『魔法・魔術論』 魔法と魔術の違い、及び、魔法使いと魔術師の違い。他、魔術系統論など。
「魔法とは、魔術とはなんぞや」
それを問う前に、”魔”の文字について。
ご存じの方もいらっしゃいますでしょうが、”魔”は音読みしか存在せず、訓読み、つまり、大和言葉で表す事の出来ない概念です。
魔法使いや魔術師の話をする前に、現代の日本語に於ける”魔”とは何かを考えてみます。
☆”魔”
魔の字は、霊や超自然的な存在をさす”鬼”に、仏教のマーラの音を表す”麻”が合わさった漢字。
日本語の”魔”の語源は、そのマーラ(魔羅)です。
マーラは、仏道の修行を邪魔したり、善行を妨げるもの。またはそれを成す悪神。
そこから人を誘惑するものや、災いをもたらすものを指すようになりました。
日本語の悪魔は、西洋ではサタン、デヴィル、デーモンに大別されますが、こちらも本質的には”誘惑するもの”です。
よって、本来の”魔”とは”誘惑する存在”、または”その力”、”作用”、”誘惑その物”であったと考えます。
昔からあった”魔法”と言う言葉は、人を騙す怪しげな術、不可思議な術、妖術などの意でしたが、江戸時代には、それを”magic arts””sorsey”と英訳しました。
逆に、英語の”magic”が”魔法”と和訳されます。
本質的には別の物でしたが、和訳、英訳される事により、同じ意味の物であると認識される様になります。
今現在、魔法という言葉がイメージさせるのは、このmagicが意味する”超常的な力”の方でしょう。
”魔法””魔術”が、超常的な力、この世ならざる力を扱う方法・術であるとするなら、即ち”魔”とは、超常的な力、この世ならざる力”その物”、もしくは、”その力を与える存在”という事になります。
ちょっと遠回しな表現になりましたが。
まとめると、
”魔”とは、超常的・超自然的な力や、この世ならざる力であり、その力を与える存在である。
として、
”魔法””魔術”とは、”魔”を利用する、または力を借りる方法・術である。
とします。
以上、前置きでした。
☆”魔法”と”魔術”の違い
魔法、魔術を使う者は、2種類に大別されます。
個人の能力・才能などにより、魔の力を行使する者。
教えを受け、知識・技術を元に、魔の力を行使する者。
先の者を”能力者”、後の者を”技術者”であると判断します。
RPGの元祖でもある『ダンジョン&ドラゴンズ』では、先天的な能力を持つ者をソーサラーとし、師に学んで技術を得た者をウィザードとしています。
また、社会人類学に於ける分類では、
”人間が意図していなくても危害を加えてしまう力”を、witchcraft(ウィッチクラフト)
”呪文、動作、術具を用い他者に危害を加えようとする技術”を、sorcery(ソーサリー)
としています。
ウィッチをウィザードに類する者だと考えれば、これら二つの例は真逆の名称を付けているように思えますね。
マンガ、『魔法使いの嫁』では先天的な能力者を”魔法使い”とし、後天的な技術者を”魔術師”としています。
作中では、能力者か技術者かの違いより、”力を行使する経路が違う”事の方が重要に思えますが。
では、改めて、自分なりに”魔法使い”と”魔術師”の別を考えます。
○魔法使い
”能力者”は先天的、場合によっては後天的に、”魔”の存在を認知し、同時にそれ等から”力”を借りる方法を知り得ます。
後天的と言った類いには、例えば”天使が降りて来た”、同様に”悪魔が現れた”、”妖精や精霊が語りかけてきた”などで、魔法少女もこれに含まれます。
”魔”を扱う方法・能力、また、それによって得られる力・現象を”魔法”とします。
そして、この能力を持つ者を”魔法使い”とします。
○魔術師
”技術者”は、基本的に師に教えを受け、知識と技術を身に付ける事により、魔を知り、魔と交感し、その力を利用する術を得ます。
その、魔を利用する術、即ち”知識と技術をあわせた物”、また、それによって得られる力・現象を、”魔術”とします。
そして、この技術を扱う者を”魔術師”とします。
特に指導者を魔術師とし、弟子を魔術士とする場合もあります。
前述通り、D&Dと社会人類学では、ウィザード系とソーサラー系の意味が逆になっている様で、魔法使い、魔術師を、それぞれどちらに当てるか、悩みどころです。
他に、魔導師という言葉もありますが、これは魔導の師なのか、魔の導師なのか。
さらに魔道士と言う言葉まであります。
魔導が、”魔を導く”で魔の力を借りる事だとすれば、魔導の師はアリかも知れませんが、魔道の士だと魔の道を行く人という意味になりそうです。
また、導師は完全に仏教用語なので、魔の導師は本来有り得ないと思います。
さて。
ここまで日本語の魔法使いに類する言葉について語って参りましたが。
本題は、ファンタジー作品、主にRPGに於ける”魔法使いの分類”、そして”魔法の分類”になります。
主に英語のそれらを引用し、解説して参ります。
☆魔法使い類、語源による大別
まず、3つに大別します。
1、magi(マギ)
いきなり英語じゃないわ、ラテン語です。
magi(マギ)は賢者・賢き者を表すmagus(マグス)の複数形。
女性単数形がmaga(マガ)、女性複数形magae(マガエ)。
この系統で、魔法を表す言葉をカタカナ表記すると、マジック、マジックアーツなどになります。
同じように、魔法使いを表す言葉をカタカナ表記したものが、マギ、メイジ、マジシャン、マジックユーザーなど。
他に、最近は変形として、マギウスやマギア、マギカなども使われています。
英語と日本語は、翻訳の相性が悪いと言われますが、個人的にはラテン語と日本語の方が悪いと思います。
何にしろ、名詞や形容詞に性の別がある事を、日本人は認識できないっぽいです。
