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【大】魔導師様、目覚める!  作者: そういち
 第3章 大魔導師様、楽しむ
13/39

マックス、トゲトゲを知る(後編)

「やっぱ、操作が簡単すぎるとつまらなくなるものかな?」

「人間と言うやつは、八千年たっても不合理のままのようだな」


 マックスは、リンに「お前も人間だろうが」と突っ込みかけたが、一人でフリゲートを撃墜できる八千年も生きている子供が、本当にそうなのか少し自信が持てなかったのでやめておいた。


「そりゃまあ、一人が生きていられるのはせいぜい二百年だしなぁ。別の人間は別の人間で、生まれたときにリセットされるようなものだろう?」

「科学技術は発展していたぞ?」

「そりゃ成果を記録して次代へ繋げているからさ。仮に、日記を書くのが大好きで余すところなく自分の人生を記録した人物がいたとしても、次の世代がそれを読まなきゃ書いてないのと一緒だからな」


 他人の人生の詳細な記録など、特殊な研究者を除いて興味はないのだ。


「それはそうだな」


 リンが納得したとき、喜々としていろいろと試していたカリーナが声を上げた。


「軍曹!」

「なんだ? 何か問題か?」

「いえ、三次元ホログラムによる位置の指定とか、目茶苦茶かっこいいんですけど……このショートワープってなんですか?」

「ん? 短い距離のための高次元トンネル航法ってことじゃないのか?」


 この世界の超光速航法は、一般に高次元トンネル航法と呼ばれていることくらいは、門外漢のマックスでも知っていた。彼はショートワープを、ショートレンジの高次元トンネル航法だと考えたのだ。緊急脱出にはとても便利そうだななどと思いながら。

 

 しかしカリーナは、そんなマックスを呆れたように振り返った。


「軍曹……高次元トンネル航法が、そんな簡単に使えるわけないでしょう?」

「え? そうなの?」


 高次元トンネル航法。それは空間を折り畳んで距離をゼロにする航法の一種だ。

 

 二次元の紙の上に記された二つの点AとBはどんなに離れていても、三次元空間で紙を折り畳めば接触させることができる。つまり上の次元において、二点間の距離はゼロにできるのだ。

 

 だが、実際にその理屈を利用して長距離を移動するためには、二つの問題点があった。

 一つは、二次元の存在が、三次元を経由して点Aから点Bへ移動するために、どうやって次元をひとつ上がるのかという問題で、もう一つは、どうやって空間を折り畳むのかという問題だ。


 人類の英知は、前者の問題を大出力の縮退炉を利用した無限に近いエネルギーで高次元トンネルを潜り抜けるという力業で解決した。

 ゲートはその穴を固定するための技術で、その道程は次元トンネルや次元チューブなどと呼ばれている。これを使えば高次元トンネルを自力で潜り抜けられない船舶でも高次元トンネル航法と同じ効果を得られるわけだ。

 

 だが、後者の空間を折り畳むなどと言う行為は、たとえ無限に近いエネルギーを手にしたところでおいそれと敵うはずもなく、何をか言わんやと言うところだったのだ。

 

 ブレイクスルーは、偶然から訪れた。

 海賊に襲われた当時最先端の船が、とある奇妙な重力場で当時最大だった縮退炉を力の限りぶん回したのだ。


 その後海賊を振り切ったのはいいが、その船がいたのは常識では考えられない場所で、人類の活動圏から三十光年も離れていた。

 可能な限りコールドスリープを利用しながら全速で飛んだ結果、その船は七十年後に半分ほどの生き残りと共に人類の活動圏に戻ってきた。船内で経過した時間は、おおよそ六十年ほどだった。


 そうして、その船の航行記録から最初の特異点が発見されたのだ。


 研究の結果、三次元の世界は、高次元の世界では最初から複雑に折り畳まれていることが分かったのだ。

 先の例でいえば、三次元世界で紙をクシャクシャに丸めても、二次元世界における点Aと点Bの関係は変わらない。高次元の世界では、三次元空間は最初からクシャクシャに丸められていたのだ。


