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“復讐”の兵士(ソルジャー)  作者: 普通の人間
2/2

序章2

とりあえず書いたものです。

ストックはありません。

「グ、グヌヌヌヌ……」


儂は誇り高き竜の一族の最後の赤竜、レッドドラゴンと人々からは言われている。


そして、邪悪の対象ともな。


全く、儂が人、などという下級生物に何をしたか。


儂には心当たりが無い。


多分じゃが、儂のような上級生物を恐れているから、殺す。


人は臆病な生き物じゃからな。


すぐに脅威となるものを殺したくなる。


全くもって短絡的思想。


自分たち以外の生物を家畜などにしないと気が済まないのか奴らは?


本当に、くだらない。


だが、その下級生物に右翼がやられたのは事実。


なんじゃあの筒は。


威力が段違いではないか。


儂の3重にも掛けた魔術無効化の魔法陣が無駄になったでは無いか。


く、左翼だけでは体が浮かばせられぬ。


ギリギリで積乱雲を呼べたのは良かった。


呼べなければ儂は死んでたな。


おお怖い怖い。人間というものは。


そうして考え事をして落ちていると、そろそろ地面に着くではないか。


ここは山岳の一帯かの?


森であれば少しであるが身を隠せる。


身を隠してその間に回復魔術でも使おうではないか。


どぉおぉん!!!


大きな音を立て儂は着陸した。


大きな音の原因は風魔法で儂を安全に浮かせる+炎のブレスで周囲の木を消し炭(消し炭にしたらなんからんが火がつかんかったわい)にしたためじゃ。


まぁここなら安全に回復できそうじゃな。


よし、回復魔術でも……あれ?


ここに、魔素がない。


魔素が無いということは、


魔術が使えない。


な、なんじゃと、何故、ここに魔素が存在しない?