magius(マギウス)は名詞男性単数形、magica(マギカ)は形容詞女性単数形になります。
2、wizard(ウィザード)
語源はwiseで、意味は賢い。wis(賢い)ard(人)で賢者。
同じ語源では、wiseman(ワイズマン)も同じように賢者をさし、これも魔法使いに含まれる事が多いです。
また、語源的には違いますが、ウィッチもこの系統に入ります。
魔法を表す言葉はウィッチクラフト。
ウィザードリィもウィザードが使う魔法を指すそうです。
日本ではウィッチを魔女と訳しますが、本来は女性だけに限りません。
もちろん、ウィザードも女性を含みます。
ですが、一般的にウィザードを男性魔法使い、ウィッチを女性魔法使いとしている場合が多いです。
wisdom(ウィズダム)が知恵・見識・常識などの意味を持つ様に、本来は年を重ねて多くの知識と経験を得た者が、ウィザードであり、ワイズマンです。
その知恵を持って、騎士や英雄を助ける役どころが多く、騎士物語では善良な老賢者として描かれる事が多くあります。
……しかしながら、最近の作品の”賢者”は、知恵も見識も常識も、常人以下の場合が多々見受けられます。
有名な『ドラゴンクエスト』の影響か、”賢者”が、只単に”魔法の扱いに優れたキャラクター”、”僧侶と魔法使いの上位職”、ぐらいに思われている様な気がして仕方有りません。
3、sorcerer(ソーサラー)
語源はsorsで”くじ占い”。
ラテン語らしいですが、知らない言葉なので発音も正しくは判りません。
男性魔法使いをソーサラー、女性魔法使いをソーサレスと言います。
魔法はソーサリー。
さて、語源による大別を挟んだのは、作品世界に於ける”魔法使い”や”魔術師”の意味合いや名称に関わるからです。
もちろん「全部日本語で表記するから関係ない」という方もいらっしゃいますでしょうが。
例えば”宮廷魔術師”を”Court sorserer”とするか、”Court mage”とするかの違い。
前者なら、その他の魔術士はソーサラーとソーサレスに、魔法はソーサリーになります。
後者なら、メイジとマジックになるでしょう。
また、先に述べた様な”生まれながらにして魔法を使う才のある者”を区別する事も出来ます。
どのように表現するかは作家次第ですが、表現の幅を広げる手段に成り得るでしょう。
個人的には、”只単に魔法に優れたキャラクター”などは、ワイズマンでは無く、マギウスにすれば良いんじゃないかと思います。
☆魔法の根源による別
”魔”とは、超常的・超自然的な力や、この世ならざる力であり、その力を与える存在である。
”魔法””魔術”とは、その”魔”を利用する、または力を借りる方法、術である。
という前提であれば、その力の行使には”魔”が干渉している、正確には”魔”が力を行使している事になります。
”魔”の候補に上がるのは、
神々、天使
悪魔、悪霊
精霊
妖精
異世界生物
他にもあるかも知れませんが、信仰の対象になる存在が殆どです。
さらに例外として、古代の言語・文字があります。
神々の力を借りる魔法が神聖魔法、悪魔の力を借りる魔法が暗黒魔法、精霊の力を借りる魔法が精霊魔法で、あとはその他扱いです。
古代の言語・文字を利用した物は古代語魔法、もしくはルーンマジックです。
○神聖魔法
使用者はプリースト、クレリックなどの聖職者系。
その他にもアコライトだとか、色々いらっしゃいます。
神々や天使などの力を借り、奇跡を起こす魔法です。
基本的に治療系が主。
あとは対アンデッド系や防御系、武器や防具への聖なる力の付与などなど。
殆どの作品では多神教が採用されており、様々な神がそれぞれ信仰されています。
それにより、信仰対象独自の魔法も有り得ます。
火の神であれば炎の攻撃魔法もアリです。
最高位魔法は、多くの場合”コール・ゴッド”。
ただし、依り代が要る場合があります。
○暗黒魔法
この魔法の使い手は、”誓いを破る者””裏切り者”と呼ばれる、ウォーロック。
本来はキリスト教世界に於いての、神との誓いを破る者、神を裏切る者で、悪魔や悪霊と契約してその力を行使する、悪の魔法使いです。
他者に危害を加える魔法が主で、毒や疫病、目が見えなくなる呪いなどから、下級悪魔インプなどの召喚・使役も行います。
また、土地に対する呪いでも有名で、麦畑が全滅するとか、森が枯れるとか、川の水が汚れるとか、結構な被害を出します。
その上で、「呪いを解いて欲しければ……」と、領主に金銭やお姫様を要求するのが、常套手段。
最上位魔法は”サモン・デヴィル”。
生け贄必須。自分に降ろすと精神崩壊の上、体を乗っ取られます。
○精霊魔法
シャーマンと呼ばれる存在は、本来の意味とファンタジーに於ける意味が、大分違います。
ここではファンタジー的な、精霊使いとします。
パラケルススの四大精霊論により、地水火風の四大元素(エレメンタル)を司る、4種の精霊がいるとされました。
この四大精霊に力を借りるのが精霊魔法、それを扱う魔法使いがシャーマンです。
現在の日本では、四大精霊は地のノーム、水のウンディーネ、火のサラマンダー、風のシルフとされています。
またこの他に、上位精霊がいるとされたり、光や闇を司る精霊がいたり、”ありとあらゆる物に精霊は宿る”とされたりして、作品により千差万別です。
契約を交わした精霊にのみ、力を借りる事が出来るものと、出会った精霊に自在に力を借りる事が出来るものとがあります。
また、極一部には、力を借りるのでは無く、”使役する”とする場合もあります。
最上位魔法は”サモン・エレメンタル”。
ゴッドやデヴィルに比べると大したことが無い様に思われますが、通常、人の力では太刀打ちが出来ません。
依り代や生け贄が必要無いのも利点です。
○魔法少女
魔法の系統ではありませんが、一応。
言うなれば、妖精魔法?
