せると信じているからだ。
国王は城の王座に頬杖をついていた。
ナルハ王妃「なぜ、帰りが遅くなったのですか」
心配と少し怒り交じりに尋ねる
国王「首脳会議中、魔王軍精鋭部隊と名乗る集団から襲撃を受けてな、もちろん返り討ちにしたが、その戦いが長引いてしまった」
ナルハ王妃は恐怖から解かれたように夫に抱き着く。
怖かった・・・
国王は妻を抱きしめた。
国王(魔王が復活したようだな・・・遠くの地から奴の魔力を感じる・・・)
国王は昔、仲間とともに魔王を倒した功績がある。
勝利した者は人生が好転する。敗者は一瞬で積み上げてきたものが崩れる。
しかし、「リベンジ」という原動力は、魔力や身体能力、知力よりも、脅威であり恐ろしく、そして強い。
なんか、この国どんよりしてるな。
ラタ王子は城の屋上からフェンスに寄りかかりこの国一面の人々の様子を見ていた。
街の人々は皆悲しみと不安に苛まれていた。中には暴動を起こすものもいる。が国王により急遽派遣された雇われ魔法使いによって魔法で拘束されていた。
執事「致し方ありません、一気に経済が右肩下がりになり、国そのものが崩壊する危険がありますので」
ミラーは一人になりたくて屋上にあがってきたのだが、二人の先客がいたため帰ろうとした。
しかしあの二人に一言いいたくなり、立ち止まる。
ミラー(なぜ、あの時、戦いに加勢してくれなかったのか)と。その言葉は喉まで出てきそうになったが胸の奥にしまった。
元々ラタ王子たちはこの国の者ではないし、そもそも自分はあの時恐怖で震えて何もできなかったのに、そんな発言をするのは最低な行為だと思った。
翌日、国王はある村の長老と会議をし、この劣勢を打破する手段を見つけた。
その方法とは選ばれし者だけが引き抜ける伝説の剣を引き抜く人間を探す。というものであった。
この国の端っこにある巨大な岩にその剣はぶっ刺さっていた。
しかしその岩の周辺には誰が張ったか分からない謎の結界がありその結界はまるでその剣を守っているかのように強力なものであり、雇われ魔法使いとともにそれを調べると、どうやら選ばれし者にのみその結界を破らずとも通過できる仕組みと言うことが判明した。
国の人々はその選ばれし者が現れるのをただひたすら祈り待ち焦がれていた。
それは、ミラーも同様に教会に毎日訪れ。選ばれしまだ見ぬ王子様、私たちをどうか救ってください。と神に祈りを捧げる。
しかし待てど暮らせどそんな救世主は現れず、10日が過ぎる。
明日は魔王軍幹部アテラが無茶苦茶な年貢を要求しにやってくる日である。