さっきの風魔術分の魔素しか存在しなかったということなのか……いやしかし……ふむ。


不思議なこともあるものじゃの……と悠長に考えている暇は無いようじゃ。


このままだと出血で死ぬな、儂。


く、人間に図られたということかの。


下級生物と認識していたら、こうか。


傲慢さは捨てろとたくさん言われたが、傲慢さなど捨てきれんかったわい。


捨てた奴らから殺されていったことを儂は覚えている。


人の手に下って死ぬのなら孤高に死ぬ、と決めていたが……


いざと言う時に死ぬのは怖い。


怖いのぅ。


まだ、空を飛んでたかったわい。


ああ、意識が薄れる。


儂は、







わしは……







……





















































チュンチュンという鳥のさえずりで、俺は目が覚めた。


「う、うん……」


「おはよう、____♪」


「……ああ、おは、!?」


俺は急いでベッドから飛び降りた。


「……な……」


「昨夜は激しかったよ〜♪本当に沢山……弄ばれちゃった……」


ポッ、と両手に手を当てていた。


エリナはとても幸せそうだった。


「……」


「なに、どうしたの?」


「……あ、あのさ。」


「うん。」


「服、着てくれないか。そ、その目のやり場に困るから、さ。」


「あ、そうだね。うんうん。着替えてるからこっち見ないでね〜」


「……あ、ああ。」


俺はすぐに後ろを向いた。


本当に、俺は、昨日、エリナとしたんだな……


そうまじまじと思っていると、


「ねぇ……?」


後ろから突然エリナが抱きついてきた。


「……な、なに?」


俺は動揺しないようにした。


「あのさ……私、気持ちよかった……?」


少し震えた声色だった。


「……ああ。気持ちよかったよ。」


俺はそのまま、思っていることを伝えた。


本当に、幸せだったんだ。


とても、嬉しかったんだ。


「うん、それなら良かった。うん本当に……良かった。」


抱きしめてくる腕が強くなっていた。


やはり振り退けられない、不思議な力がエリナにはあると思った。


これが、愛、なのかもな。


まだ、分からなかった。


しばらくそのままでいたら、


「あ!お、お腹すいたでしょ!な、何か食べる?」


とエリナが俺から離れて言ってきた。


「……俺の家には何も無いから、領主の所に行ってパンを貰わなきゃ……」


「それなら私が貰ってくるね!」


「……あ、いいよ俺が行くから。」


「いいの!私が行きたいんだから!行かせて!ね?」


と上目遣いで言ってきた。


流石に俺も何も言えず、


「……このお金あればパン貰えるから、よろしく。」


「うん!任された!」


そのまま走って俺の家から出ていった。


「……本当に早いな。」


俺は下着1枚だっため服を着る事にした。


そして着ている途中、コンコンとドアから音がした。


「なぁ、ゼクスだけど、開けていいか?」


衛兵の隊長、ゼクスからだった。


「……まだ服を着替えているので、少し待ってください。」


「おう邪魔するぜ。」


と待ってはくれなかった。


「……なにがあったんですか隊長……」


俺はため息をつくしかなかった、が。


彼の額には汗が滲んでいた。


相当焦っていると思われる。


普段焦っている隊長を見たことは無いので、不思議だった。


隊長は、


「なぁ、信じるか信じないかはお前次第だけどよ……」


と変な感じで言ってきた。


「どういうこと、ですか?」


「そ、そうだな、つまり……ええっとその……な。」


ゼクス隊長は言葉を濁らせていた。


「早く言ってください。朝食を待ってるんですよ。」


少しこの状況にイライラしていた。


俺はエリナと朝食を食べたいのに……


「ああ、分かった分かった。」


「早くしてください。簡潔に。」


「簡潔に言うぞ、レッドドラゴンが落ちてきて、それの探索、を将軍閣下からの直接の指示が出たんだ。それも大急ぎでな。」


「……は?」


一瞬何を言っているかの理解が出来なかった。


レッドドラゴンだって?


あれは、本でしか出てこない空想の生物なのでは無いのか……?