昔の魔法少女は、魔法世界から来た”純粋な魔法使い”でしたが、最近は妖精(のようなもの)や異世界生物との契約で、特別な力を得るものが主流になりました。
主な魔法は攻撃魔法。
ビームや炎、氷など、契約した”魔”や個人の資質により、様々な物を射出して、敵を攻撃します。
また、変身魔法も基本です。
昔は大人に成長するという現象が含まれましたが、今では髪型が変わるぐらいで、衣服だけが戦闘用になります。
変身中は肉体が強化され、打撃力、耐久力が飛躍的に伸び、地形が変わるぐらいの衝撃でも擦り傷程度が殆どです。
また、武器になる何かが出てくる場合もあります。
最高位魔法も大体が敵を吹き飛ばす攻撃魔法ですが、”奇跡的な何かを引き起こす”魔法も、稀にあります。
○古代語魔法
○ルーン魔法
日本では今も言霊信仰がありますが、言葉や文字には霊的な力があり、それを利用する事で世界に干渉する事が出来る、とするのが言語系、文字系の魔術です。
古代語魔法に於いては、上位古代語(ハイ・エンシェント)、下位古代語(ロー・エンシェント)を区別している場合があります。
その中でも、上位古代語が魔法言語で、下位古代語か日常言語としている物もあれば、どちらも魔法的効果があるとしている物もあります。
また、上位古代語を神々の言語、下位古代語を古代人の言語としている場合もあります。
どちらにしろ、古代人とは”古代魔法文明人”であり、その作中世界に於ける”現代人”より遙かに高度な文明を築いていたとされます。
そして各地に眠るダンジョンは、その古代文明の遺跡であり、中には現代では作る事の出来ないマジックアイテムが残されている、というのが、少し前までの定番でした。
ルーン魔法は、ルーンと呼ばれる文字に、それぞれ意味と魔力があり、それを組み合わせる事で力を得られるという魔術です。
同じように、古代魔法文字にも意味と魔力があるとされています。
古代魔法文字を、そのまま”ルーン”と称している作品も多くあります。
”力ある言葉”について。
例えば『Wizardry』の有名な攻撃魔法、”ティルトウェイト”は、”TIL-TO-WA-IT”の4つのトゥルーワードで構成されており、それぞれ”疾い-風-光-解放”の意味を持ちます。
記憶が確かなら、トゥルーワードの発音は「ターイラー・ターザンメ・ウォウアリフ・イエーター」だったと思います。
その言葉の意味に従った効果として”核撃”の魔法が発動する、ということです。
ただし、『Wizardry』は魔力先込め式魔術なので、毎朝、各レベルごとに呪文点をストックする必要があります。
その呪文点と”力ある言葉”を合わせて、初めて魔法が発動するのです。
少しマニアックな話ですが、この呪文点の概念が、後の魔力点、つまり”マジックポイント”の存在へと繋がっていきます。
マジックポイントといえば『ドラゴンクエスト』でしょうか。
ドラクエの呪文は『Wizardry』を参考にしたそうで、例えば”ギラ””ベギラマ””ベギラゴン”や”ホイミ””ベホイミ””ベホマ”のように、”力ある言葉”の変化で効果も変わります。
後のRPGや、さらにその影響を受けた作品群では、この言葉による魔法が主になって行きました。
(追加、と言いますか、訂正です。ドラクエのMPの読みは「マジックパワー」でした。
他にも、「メンタルポイント」や「マナポイント」など、同じ”MP”という表記でも、作品によって色々あるようです。)
最高位魔法は、件のティルトウェイトのような、もしくはそれ以上の”破滅的攻撃魔法”、または何が起こるか判らないような”大変異魔法”です。
大抵の場合、それらが行き過ぎて古代文明が滅びています。
○その他
独自理論系。
その世界の根源から力を引き出す、世界の理から力を引き出す、などなど。
一応、契約者はその世界の神になるのでしょうか。
世界の法則により、自動的に現象が発露する物もあれば、簡単な言葉、もしくは念じるだけで効果が発揮されるものもあります。
対価として魔力を消耗するとされますが、基本的に魔力は世界に満ちており、自然回復します。
肉体強化系が流行りみたいに思いますが、基本的に何でも来いですね。
最高位魔法?