 その折り畳まれ方には何らかの法則があるようだったが、完全な法則は未だに解明されていない。

 偉大なる宇宙物理学者であり数学者でもあったゲースが、素数分布との類似性を指摘したが、それは現在においてもただの仮説であり証明には至っていなかった。


 ともあれ、人類は偶然発見された最初のポイントから、仮説に従って折り畳まれ接触している地点を見つけてはその位置を記録し、必要ならゲートを建設してその版図を広げて行ったのだ。

 

「つまり、高次元トンネル航法が利用できる場所は限られていて、行く先も固定されているってことか?」

「そうです」


 だから、星間国家というのは、そのトンネルが繋がった先に、たまたま居住可能な惑星が存在していた場所にだけ築かれていた。

 そしてトンネルは、ほとんど無数にあった。黎明期には、我先にと冒険者たちがそれに飛び込んでいったのだ。


「じゃあ、なんでこいつはどこへでも移動できるようなUIになってるんだ?」

「分かりません」


「ふっふっふ。そいつは自信作だぞ。なにしろ転移魔法の応用だからな!」

「転移――」「――魔法だぁ?」


 マックスとカリーナはお互い顔を見合わせると、リンの方を振り返った。

 リンは腕を組んで胸を反り返らせながら、鼻の穴をぴこぴこと動かしていた。それを見たマックスは、こいつ、意外とかわいいところがあるよなと、場違いなことを考えていた。


「とても信じられんが、この際それは置いておこう。だが、転移魔法なんてものがあるんなら、高次元トンネル航法なんかに頼らなくても、ロングワープができるんじゃないのか?」

「そうでもないのだ」


 リンの話によると、距離が延びれば伸びるほど、必要な魔力も急激に大きくなっていくようだった。

 そのため、さすがに魔力キャパシタを使用しても、一気に長距離を転移することは難しいらしかった。


「それで、そいつはいつかは可能になるのか?」

「今すぐは無理だな。最も簡単なのは、キャパシタの容量を増やしてやればいいのだが、いかんせん資材が足りん……」

「資材があれば可能なのか?」

「もちろんだ! 理論的には、一度に放出される魔力が∞なら、移動できる距離も∞になるのだ。ただなぁ……キャパシタのサイズが大きくなると、チャージにかかる時間が幾何級数的に増えて行くのだ」