「だから、急いで準備しろ。」


「……意味がわからない。」


「四の五の言っている暇はないんだ。急げ!これは隊長命令なんかではない、将軍閣下のご命令だ……!」


隊長は珍しく真剣な眼差しで見てきた。


普段は少しお茶らけた人物だが、今だけは、すごく真剣だった。


「……俺は先に探索をしている、お前も急げよ。それじゃ、また後で。」


まるで、何かを握られているかのように。











「パン貰ってきたよ____くん……ってあれ?」


「おーい____くん!!って。」


「あれ、居ないのかな……?」





































「はぁ、はぁ、はぁ……」


あれこれ日が1番上で光る時間まで、俺は森の中でレッドドラゴンを探している。


それなのに一向に見つかる気配がしない。


「……何処にいるんだよ……」


俺は一刻も早く俺の家に帰りたかった。


エリナと一緒にご飯を食べる。


そしてゆっくり読書をして、そしてエリナの家で今日もご飯をお世話になって……


といろんな妄想を膨らませながら探していた。


だが、不思議なことがあった。


「……何故、動物が居ない……?」


不自然なほど、動物が居なかったのだ。


普段は勝手に寄ってくる虫ですら居なかったのだ。


これは、森の緊急事態みたいなものだな。


普段だと地震の前兆だったりするが、明らかにそういう気配は雲を見ても有り得なかった。


本で見た事がある。


上級生物、主にドラゴンが地上にいる時、下級生物である人以外の動物はドラゴンに恐れをして隠れてしまう、と。


個人的には噂や空想の話だと思ってはいるが、明らかにその話を信じた方が良さそうだ。


「……有り得ないは通用しなそうだな……」


そして俺は更に、更に森の深くまで探していた。


そして遂に、明らかに山の中腹辺りに、不自然な森林火災の跡が見えた。


見た感じだと、全て炭になっていた。


普通の火事でもそこまではならない。


やはり、異質な事があったということか。


俺は向かって行った。


少しずつそこに向かっていくにつれ、明らかに周囲の温度が高くなっていくのを感じた。


警戒の為、鎧を着ていたが、暑すぎて寧ろ苦しかった。


「……流石に許されるか……」


許されると思い、俺は最低限胸や脛、小手にのみ鎧を着け、あとは全て外した。


軽くなった為、移動しやすくなった。


またこれなら暑さにも耐えられそうだった。


そして、俺は火の元へと向かって行った。


向かっている途中、


「……ギュ、ギュ……」


不思議な鳴き声が聞こえた。


鳥の鳴き声でもないし、狼や猪の鳴き声でもなかった。


そう、聞いたことの無い鳴き声だったのだ。


近づくにつれてどんどんその鳴き声は大きくなっていった。


そして、中心付近に着いた。


「……はぁ、はぁ……!?」


疲れながら着いて近くから見たのは、赤い皮膚をしたトカゲっぽいものだった。


しかし、トカゲとは違う。


何故なら、あれには羽が生えていた。


それはとても大きく、空の王者という感じにしか見えなかった。


だが、右翼は大きな穴が空いていた。


そして、この生物は、


目を閉じていたのだ。今にも死にそうな顔をしていた。


「……おい!大丈夫なのか!」


気づけば俺は何故だかこのトカゲっぽいものの近くに向かっていた。


本当になんでだが、俺には理解できなかった。


しかし、助けなければいけないと思ったのだった。


そしてさらに近くに行くにつれ、皮膚だと思っていたものは鱗であったり、巨大な爪や顎、歯などがあったが今の俺には些細な問題であった。


「……おい、大丈夫か……と言っても人の言葉なんて分からないか……」


「……分かるわい……」


「う、うわぁ!」


俺は思わず尻もちを着いてしまった。


まさか人の言葉を喋るとは思わなかったのだ。


「……全く、儂がゆっくりと寝ているというのに……下級生物というやつは……」


目の前のやつは溜息をついていた。


「……そ、それはすまない……」


「うむ、次からは気をつけるように、じゃぞ?」


「……はぁ……じゃないよ、おまえ、その羽……」


「ああ、この羽か、大丈夫じゃ大丈夫じゃ。」


「……これが、大丈夫であるものか……」


目の前のやつの肉体は、とても凄惨な事になっていた。


殆どの鱗は色が変色していて、羽は右翼だけが穴が空いていると思ったが、左翼も所々傷がついていた。


「……おまえ、名前は……?」


俺は、気づいたら、そう尋ねていた。


不思議だが、俺は目の前のやつと話せるという気がしていた。


「……うむ、儂の名前を聞こうとは……下級生物でも面白い奴がいるものじゃな。」


「……ああ、俺は好奇心旺盛だからな。」


俺は変な解答をしていた。


我ながらなぜだかわからなかった。


「ギャハッハッ!!不思議な回答じゃのう?良いだろう!教えてやろう!儂の名は、最後の赤竜レッドドラゴンじゃあ!!!」


そう言い高い鳴き声を出すと、周囲がとてつもなく揺れた。


俺は、ただ見ていることしか出来なかった。


そう、レッドドラゴンは、とても美しかったのだ。


エリナも美しかったが、それとは種類が違う。


レッドドラゴンの美しさは、その傲慢さと唯一無二の強さだと本には書いてあった。


あの本の作者は、レッドドラゴン似合ったことがあるのだろうか、と思った。