さて、はて。世界による、としか言いようが有りません。
☆補足、魔力について。
魔法を行使する為に消費する、超常的な力、霊的な力の総称。
自然界や人の体内に満ちているとされる。
例外として、「人には魔力が無い」とする作品や、「持つ者と持たざる者が存在する」とした作品もあります。
最近は”マナ”と称される事が多いです。
○マナ(mana)
元々は太平洋諸島地域で信仰されていた原始宗教に於ける、超常的な力の源です。
実体を持たず、人や道具、動植物から無機物に至るまで、ありとあらゆる物に干渉し、特別な力、作用を与えるとされます。
物理的な力(power)とは全く区別される力(force)です。
19世紀になると、その概念が西洋に持ち込まれ、後にオカルト分野に取り込まれました。
現在のファンタジーに於いては、広く魔法的力の源とされています。
☆魔術の系統による別
魔術を系統別に分け、それぞれに関して説明致します。
魔術系統は学派(スクール)とも呼ばれ、学者的魔術師たちがそれぞれ専門分野として研究しています。
○祈願術 インヴォケーション(invocation)
”魔”に対する祈祷で超常的な力を得るもの。
”魔”には悪魔の他、神々や天使も含まれます。即ち、神官職の使う術式でもあります。
”治癒””祝福”はもちろん、相対する”呪詛”もこの系統です。
使用者はインヴォーカー(invoker)
○喚起術 エヴォケーション(evocation)
”魔”を喚び起こす事により超常的な力を得るもの。
喚起、喚び起こすという言葉がイメージしにくいかも知れませんが、”魔”の力の一部を顕現させる術式で、”魔”の能力・働きにより、様々な現象が引き起こされます。
”魔法の矢””戦乙女の槍”から”火球””雷電”に至るまで、多くの攻撃魔法がこの系統です。
使用者はエヴォーカー(evoker)
○破棄術 アブジュレーション(abjuration)
超常的な力により、何らかを破棄させるもの。
一般的に防御魔法の系統と認識されていますが、厳密には”拒絶”であり、物理現象や魔法効果を逸らしたり、無効化したり、”攻撃魔法を破棄”させる術です。
いわゆる”ディスペルマジック”、魔法破棄魔法、魔法無効化魔法もこの系統。
また、ある種の結界魔法をここに含める場合があります。
使用者はアブジュラー(abjurer)
○変成術 オルタレーション(alteration)
物質や現象を変化させるもの。
その効果は、足が速くなる、落下速度が遅くなる、異国の言葉を理解するといった、人の能力や状態の変質、空飛ぶ絨毯、熱くない灯火といったの器物の変質など、多岐に渡ります。
極端な話、目からビームが出るとか、指から炎が出るとかもこの系統。
”施錠””解錠”の術は基本中の基本。また、”筋力上昇”も最近では必須ですね。
使用者はトランスミューター(toransmuter)
○召喚術 サモニング(summoning)
”魔”その物を呼び出すもの。
通常、呼び出してから条件の提示、契約に移るのですが、最近は前もって契約が結ばれている”魔”を召喚したり、強制的に使役したりする事が多いようです。
また、”魔”の支配下にある存在、天使や下級悪魔、下位精霊なども召喚出来ます。
使用者はサモナー(summoner)
○召喚術 コンジュレーション(conjuration)
語源的には悪霊を呼び出す術ですが、ファンタジー的には様々な生物、物質、現象を呼び出すもの。
日本語ではサモニングと同じ召喚術とされています、以前は”コンジュアレート・サモニング”でひとまとめでした。
悪霊の他、悪魔召喚も、こちらに含める場合もありましたが、今ではサモニングに含めます。
”霧”や”昆虫の群れ”などの自然的な存在の他、”障壁””酸の矢”なども呼び出す、もしくは取り出すことが出来ます。
隕石を召喚する”メテオストライク”も、この系統。
使用者はコンジャラー(conjurer)
○死霊術 ネクロマンシー(necromancy)
死霊や死体を扱うものと認識されていますが、厳密には生命と魂を扱うものです。
死者の霊と言葉を交わす術から、アンデッドを制作、使役する術まで、おおむね”死”に関わる術が多く、邪悪な魔術系統とされる事が多いです。
ただし、厳密に言えば、神の加護に因らない”死者蘇生”はネクロマンシーの範疇です。
肉体再生や病気の治療も。
だからこそ、教会や宗教勢力の大敵ともなります。
最終目標は”不死”であり、”リッチ”や”ヴァンパイヤの真祖”がその成果とされています。
使用者はネクロマンサー(necromancer)
○魅了術 チャーム(charm)
人や生物の精神に変化を与えるものです。
魅了と称していますが、友人や恋人と錯覚させる術以外にも、主に感情や認知に対して影響を持つ術があります。
例えば”怒り””忘却””恐怖””混乱”、味方に掛けるなら”高揚””無痛”など。
究極的には”精神崩壊”や”記憶操作”などの術もあり、非常に危険な系統になります。
最近流行りのビーストテイマー系もこれかな。
使用者はチャーマー(charmer)
○付与術 エンチャントメント(enchantment)
主に器物に対し変化を加えるものです。
魔法に掛けると言う意味で、以前はエンチャント・チャームがひとまとめでした。
一般的には武器や鎧、盾などを強化、または逆に弱化させる術が有名です。
