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悪の組織とその美学  作者: 桜椛 牡丹
第三章 『悪の組織ととある抗争』
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ドキッ☆強面だらけのタマ取り大会! その2

連続投稿二本目。

全部で三本上げていますので、お間違えのなきよう。

 「死に晒せやキモイ全身タイツがぁ!」

 「あぁん!?案外着心地がいいんだぞゴラァ!」

 「キモイは否定しねぇのかよ!?」

 「それより俺の埋めた爆弾どこだか忘れたんだけど、どうしよっか」

 「どうしよっかじゃねぇよぉぉぉ!」


 野太い怒号に爆発音、それにヌルッとかネチョッとかの特殊な効果音に、熱々のタコ焼きに口内を火傷し転げ回る強面のおっさん。更にはおっさんがギャグのように吹っ飛んではゴミ箱にインしたり、波〇拳らしきモノを受けて吹っ飛ぶ黒タイツや怪人スーツの絵本読み聞かせでぐっすり眠ってしまったおっさんなどなど。

 正に混沌、阿鼻叫喚の地獄絵図。

 そんな中で黒雷は、最初の位置からほとんど動かず、霧崎と打ち合いを続けていた。

 前回の続きだとも言わんばかりに、二人の両の腕は高速で交差し。足さばきは大きく位置を変えずに、ただし留まることは無い。

 最早お互いに遠慮なしの、楽しむ為のものではなく相手をはっ倒す為のやり取り。


 「思っていたより頑丈だな、その鎧」

 「当然だ。ウンディーネに斬られ、デブリヘイム・カブトにボコボコにやられた後も改良を続けたウチの博士の自信作よ。生身の人間がそう易々と打ち抜けると思うてくれるな。……アンタこそ、こっちの攻撃で痣すらできないのやめてくれないか? 凹んでしまいそうだ」

 「手を抜ける相手じゃないのは分かってンだ。ならば最初から全開で挑むのがスジってもんだろうよ!」

 二人して、攻撃を交わしながらも口数は減らない。少しでも情報を集めようとしているのか、単に黙って戦えないだけか。

 周囲が乱戦の様相と呈する中で、二人はただ着々と会話を進めていく。


 「総会を襲う理由は何だ?」

 「知らん。ウチの総長に聞きな」

 「わざわざ襲撃日を予告した理由は?」

 「そうしろって指示だ。俺には潰したいのか傘下に入れたいのかも分からねェよ」

 黒雷がトンファーを繋げ、一本の棍として霧崎を襲う。円のように回して威力の増した先端を振り落とす攻撃に対し、霧崎は攻撃を受け止めるやり方から受け流す方法へと切り替えた。

 「アンタ達ダークエルダーは……そうか、雇われたって言ってたな」

 「そうさ。金と今後の関係の都合上、な」

 「難儀な話だな」


 今度は霧崎がその辺に落ちていた長ドスを気功によって強化し、棍の攻撃を切り払いながら間合いの内側への入り込んでくる。

 対して黒雷はおもむろに棍を手放し、長ドスを迎え入れるかのように両手を広げた。

 「ッ──馬鹿がっ!」

 「アンタがな」

 一瞬の困惑の後、そのまま刺し穿つつもりで伸ばした霧崎の長ドスは、しかし途中で飛来したトンファーによる側面へと攻撃で逸れてしまった。

 「なっ……!?」

 黒雷からすれば、棍として手放した後、ヴォルトの力によって操作してもらい、トンファーの形状に戻した後ブーメランとして扱ったまでの事であるが。霧崎からすれば、手放した武器が勝手に飛び回るなど常識の埒外であったのだろう。

 だからこそ作れた隙。


 「捕まえた」

 黒雷は広げた両腕でそのまま霧崎をガッチリとホールドし、ヴォルトの力によって地面と自身に対し強力な磁力を付与してもらう。

 同じ極を付与された物体同士は反発し合う。その作用を利用して行われるのは、飛行能力を持つ者しか辿り着けない領域への侵入。

 つまりは超特大ジャンプである。

 「おまっ正気か!?」

 「考えたんだ。アンタの気功は確かに強力だが、有限でもあると。ならば一瞬で使い切らせるにはどうしたらいいかってな」

 話している間に辿り着いた先は公園の直上、上空700mの領域。

 「ここなら、流石のアンタでも地面に辿り着くまでに気絶か、大きく消耗するんじゃないか?」


 そこで黒雷は手を離す。

 元々反発の力のみで飛び上がった二人に、重力に抗う術なぞありはしない。

 富士山の山頂ほどの高さからの、ノーパラシュートスカイダイビング。これが黒雷の考えついた、霧崎に対しての対抗策であった。

 「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……!!」

 何の心の準備もなく天上の世界へと連れてこられたら、どんな人間だって恐怖する。

黒雷はこの一瞬の為だけに何度も練習し、無傷で地上に降り立つ算段がついているからこそ少しは平気なのだ。もちろん怖いものは怖いが。

 ぐんぐんと迫る地上に対し、霧崎はどうにか姿勢を整えながら、右腕に全ての力を注いでいる様子。

 どうやらぶつかる前に全力の気を放つ事で落下の勢いを殺そうとしているようだ。

 黒雷は元よりヴォルトの磁力操作頼りである。

 「さぁ、お互い頑張ろうぜ……?」

 それから数秒後、二人は地面へと辿り着いた。

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