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悪の組織とその美学  作者: 桜椛 牡丹
第一章 『悪の組織とご当地ヒーロー』
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初戦敗退 その4

防御力に優れた黒タイツを着ているとはいえ、常人以上の力を持つ人間から加減なしの一太刀を貰えば、誰でも一撃で倒れ伏す。

「ぐっ……がほ……!」

電柱位なら平気で両断する一撃。なるほど確かに、毎回のようにこんな痛みを受けていては、誰もがやりたがらなくなるのは必然であろう。むしろその攻撃力を平気で相手に向けるこの2人や、それを激痛を伴うとはいえ傷一つ付かずに受けきるこの黒タイツの方が異常なのだ。


「後は貴方だけです、怪人ホッタッコ」

黒タイツを何人斬りしようが疲れる様子ひとつ見せないウンディーネが、その切っ先をホッタッコに向ける。当の本人といえば、サラマンダーによってタコ足型の義腕を全て破壊され、息も絶え絶えになりながら己の武器である巨大爪楊枝を構えている状態であるのだが。


「楽しませてくれた礼だ。せめてこの技で倒してやるよ」

言うが早いか、ホッタッコから距離をとったサラマンダー。その手に持つ槍を中心に、螺旋を描く炎の渦。その業火は瞬時に辺り一帯の気温を上昇させ、アスファルトが熱したフライパンのような熱をもつ。


「溶け失せろ!フレア・トルネード!」


ホッタッコ目掛けて、勢いよく槍を突きつけるサラマンダー。その槍自体は届かなくとも、その槍の先から先程の炎の渦が凄まじい速度で延びていき、着弾する。

着弾地点から空に目掛けて立ち上がる炎は、中に囚われた者を瞬時に焼き殺す檻と化した。その勢いはいつまでも衰えること無く、そして──


「見事だサラマンダー!我らダークエルダーに栄光あれぇぇぇぇ!」


怪人ホッタッコの爆発と共に四散した。






「いやー、あん時は死ぬかと思ったな。なんとか技を喰らう前に緊急脱出装置で逃げて、爆散時用のセリフの録音を流す事はできたけどさ」

そう、怪人スーツの装着者であるカゲトラはスーツを身代わりにする事でなんとか逃げおおせた。一応爆散するその時までデータの収集は怠ってはいないらしいのだが、今のところはあの火力に対抗する術は開発できないでいる。

「俺たちの方もスーツの爆発のどさくさに紛れて逃げたけど、ああまで手も足も出ないとはなぁ……」


いかにヒーローとはいえ、女性相手に手も足も出ない悪の組織。その事実が、どんよりとツカサの心にのしかかっていた。

「ま、今は勝てなくてもしょうがないと思っておこうや。従来の怪人スーツじゃ生き残るのが精一杯だし。それに、お前には博士からアレが貰えるんだろう?」

「あれって……ああ、ベルトか?」


勧誘(という名の強制異動)されたその日、博士に見せられたベルト。

確かにあれに特撮ヒーロー並の性能が隠されているなら、ブレイヴ・エレメンツに対抗する事ができるかもしれない。


「実力不足は否めないけど、ブレイヴ・エレメンツとの戦闘の後に渡すみたいには言ってたんだよな。……悪いカゲトラ、ちょっと聞いてくる」

「おう、いってこい」

カゲトラはそう言って手をひらひらと振ると、今度はその場で腕立て伏せを始める。誰もそれを見ても注意すらしないのだから緩い悪の組織だ。


「さて」

目指すは博士のいる研究室だ。

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― 新着の感想 ―
ヒーロー側はちやほやされて…って感じかな? 如何せん悪側がギャグ寄りだから自分たちがどんな技を相手に向けて放っているのかを理解して無さそう
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