他にも床や壁、鏡などに特殊な効果を加えたりします。
マジックアイテムの制作を、付与術とするか変成術とするかは悩みどころ。
今でも”お守り”をチャームと呼びますが、お守りを作る術はこちらの系統に含めます。
使用者はエンチャンター(enchanter)
○占術 ディビネーション(divination)
見えざる物を見、知らざる物を知る為のもの。
本来はディバインから発生した言葉で、神聖な存在から啓示を受けるものです。
いわゆる”占い”や”予知””予言”だけで無く、対象の善悪を見分ける”ディテクトイビル”、魔法を察知する”ディテクトマジック”など、知る為の術、見破る為の術がこの系統です。
無くし物の捜査や、行方不明者の探索など、地味に役立つ事が多いと思われます。
使用者はディビナー(diviner)
○幻影術 イリュージョン(illusion)
存在しない物を認識させるもの、認識に異常を加えるものです。
その場にいる全員に効果を発揮する空間的幻影と、個人に対する精神的幻影があります。
空間的幻影は、壁や森ならまだ良いですが、複雑な物を見せるには観察力と造形的センスが必要です。
個人的にお勧めの幻影は”霧””穴””何も無い”です。
精神的幻影は対象者が脳内で補正するので、術者が知らない物ですら見せる事が出来ます。
幻影と言いますが、幻聴や方向感覚の異常、時間感覚の異常なども含みます。
他にも”上下感覚の逆転”や、”地震が起こっているという錯覚”など、致命的では無いですが、対処の難しい術が多くあります。
使用者はイリュージョニスト(illusionist)
○錬金術 アルケミー(alchemy)
物質や生命の組成を知り、再現するもの。
本質的には魔術では無く、化学、生物学などを含む科学です。
化学の分野では人工的な金の創造、生物学の分野では人造人間の創造を目的としているとされます。
よく爆発事故を起こしているイメージがありますが、結果として、火薬・爆薬の製造も有り得ます。
他にも様々な実験器具の発明、化学物質の発見、また、キメラやホムンクルスの創造など、成果は多岐に渡ります。
基本的に、細かいカテゴリーに分かれて研究・開発に没頭しており、専門分野以外は知らない場合も多いです。
それでも、究極に求める物は同じ”賢者の石”であり、”エリクサー”であると言われています。
使用者はアルケミスト(alchemist)
以上、12分野です。
直接”魔”の力を借りる研究が、”祈願””喚起””召喚”などであり、あとの学派は借りた力でどのような現象を引き起こすかと言う研究になると思います。
基本的には専門学派の研究を進めますが、その研究の為にも、他分野を学ぶ事が多くあります。
錬金術を修めるなら、変成術と付与術は必須。ホムンクルスを作るなら死霊術も、といった感じに。
また、職業によって習得した方が良い魔術系統があります。
魔法医なら祈願、変成、占、魅了、死霊、そして、薬の素となる動植物や鉱石の知識は錬金。
冒険者をやるなら、祈願、喚起、破棄、変成くらいは勉強しておかなくてはなりません。
できれば付与術も欲しいですね。
☆魔術の習得
テレビゲームの影響か、最近はレベルが上がると自動的に魔法が習得出来る、と思われている節があります。
それはもう、世界の法則がそうなっているとしか言い様が無いですが。
昔のRPGでは、魔法は個別に習得する物でした。
魔法にレベル分けがしてあるのは、ある程度の能力が無いと扱えない、発動すらしないから。
もしくは、暴走の危険があるので教えないのです。
基礎を覚えたばかりの初心者が、神や悪魔を召喚したり、核撃魔法を喚起しようとしたら失敗するのは目に見えています。
レベルアップしたから使えるのでは無く、その魔法が使えるなら、「そのレベルに到達した」と言えます。
元々の、魔法使いのレベルとはそういう物です。
同じように、「レベルアップしたから能力値が上がった」のではなく、「能力が上がったからレベルが上がった」と言えるのですね。
使えなくても、習得はしておく、しておく事が出来る、とする場合もあります。
たしか、『ドラゴンクエスト』では、魔法使いは最初に”魔法使い系の魔法”を全て覚えておき、成長と共に発動できるようになる、という設定だったと思います。
逆に使える様になってから、選択しながら習得していく場合もあります。
習得方法は、主に三つ、でしょうか。
1、師匠を得る
先達に教えを請う。
簡単かつ基本です。
普通の魔術士は先ずこれ。
能力者である魔法使いには師がいません。
ただし、他の魔法使いや魔術師に習い、魔術を修める事は出来ます。
逆に、魔法使いは自分の魔法を元に魔術を教える事は出来ますが、個人の能力である魔法その物は、他者に教える事が出来ません。
この事から、始祖は魔法使いであり、魔法を他者でも使える様にした物が魔術であり、それを受け継いだ者が魔術師であると考えます。
2、巻物を購入する
昔のRPGでは定番でした。
巻物、一般的にスクロールと呼ばれる物で、一巻に一つの魔法が記されています。
それを読んで習得するのが普通の方法でした。
特殊な例として、スクロール自体に魔法が掛けられており、封を解く事でその魔法に関する”知識を焼き付ける”という物があります。
スクロールは消滅しますが、そこに書かれていた内容は完全に記憶出来るという優れもの。
……罠だったら怖いとか思わないのでしょうか?
