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チカのこと  作者: 秋月カナリア
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 それから……それから、私の記憶は、しばらく点滅を繰り返す。だからこれは、後から聞いて補完した話だ。

 チカの死後、両親たちが通夜や葬儀の準備をしてくれたらしい。私は、傍から見れば立派に喪主を務めたようだ。

 私もチカも友人らしい友人はいないため、葬儀は仕事で関わった数人と、連絡が取れたチカの大学時代のチームメイトがきてくれた。その対応も、私はちゃんとできていたらしい。

 葬儀も終わり、私は仕事に復帰することになった。

 両親は、いたって平気そうな様子を見て、逆に不審がり、実家へと帰ってくるように言ってくれたようなのだが、私にも仕事があるから、と頑として断ったようだ。

 ひと月ほどは両親も自宅にいてくれた。両親が実家に戻ってから、しばらくの間は、一人で生活できていたのだと思う。

 朝起きて朝食をとり、出勤し、仕事をし、帰宅し、夕食を食べ、入浴し、就寝。休日には洗濯も、掃除も。

 この辺りから、ふと我に返るように、自分を意識する瞬間が訪れるようになる。

 普段はオートで動いていて、それでは解決できない物事が出てくると、私が目覚めていたのではないか、と推測している。

 例えば、部屋のことで、おもにチカが担当していたようなことに出くわすと、これまでの惰性では動けない、誰かが判断しなければならなくなり、私の意識が立ち上るのだ。

 ふと気づいて、目の前の物事を処理する。そして再び眠る。

 そんな生活も、うまく回っていたのは二、三ヶ月くらいだった。

 掃除が滞るようになり、ぽつりぽつりと無断欠勤する日が出てきたようだ。上司は私の異常にいち早く気づき、私の知らぬ間に両親に連絡を取ってくれたらしい。

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