１１話：佐藤勤一の営業センス１
佐藤勤一は、その後レクサス瀬戸店の副店長に就任して生まれて初めて
営業をする事になり、朝出かけるときにスーツ、シャツの着方は問題ないか
とか身だしなみを奥さんにチェックしてもらった。鏡の前で笑顔の作り方、
話の入り方、相槌の打ち方、商談の持っていき方、最後に購入までの締め方
を営業の本を読んで学び、そこに出ていた言葉を暗記して、実際の営業の
場面で実行してみた。
すると、もともと浅黒くて足が速くスリムだが筋肉質であり３０、４０代
の富裕層と思しきマダムに、もててファンを作った。そして１０月にレクサス
の買い換えに成功して１台購入してもらった。その後、ライバル社の研究を
して日本人にはＢＭＷ、ベンツ、アウディ、ボルボ派がいることを学び、
それぞれの車の攻略法を練り、いくつものストーリーを書いて、演劇の
稽古のように、自宅で、自作自演をして営業活動の練習した。
それを奥さんが見て、良い方法を何通りか教え、うまくいくように思えた。
２００７年には冬に１台、春に２台、夏に１台、秋に２台、年末に２台と
合計８台を売り、売上金額コンテストで３位に入った。これで、営業の面白さ
を知って２００８年からはテニスの練習、ゴルフの練習に富裕層マダムの仲間
に入り、教えるようになった。そして２００８年も９台を売上金額コンテスト
２位を獲得した。
その報奨金が大きくて以前、アメリカ時代よりも手取り年収が３割アップして
軽く１０００万円を越えた。その後、奥さんの佐藤妙子も現在の仕事に飽きて
、千葉に帰りたいねと言うようになり、２００９年２月に、その話を以前
お世話になった人事部長に、その気持ちを打ち明けると、１つだけ良い方法が
あると良い、それは佐藤妙子さんがレクサス販売店の経理をやって旦那さん
が副店長か店長で赴任することだと言った。
佐藤勤一はレクサス営業部の中でも優秀なセールスマンとして評判が高い
から千葉市の近くで空きがあったら知らせると語ってくれた。そして２００９年
４月の人事異動で佐藤勤一のレクサス千葉店の営業部で是非欲しいと言われ
、その人事異動が認められたので佐藤妙子が一緒に移動するという条件を
人事部長が営業の上層部に上手に話してくれ、２人同時にレクサス千葉店に
移動することができた。
その後、４月２日に実籾駅近くに２ＬＤＫのマンションを７万円で借りて
引っ越しを終えた。そして４月５日、初出勤の日、実籾駅から京成千葉駅
まで３０分で到着した。４月７日、佐藤妙子さんの実家の成田までも３０分
と近く、店を訪ねると久しぶりと言われ、今度、豊田市から実籾駅前の
マンションに引っ越したというと、それは近くなったと言い時間が空いたら
成田の店にも顔を出せと言われ、わかりましたと答えた。
その後、佐藤勤一は習志野、船橋、千葉のライオンズクラブを訪ねて挨拶
回りをして、とにかく顔を売るために会合に参加し先行投資としてコルフ
コンペの集計や商品をそろえたり黒子に徹して裏方をして顔を覚えてもらった。
５月連休あけの習志野ライオンズクラブのゴルフコンペの手伝いをし
メンバーを見送る時にメンバーの名前と車の名前、おおよその使用年数を
見て覚えた。それとなくベンツ○○○は格好良くて加速が鋭いですよねと良い
、ただ燃費が悪いのがネックですねと言うと何でそこまで知ってると驚いた。