3、開発する
自分で研究、開発する。
また、”魔”との契約により、新しい力を得る。
これもまた、魔術師にとっては基本的な事でしょう。
ある程度の熟練となれば、普通に考える事です。
☆ブックについて
巻物も含める場合がありますが、基本、魔術書や聖典の事です。
魔術師にとって非常に重要な物。
魔法使いには必要無いかも知れません。
○魔術書 グリモワール(Grimoire)
神々や悪魔、精霊など、ここでは”魔”と称している存在に、力を借りる方法が書かれた書物。
ただし、神々に関する物は”聖典”として別個に考えます。
”魔”に対して祈願や喚起を行う為のシンボルと儀式手順、召喚する為の魔法陣など、魔術を行使する為に必要な事柄が書かれています。
これさえ有れば、わざわざ床に魔法陣を描く必要も、シンボルを掲げる必要もありません。
どうしても大きな魔法陣を描かなくてはならない術であっても、”魔術書に描いた魔法陣を床に転写する変成術”で行えます。
古代語魔術の場合、言葉や文字の意味、その効果を書き表したり、術の組み立てを書き記しています。
錬金術の書物には、研究内容や実験結果、そこから得られた事物が事細かに書かれているでしょう。
これら魔術書は、通常、自分で書きます。
魔術師であるならば、自分の魔術書を必ず持っているものなのです。
万が一、誰かに見られた時の為、最も重要な事柄、例えば”魔”の真名や”力ある言葉”などは敢えて書かない事が多いです。
そうであっても、大魔術師の魔術書は非常に価値があります。
魔力先込め式魔術の例を出しましたが、魔術の発動には、シンボル、呪文、動作、術具、そして対価などが必要です。
戦闘になってから呼び掛け、喚起する例もありますが、それでは時間が掛かってしまいます。
平時、多くの場合は朝の内に、祈願や喚起を済ませておいて、術が発動する条件を整えておくのが普通です。
戦闘中に喚起する例も含め、旅先で魔術を行使するなら、”シンボル付き携帯祭壇”である魔術書は無くてはなりません。
○聖典 スクリプチャー(Scripture)
主に、神々を讃え、感謝と祈りを捧げる言葉が書かれています。
そして、神々の物語や、天使たちの名前、働きなども。
本来の聖典はそれだけですが、魔術師としての聖職者が持つ物には、魔術を行使する為のシンボルや祈りの言葉などが書かれています。
その辺りは魔術書と一緒です。
ただ、魔術とは言わず”奇跡”と呼んだり、全員が教会の用意した同じ物を使っていたりします。
その宗教の聖職者が行使出来る、ほぼ全ての魔術が記載されていますが、”コールゴッド”を含む幾つかは秘されています。
聖職者たちは、主となるホーリーシンボルを聖典とは別に携帯しており、毎朝の祈願の時、そして術を行使する際に、それを掲げます。
聖典に描かれたシンボルは、行使する術を表したり、術に関係する天使を表したり、その働きを表したりする物で、それが描かれた頁を開き、書かれた祈りの言葉を読み上げる事で、喚起を行います。
☆まとめ
自分なりの考え、判断をここに記しておきます。
魔法使いと魔術師
マギ、ウィザード、ソーサラーのどれを、魔法使い、魔術師に当て嵌めるべきか。
もう一度言いますが、自分なりの考えです。
ウィザードが賢き者に類するのであれば、学問としての魔術を収めていると考えるべきで、魔術師に対応する言葉はウィザードが好ましい。
ソーサラーが、逆に個人の資質による占いから端を発しているなら、魔法使いはソーサラーが好ましい。
魔法、魔術を統括する言葉は、単純にマジックとし、魔法使いと魔術師を合わせてマジックユーザーとするのが解り易い。
以上の判断から、
魔法・魔術を扱う者、”マジックユーザー””メイジ””マジシャン”
その内、男性が”マギウス”、”マグス”
女性が”マギア”、”マガ”
魔法・魔術をまとめて”マジック””マジックアーツ”
個人の能力・才能などにより、魔の力を行使する者、”魔法使い””ソーサラー”
女性形が”ソーサレス”
魔法が”ソーサリー”
教えを受け、知識・技術を元に、魔の力を行使する者、”魔術師””ウィザード”
女性形が”ウィッチ”
魔術が”ウィザードリィ”
”宮廷魔術師”は”Court sorserer”でも”Court mage”でもなく、”Court wizard”ですね。
種別
神々の力を借りる”神聖魔法”
悪魔の力を借りる”暗黒魔法”
精霊の力を借りる”精霊魔法”
言語の力を借りる”古代語魔法”
系統
祈願術(インヴォケーション)、術者はインヴォーカー
”魔”に対する祈祷で超常的な力を得るもの。
喚起術(エヴォケーション)、術者はエヴォーカー
”魔”を呼び起こす事により超常的な力を得るもの。
破棄術(アブジュレーション)、使用者はアブジュラー
超常的な力により、何らかを破棄させるもの。
変成術(オルタレーション)、術者はトランスミューター
物質や現象を変化させるもの。
召喚術(サモニング)、術者はサモナー
”魔”を呼び出すもの。
召喚術(コンジュレーション)、術者はコンジャラー
様々な生物、物質、現象を呼び出すもの。
死霊術(ネクロマンシー)、術者はネクロマンサー
生命と魂を扱うもの。
魅了術(チャーム)、術者はチャーマー
人や生物の精神に変化を与えるもの。
付与術(エンチャントメント)、術者はエンチャンター
器物に対し変化を加えるもの。
占術(ディビネーション)、術者はディビナー
見えざる物を見、知らざる物を知る為のもの。
幻影術(イリュージョン)、術者はイリュージョニスト
存在しない物を認識させるもの、認識に異常を加えるもの。
錬金術(アルケミー)、術者はアルケミスト
物質や生命の組成を知り、再現するもの。
☆オマケ
一般的な攻撃魔法は、エヴォケーションにより喚起された”魔”の力を利用したものです。
マジックアロー、ファイヤボール、ライトニングボルトなどなど。
ところで、アローはともかく、なぜボール? ボルトってなに?
