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8話:妙子の出産とトヨタ省燃費車が世にでる

 そして1988年2月18日に佐藤妙子に子供ができ、出産予定日

が8月10日と知らされた。8月8日から豊田市の完成したばかりの

トヨタ記念病院に入院し、8月10日に双子の男の赤ちゃんを出産し、

長男を良一、次男を良二と名付けた。そして4週間の出産休暇と2週間

の有給休暇を使い9月末日に久しぶりに会社に出勤した。


 しかし産休で家にいる時もファックスで計算の依頼が来て計算を終える

と夕方、ファックスで結果を知らせる毎日が続いた。そうして1988年

も足早に過ぎて1989年を迎えた。かなり前の話になるが1974年の

第一次オイルショック、その後の1980年の第二次オイルショックで

原油価格が上がり、それにつれてガソリン価格が急騰した。


 この不安定なガソリン価格を逆手にとって燃費の良い車を作ろうという

プロジェクトがトヨタ自動車社内で秘密裏に進んでいた。そして1989年

の6月に佐藤妙子が、ある新型車のプロジェクトチームに配属されて、

多くの条件での計算をするように指示され数字に追われる日々が続いた。

 しかし開発している車の内容については極秘事項で全く教えてもらえ

なかった。


 ただ発電機をつけた車であることだけは、わかった。後でわかった事だが

、その頃ガスタービンのエンジンや電気自動車の試作品を作り、日夜、

テストをしていて、そのデータの計算を佐藤妙子にさせていた。そう言う

長い間の試行錯誤の末1992年にはEV「電気自動車」開発部が新設され

、燃料電池車の開発のプロジェクトも発足。


 そしてトヨタでは1992年から「21世紀のクルマ」の検討が始まった。

 その頃、佐藤妙子は長年の会社への貢献を認められて1992年4月

に勤続7年でトヨタ自動車、「21世紀のクルマ」プロジェクトチームの

計算部門の責任者として特殊計算課の課長に任命され、同じ時、妙子の

旦那さんの佐藤勤一もエンジニア部門の整備課長に任命された。


 双子の良一と良二は3歳になりトヨタ自動車の関連の保育園に入園して

通い始めた。1993年にはタウンエースバンEV「電気自動車」と

クラウンマジェスタEV「電気自動車」が発売され官公庁に納品された。

 本格的なプロジェクトがスタートしたのは1994年1月。

「資源問題と環境対応に何らかの解答を出す」という漠然とした方向性は

決まっていたものの、どんなクルマにするのか具体的なことは何も決まって

いなかった。


 共通認識として「最低50%以上の燃費向上」という目標があり当初は

直噴エンジンの効率化で対応しようとしていた。そこに、

「燃費向上は最低でも100%でなければならない」と号令が飛んだ。

 つまり従来燃費を2倍にする挑戦だった。それはエンジンの効率化だけ

で達成できるものではなかった。この目標ができたことで、

「21世紀のクルマ」は必然的にハイブリッドカーに決定した。


 1995年の東京モーターショーにプリウスの名でコンセプトカー

が出展された。まだハイブリッドシステムという言葉は使われず、

ガソリンエンジンをモーターでアシストする

「トヨタ・エンジン・マネジメント・システム」が新パワーユニットだと

紹介された。


 この時、ハイブリッドと言えば、電気モーターとCVT「無段変速機」

を組み合わせた方法が考えられており、いわゆるパラレル方式のシステム

だった。ハイブリッドには、大きく分けてパラレル方式とシリーズ方式

がある。パラレル方式はモーターの動力を直接駆動に用いるもので、

シリーズ方式はエンジンを発電のために使い駆動はモーターによって行う。

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