 魔力キャパシタの容量を増やすと言うのは、袋を大きくするのではなく、高圧に耐える同じ大きさの袋を用意するようなものらしい。

 袋の中に空気を詰め込む際、内部の圧力が高くなればなるほど、外部から空気を入れようとしてもなかなか入らなくなっていく。つまりは入力の効率が落ちて行くわけだ。


 プリックリーには駆逐艦規模の高機能な縮退炉が搭載されているが、それでも出力が足りなくなる可能性が高いということだった。


「それって、無限大の魔力をチャージするためには、無限大の時間が掛かるってことじゃないのか?」

「ぐんそー、たまには賢いな」

「ついでに、資材も無限大に必要ってところだろ?」

「ぐんそー、人には、口にしていいことと、いけないことがあるのだぞ?」


 リンがちょっと拗ねたような口ぶりで、口をとがらせながらそう言った。


「はいはい。結局、問題は単位時間当たりの出力性能か」

「そうだ」


「まあ、そう悲観することもないだろ。可能ならショートワープを連続して使えば、ロングワープと大差ない結果が得られるんじゃないか?」

「ぐんそー、それはなかなかいいアイデアだ! それなら魔力キャパシタを増設することでなんとかなるかもしれないぞ」


 とは言え、仮にショートワープで三十万キロを跳べたとしても、それの準備に一秒かかるなら、光速に近い速度で進んでもかかる時間は大差ない。

 こいつの真の利点は、現在の加速方向に関わらず、何処へでも移動できることにあるだろう。


「その魔力キャパシタってのは、フルチャージしないで解放することもできるのか?」


 もしも可能なら、容量の大きなものを作る方が有利だろう。


「できることはできるが――」


 中途半端なチャージでフル放電――じゃなくて、放魔か――し続けると、徐々にフルチャージ時の容量が減っていくとのことだった。キャパシタとしての性能が落ちて行くのだ。

 また、放出は常にすべてを放出する仕組みらしい。


「それで小容量のものが沢山取り付けられているんだな」

「その方が使い勝手がいいのだ」


 必要な魔力量に応じて、適切なキャパシタが解放される仕組みのようだった。


「だけど、距離と必要魔力にもしもインバース・スクエアの法則のようなものが成立するなら、魔力は三次元空間で全方向に広がっているということですよね?」


 俺たちの話を聞いていたカリーナが、一つの仮説を唱えた。

 インバース・スクエア――逆二乗の法則――は、発生源が点と見なせる物理量の大きさは、発生源からの距離の二乗に反比例するというものだ。

 これは発生源から全方向に向かって広がっていくことを考えれば自明なのだが、もしもそれが正しいとするなら、魔力の広がりに指向性を持たせることで、同一の魔力量でより大きな物理現象を起こすことが可能になるのではないかと言うわけだ。


「ふーむ。魔力の指向性か……ま、それは後で考えてみるとしよう」


 リンが腕組みをして、何やら考え込んでいた。


「それから、軍曹。『サーチ』ってのも謎なんですが」

「サーチ? レーダーのことか?」


 レーダーと言う機器は、大雑把に言えば、電波や光を放射して、何かに当たって反射したそれを捕まえることで相手を認識する技術だ。

 大気中では減衰がひどいし、惑星表面が球面上であることも手伝って、最大探知距離が大きく制限されているが、なにもない宇宙空間ではどこまでも届くと言えば届く。


 ただしその速度は光速に縛られているから、30万キロ先の物体を探知するなら最短で2秒が必要になるし、仮に1光時先を捉えることができたとしても、それを知るまでには2時間が経過していることになる。

 当然、相手はその場所にはいないだろう。


 惑星上の戦闘では、ステルス性能の発達で以前ほど役に立たなくなって久しいが、わざわざ航宙艦を丸ごとステルスにしても意味は薄いしコストも馬鹿高になるので、索敵を行う小型艇以外は通常そうなってはいない。

 つまり、宇宙では未だに現役で使われている技術だった。

 

「違うぞ」

「じゃあなんだよ?」

「これはサーチの魔法の結果を表示するものなのだ」

「なんだそりゃ?」


 サーチの魔法は何かを探す魔法だ。リンによると、発動者によって非常に様々な条件を付けられる柔軟性ナンバーワンの魔法だと言うことだ。

 もっとも本来の発動範囲は、せいぜいが数百メートルから一キロメートルと言ったところだったそうだが――


「いやー、無限の魔力供給ってのは凄いぞ」


 縮退炉から得られた魔力を際限なくつぎ込むことで、その範囲も際限なく広がっていくのだとか。


「際限なくってなんだよ?」

「言葉通りだが? こちらは瞬発力がいらないので、キャパシタを利用する必要もない。随時たれ流せばいいのだ」


 一緒に話を聞いているカリーナは、すでに理解を放棄したのか、そういうものだと受け取ることにしたようで遠い目をしていた。さすがは傭兵、生き残るためには悪魔に魂を売り渡すことも厭わないと言われるだけあって、割り切りが早い。