ライトニングとサンダーって、何が違うの?
という事で。
現象と形状に分け、攻撃魔法に含まれる、言葉の説明をしていきます。
現象
ファイヤ
火。基本、何も無くても燃える、大抵の形状はいける
フレイム
炎。火より強いイメージ
ウォーター
水。空中から湧いて出る
アクア
水。ラテン語、気分の問題
アイス
氷。空中から氷結してくる
アイシクル
つらら、尖った氷
ウィンド
風。真空では無い、空気の固まり
アース
土。通常、空中には湧いて出ない、地面から直接出る
ストーン
石。これも地面から飛び出すしか無さそう
ロック
岩。石の大きな固まり
マッド
泥。同じく地面から、もしくは地面を変質させる
アシッド
酸。何故かこれは空中に湧いて出る
ポイズン
毒。酸と同じく湧いて出る
サンダー
雷。かみなり、本来は雷鳴で音。落雷のイメージ
ライトニング
電。いなづま、本来は電光で光。放電のイメージ
マジック
魔力。物理的衝撃のある魔法攻撃
フォース
力。魔力のこもった物理攻撃
ライト
光。光を放つ魔力の固まり。要はマジックに光属性が付いたもの
シャイニング
輝。激しい光を放つ魔力の固まり。ライトを眩しくした感じ
ホーリー
聖。神々、もしくは天使の力がこもったもの。ライトと大差無い
ダーク
闇。光を呑み込む魔力の固まり。要はマジックに闇属性が付いたもの
形状
アロー
矢。投射系の基本、周辺に浮いてから発射、数を増やせる
ブリット
弾。小さく圧縮された弾丸のイメージ、それ以外はアローと同じ
ボルト
クロスボウの矢。太く短い、貫通力は高そう
ランス
騎士の槍。太く、長く、貫くイメージ、投射系では最も大きそう
スピア
槍。歩兵の槍なので、ランスほど突っ込んで行くイメージは無い
ジャベリン
投げ槍。投擲、つまり投げる、スピアよりも小さいが、軽く、勢いよく飛んでいくイメージ
グレイブ
薙刀状の槍。刃の突いた槍、地面から突き出すイメージ
パイク
長槍。グレイブと同じく、地面から突き出すイメージ、より長く、数が多い、針山
ボール
球。投擲系、ソフトボールかバスケットボールくらい、着弾時に爆発的に現象を発生させる
レイ
光線。照射系、当たった場所に現象を発生させる
ウォール
壁。一定の幅と厚み、高さを持つ現象の固まり
フィールド
場。床を中心に、空間全体に現象を発生させる
エクスプロージョン
爆発。その場で、術者を中心に爆発的に現象を発生させる
ソード
剣。むしろ刃の無い棒状の現象、接近戦用武器
ブレード
刃。半弧状の刃、接近戦より投射系のイメージ
カッター
刃。何故かブレードより直線的な刃のイメージ、やはり投射系
シールド
盾。前方空間に展開する障壁的現象、薄く、浮いていそう
ストーム
嵐。一定範囲を荒れ狂うイメージ
投射系は手の動きに合わせて飛んでいくイメージ
投擲系は手で掴んで投げるイメージ
現象と形状を組み合わせて魔法名とする
例
ファイヤアロー
アクアブリット
サンダーボルト
アイシクルランス
フレイムスピア
ライトニングジャベリン
アースグレイブ
ストーンパイク
ファイヤボール
アシッドレイ
アイスウォール
ポイズンフィールド
フォースエクスプロージョン
などなど。
追加
☆竜語魔法 ドラゴンロア(Dragon roar)
ロアーは咆哮。
竜の伝承を意味するドラゴンロア(Dragon lore)とは別物です。
ドラゴンロアについて考える時、ドラゴンの咆哮が魔法言語であるかどうか、では無く、ドラゴンとはそもそも何であるかが問題になります。
ドラゴンは、恐るべき獣か。
神や悪魔に類する超越者であるか。
最近のファンタジーでは、ドラゴンは体内に可燃物を溜めており、それを噴出する事で火を放つ、とされています。
でもそれは、「獣であるドラゴンが如何にして火を吹いているのか」に対する説明付けでしかありません。
昔話に語られるドラゴンは、もっと、魔法的な存在だったはずです。
そう、例えば、その血を全身に浴びれば不死になるとか、嵐を呼び寄せる、火山を噴火させる、そして人の言葉を話し、それどころか人の姿に変化する。
それを為し得るドラゴンは、魔法使いなのか?