強さと傲慢さ、そして不思議な麗しさを感じた。


言葉では、表現ができなかった。


表現が、言葉が足りなかった。


「ふむ、どうしたかの?」


「……レッドドラゴンの美しさに打ちのめされていたよ……」


レッドドラゴンは大きな目をぱちぱちさせた。


「ギャハッハッ!!う、美しさに打ちのめされたかのか!!わかる、分かるやつじゃなお主!よし!気に入ったぞ!」


するとレッドドラゴンは爪で俺の服の襟をつまみ、レッドドラゴンの背に乗せられた。


「な、なんなんだ!?」


「ちと気に入ったからのう、儂の背に乗り空を見ようぞ!」


「お、おまえ羽が傷ついて……!」


「なぁに、大丈夫と言っておるじゃろ?それ、ギャア!」


「う、うわぁ!?」


そうしてレッドドラゴンは浮かび始めた。


右翼も左翼を震わせて、空を……


「やっぱ無理じゃ……の!」


少し浮かんで落ちてしまった。


「……やっぱり大丈夫じゃ無いじゃないか。」


俺は呆れてしまった。


「そ、そうじゃな……やはり回復魔術が使えないのが難点じゃの……」


「……魔術?」


「……?どうかしたのか?」


「いや、魔術って何かなって思って。」


そんなことを呟いたら、レッドドラゴンはぽかんとしていた。


「……ど、どうしたんだ?」


「ま、魔術を知らないじゃ、と?」


「さっきなら何を言ってるんだ。魔術は空想の話でしか俺は聞いたことはないぞ。」


そう言うと、


「ば、ばっかもーーん!じゃな!!」


と、大きな鳴き声で叫んだ。


「……う、うるさい。」


「うるさいなのではない!お、お主、魔術を知らんと言ったな?空想の話と言ったな?」


「……そ、そう言ったが?」


「魔術は存在するぞお主。」


レッドドラゴンは淡々と、至極当たり前かのように言った。


「……だけど俺は見た事がないぞ、魔術。」


俺の周りでは「魔術」という単語は聞いたことがなかった。


俺は本の中の物語に頻繁に登場したりするもの程度の認識しか無い。


「それはここら一体の魔素量がとてつもなく薄いからじゃな。」


「ま、魔素?」


「お主、魔素も知らんのか……」


レッドドラゴンは呆れながら溜息をついていた。


「……な、なんだよ」


「いや、そこまで逆に魔術を知らないという下級生物は初めて見たものでの。」


「……そ、そうなのか……」


「そうじゃ。いいか、魔素というものはの……」


「……たしか魔術を使う為の力の源……じゃ無かったけ?」


「……お主、今分からぬと言ったであろう?」


「……あくまで本の知識だよ……」


本では、魔素や魔術の説明は見た事はあった。


所詮は夢の話、空想の中の設定だと思ってはいたが……


「……うむ、「本」という下級生物が残す叡智の書物で分かってはいるようじゃが、その「本」と儂の言っている事に矛盾が無いか聞かせておくれ。」


「……ああ。」


「まず、魔素はさっきのお主が言った通り、魔術を使うために用いる力じゃな。普通は空気中に含まれておるのじゃが、何故かここでは魔素が薄い、という事では済まされないくらいの魔素の薄さじゃ。」


「……そうなのか?」


「うむ、普通の空気中の魔素量を100、とするとここには1くらいしか存在せん。ここは魔術が栄える土地では無いようじゃな。」


「……だから魔術という単語に聞き覚えが無かったのか。」


「魔術など使えなければただの夢の話みたいなものじゃの。」


結局、ここには魔素がなかった。


だから俺は魔術の存在を今まで分からなかったということが分かった。


しかし、魔術ということを聞くと、


「……あの、例えばさ。」


「なんじゃ?」


「……俺も、魔術を使えたりするのか?」


「うむ、無理、じゃな。」


「……え?」


レッドドラゴンはキッパリ無理と言って切り捨てた。


「……ど、どうしてなんだ?」


「理由?そんなの決まっておるであろう。」


レッドドラゴンはたんたんと語り始めた。


「今まで魔術を使ってこなかった体が魔素を急に扱えるようになる訳が無いじゃろ。それにお主は成人じゃろ?子供であれば今からでも遅くないじゃが、お主はいい大人じゃ。だから、 もう魔術を扱うのは無理じゃな。」



「……そ、そうなのか……」


「しかし、使えなくとも、魔術の知識だけは持って置くのじゃ。」


「……ど、どうしてなんだ?」


「簡単じゃ。魔術師と戦う事がこれからあるからの。」


「……は?」


「……多分、多分じゃが、儂を追って来ておる人間がいる……のじゃ。」


「……まさか……」


「お主の村を壊す可能性が、ある。」


「……!!」


俺は全速力で村に戻ろうとした。


「まぁ、待てい。」


俺はレッドドラゴンの爪で再び襟を捕まれ背に乗らされた。


「……下せよ。」


「そう焦るでない。言ったじゃろ?魔術師と戦う時に、魔術の知識が無ければ簡単に死ぬぞ?」


「……」


「じゃから、焦る必要はない。後儂の歩くペースの方がお主の走りより早いからの?」


「……足、早いのか?」


「この世界の生物の頂点にいるのじゃぞ儂は!走りであろうが他の生物に負ける事はせんわ!」


ワッハッハッ、とさっきよりも高い鳴き声を上げた。


「そうじゃ、村に着くまでに説明してやろうではないか。」


「……ああ、よろしく頼む。」

応援よろしくお願いします。

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