 便利な道具は道具として使えればいいのであって、それ以上の理解が精神に負担をかけると言うなら、そこは無視しておけばいいのだ。


 ともあれ、現在の魔力コンバーターで利用できる通常の最大探知距離は、ざっと六十光秒、千八百万キロと言ったところらしい。

 ただし、探知対象の数が多かったり、条件が複雑だったりした場合は、それに合わせて距離も減じてしまうという謎仕様だった。


「待て。レーダーじゃないんだよな?」

「違うぞ」

「もしも、もしもだぞ? この星の上空で使用したら、惑星上にある何かの場所が全部探知可能になるってことか?」

「理論的にはその通りだが、探知対象が多すぎる場合、正確に捉えられるかどうかは使用者の能力によるな」

「使用者の能力?」

「そこに表示するのなら、トゲトゲの能力、というよりこの船のコンピューターとやらの処理能力の大きさに制限されるのだ」


 マックスは、それを、メモリが足りないとか処理速度が足りないとか、そういう話のようなものだろうと理解した。


「なるほど。まあスゲーことに変わりはないか」

「軍曹?」


 カリーナが不思議そうにマックスを見た。


「いや、考えても見ろよ。敵の部隊の隊長が誰なのか分かった瞬間、どこに隠れていようと、サーチしてピンポイントで攻撃できるんだろ?」

「相手が、対サーチ魔法で身を隠していなければ、その通りだ」

「対サーチ魔法なんてのまであるのかよ」

「そりゃあるぞ。そうしないとやられてしまうではないか」


 相手が魔法を使うことが前提の戦闘は、守る方もそれを防ぐための魔法を開発するに決まっている。そうしないと一瞬で勝負がついてしまうからだ。

 現代におけるレーダーとステルスの関係みたいなものかと、マックスは納得した。

 

 だが、現代において、相手は対魔法など考えてもいないだろう。つまり――


「やりたい放題ってことか……」


「軍曹、軍曹、大変です!」


 そこに、フェリシアとショートの二等兵コンビが駆け込んできた。


「どうした?」

「この船、クルーがどこにもいません!」

「いや、お前達がクルーなんだろ?」

「操船や戦闘に関しては仰る通りですが……施設を運用するクルーが誰もいないんですよ! コックや給仕はおろか、機関部員まで誰も!」


 マックスがリンに顔を向けると、彼女は、ふるふると首を振った。


「どうやら全部不要らしいぞ」

「そんなバカな?!」


 軍艦なら多数のクルーが必要だが、この船はあくまでも商船。言ってみれば輸送艦だ。ごく少人数で運用できるように、ほとんどすべてが自動化されている。


「なら、食事とかはどうするんです? まさか女性の下っ端ってことで私が?!」


 フェリシアが不安そうに言った。どうやら家事は苦手のようだ。

 

 バイアムには性差による区別はほとんどない。差別意識がどうとか言う以前に、きちんと区別するとコストが二倍になるからだ。

 それに極限の環境に置かれる以上、隊全体で最高のパフォーマンスを発揮することが要求される。

 つまりは、適材適所と言う絶対原則の下で、ジェンダーなどと言う考えはゴミ以前に発生さえしないのだ。

 

「馬鹿言うな。苦手な奴にやらせるはず――」

「フードクリエイターが全部やってくれるぞ?」


 リンは、またもやどや顔で自信満々にそう言い切ったが、誰もフードクリエイターがなんなのか解らなかった。


「フードクリエイター?」

「なんだそれ。自動調理器のことか? しかし、あれは決められたものを作るだけの、言ってみれば、高機能自動販売機だぞ?」


 バリエーションもないし、長期間の航行には向かなかった。

 毎食、自販機のうどんだけで何か月も暮らせるはずがない。


「よし、みんなついてくるのだ!」


 そう言って、リンは小隊全員を食堂へと連れて行った。


 そこは詰めれば200名くらいが食事できそうな場所だった。壁際に8台のフードクリエイターとやらが並んでいる。


「な、なんでこんなに広い空間が……」


 カリーナが目を点にしていたが、どうせまた、亜空間を利用した部屋に違いない。


「食べたいものをイメージすると、そのランプがつくのだ。そうしたら、そのボタンを押すことで、それが出てくるぞ」

「はぁ?」


 目の前のフードクリエイターとやらに、難しいUIは一切なかった。ただ、トレイが置かれるようなへこみと、ランプが一つ、そうして〇と×が書かれたボタンが二つ付いているだけだったのだ。