個人的には、否と考えます。
ドラゴンは、魔法使いなのではなく、”魔”そのものです。
即ち、ドラゴンロアとは、言語魔法では無く、”魔”であるドラゴンが自らの力で放つ超常現象であり、ドラゴンを”魔”とした魔法の事です。
話を始める前に、ドラゴンを”レッサードラゴン”と”トゥルードラゴン”に分るべきでしたでしょうか。
獣に類する、空飛ぶ巨大なトカゲであるドラゴンを、仮にレッサードラゴン。
”魔”に類する、超常的な力を持つ存在を、同じく仮にトゥルードラゴンとします。
仮に、というのは、実はレッサードラゴンこそが本来のドラゴンではないかと思うからです。
トゥルードラゴンは、前述通り、昔話の頃から人に化けます。
ロールプレイングゲームに於いても、『ダンジョン&ドラゴンズ』や『ドラゴンクエスト』など、基本となっている様な作品で、一部のドラゴンは人の姿で現れます。
これらの作品を作った人々は、”力あるドラゴン”が人に化けるのは、当然の事だと思っていたのでしょう。
最近の作品でも、ドラゴンが美少女になるのは当たり前みたいになっていますが。
どこから変わったんでしょうか?
昔のドラゴンは殆どおっさんだったのに。
そして、「お姫様を差し出せ」とか言って、英雄に倒されるのが定番だったのに。
まあ、それはさておき。
自在に変身が出来るのでしたら、トゥルードラゴンにとって、ドラゴンの姿も人の姿も、仮の物でしかないのではないか。
つまり、地上の最強生物であるレッサードラゴンの姿を真似ているだけで、元々は形を持たない霊的存在がトゥルードラゴンの本質なのではないかと考えました。
天使や悪魔と同じく、霊的な、もしくは精神的な存在で、その力を以て肉体を作り出しているだけである、と言うのが私の推論です。
その鱗が鉄より固いのは、竜の力で生み出された物質だから。
その爪と牙が易々と鉄を斬り裂くのは、竜の力で生み出された物質だから。
その骨が非常に軽く頑丈なのは、竜の力で生み出された物質だから。
トゥルードラゴンの体を構成する全ては、超常的な力で生み出された、”自然には在り得ない物”と言う事です。
竜の血を浴びて不死になる話も、血を浴びた部分だけが刃を通さなくなっている、つまり竜の鱗の力を得ているだけで、浴びてない所を刺されたら死んでしまいますものね。
ドラゴンブレスも、単に火を吹いているのではなく、竜の力により、魔法的現象を吹き出しているのではないでしょうか。
ですから、炎以外に、毒や酸、雷や吹雪など様々なブレスが吹けるのではないかと考えます。
また、そのブレスが魔法的現象であるが故に、物理攻撃や通常の炎ではダメージを与える事の出来ない、霊的な存在、アンデッドに留まらず、天使や悪魔、神々すら破壊する事が出来るのだと思います。
結局は個人的な考えですが。
トゥルードラゴンとは、自らの力で受肉する事の出来る、神々や悪魔、精霊に類する”何か”なのでしょう。
以上、前振り。
先ほども言った通り、昔のドラゴンは人間の男性に化け、女性との間に子供をもうけました。
その子供たち、竜の子孫は、ドラゴンロアを使えるのではないか、と言う話です。
体内に可燃物や電気袋など無くても、ドラゴンブレスを吹ける。
鱗に覆われて無くても、その皮膚で鋼の剣を弾き返す。
その目で霊的な存在を看破出来る。
そして、風や嵐、場合によっては火山噴火や地震の様な自然現象に干渉出来る。
そもそも、咆える必要すら無く、ただ息をするかの様に、ごく自然に超自然的力を発する、それこそが竜の力、つまり、人々が「竜語魔法」「ドラゴンロア」と呼んでいるものでしょう。
まあ、自分の中の”竜の力”を喚起する時に、実際は叫ぶのかも知れませんが。
似た様な物に、エンジェルソング(歌)、デーモンスクリーム(呻き声)と言うのもあります。
これらもまた、力の行使に歌ったり呻いたりする必要は本来無く、ただ、人間が歌ってる様に聞こえた、呻いている様に聞こえたというだけの話だと思います。
天使も悪魔も、自分自身が”魔”であり、且つ、上位の”魔”に力を借りたり、下位の”魔”を使役出来る存在です。
彼らの場合、自分の力を呼び起こすのが”喚起”、上位の力を借りるのが”祈願”、下位を呼び出すのが”召喚”、かな。
☆補足
祈願術と喚起術の違いが判りにくいかと思いまして、ちょっと説明します。
対象を燃やしたいと考えている場合。
対象を燃やしてくださいと”魔”に願い、直接燃やして貰うのが祈願。
対象を燃やす為に、”魔”の働きの一部である炎を借り受け、顕現させ、それを放つのが喚起。
”魔”に直接”結果を願う”のか、”力を借りて”自分が結果を出すかの違いです。
自らが”魔”である場合は、自分の力を”現象として顕現させる”事が喚起であると思います。
投稿後も、色々と書き足して参りましたが、結果として非常に長文になってしまいましたので、下記の項目は別作として切り離し、投稿させて頂きました。
魔法円、魔法陣について。
それに併せて、シジル、シンボルについて。
ペンタクル、アミュレット(護符)、タリスマン(呪符)、チャーム(お守り)について。
杖について。
魔法の杖として、スタッフ、ロッド、ワンド、スティック。
その他の杖として、バトン、メイス、セプター、ケイン。
そして、箒(ほうき・ブルーム)。
興味をお持ち頂けましたなら、『『魔法・魔術論』補足 魔法陣、魔法の杖について』をご覧いただければ幸いです。