「これで食事を作るのか?」

「そうだ。研究中はお世話になったものだ」


 マックスは、おそるおそるそれに近づいて、詳しく観察してみたが、そんな大それた機械には見えなかった。

 

「試しに、何か作ってみるといいぞ」

「ふーん。だが、飯にはちょっと早いな」


 そう呟いたマックスが、何かをイメージすると、緑のランプが点灯した。


「よしいいぞ。〇ボタンを押すのだ」


 言われた通りマックスが〇ボタンを押すと、複雑な魔法陣が描かれた後、そこには、ふっくらとした見事なパンケーキが食器ごと現れた。


「おお? マジかよ!? すげえな、これ!」

「だろう!」

「×ボタンはなんだ?」

「イメージしてランプが点灯した後、やっぱり別のものが食べたいときに押すのだ」

「キャンセルボタンか」


 パンケーキが出た後もランプは緑に点灯したままだったが、5秒ほどすると消えた。

 

「食べ物を作り出した後、5秒間は、同じものをボタンを押すだけで作れるのだ」

「そいつは便利だな」


 全員に同じものを作るのなら、イメージは一度で済むってことだ。


「だが、この機器には実は大きな欠点があるのだ……」

「欠点?」

 

 マックスは、眉をひそめてそう呟いた。

 リンが欠点などと明言することは珍しい。素材を馬鹿食いするとかだろうか? なにかとてつもないトラブルの臭いがして、彼は思わず身構えた。


「3回使うごとに爆発するとかか?」

「ぐんそーは馬鹿なのか? そんな道具は役に立たないだろう」


 リンが呆れたようにそう言ったが、マックスはお前が作るものなら十分あり得そうで怖いんだよと、心の中で毒づいた。


「あのな……想像力で料理をするということは、自分の想像できない料理は作れないということなのだ」


 リンは明日で世界が終わりそうな顔をしてそう告白した。

 研究室に閉じこもっている間はそれでよかったのだが、この世界にやって来て、あちこちのお店で美味しいものをたらふく食べた後では、さすがにあまりに貧相だった自分の食生活が嫌になったようだ。


「私は3つしか作れないのだ」と、変なビスケットもどきの棒を作り出して、ポリポリと小動物のように齧りながらしょんぼりと肩を落とすリンを見て、マックスは思わず噴き出した。


「なんだ、そんなことか」

「なんだじゃないぞ! 切実なのだぞ!」


 昔は気が付かなかったが、ここへ来て、色々な食べ物を食べたリンは、食の豊かさに驚き、嵌り、ついには過去へと戻れなくなっていた。


「そんなの、料理の得意な奴に作ってもらえばいいだろ。コックと同じさ」

「え?」

「いや、だから料理の得意な奴に作るのは任せて、食うだけにしておけばいいってことだ。調理器具だと思えば、ものすごく便利だろ、こいつは」

「お……おお! そうか! そうだな!」


 ずっと一人で暮らしてきたリンには、誰かに何かをしてもらうと言う習慣がなかった。だから、すべてを自分でやらなければならないと思い込んでいたのだ。

 それは、彼女の目から鱗が何枚もはがれ落ちた瞬間だった。


 そうしてマックスが作り出したパンケーキを分けてもらった彼女は、ほくほく顔でそれを楽しんでいた。


「ぐんそー、うまいのだー!」


 トゲトゲに乗り込んだ六名のクルーは、最初こそ、その船の非常識さに驚いていたが、存外すぐにそれになじんだ。何しろ彼らは航宙艦に関してはずぶの素人のようなものだったから、異常をそれほど異常と認識せず、ただ、そういうものかと受け入れただけだったのだ。

 唯一、現代の航宙艦に詳しいカリーナだけが、いつまでも頭を抱えることになった。


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[良い点] おもろー [気になる点] とくになかった [一言] クルーの中に料理がうまいやつが果たしているのだろうか
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