ドキッ☆強面だらけのタマ取り大会! その1
暇だっ……ゲフンゲフン。頑張って三本分書きましたので、一気に投稿してしまいます。
こちらが一本目になりますので、お間違えのなきよう。
「……なんだよ、結局ダークエルダーそろい踏みって事かよ」
本日は晴天。我らダークエルダーの心に一点の曇りなし。
相対するは、強面のおっさんおっさんおっさん……。霧崎が率いるヤクザ達である。
結局襲撃予定日の前日までなんの音沙汰もなかった為、仕方なく相手ヤクザの構成員の数名を真夜中にご同行(強制)いただいて、矯正施設特急コースで口を割らせた結果、守るべき御屋敷に一番近い公園(奇しくもツカサ達が霧崎と遭遇し訓練していた場所)で集合してから襲撃を仕掛けるという情報を得た。そのためその公園の周囲に潜伏し、集合しきるのを待ってから姿を現した結果の対立構造である。
集まる途中で襲撃した方が楽だったろうが、もし数を見誤り本体をとり逃す事があってはならないと、そう言った判断の結果であった。
「いやぁ黒いの……できれば、二度と出会いたくはなかったな」
「せめて一度呼んだ名前くらい覚えていたらどうだ? ……まぁ、いい。残念ながらこちらも雇われの身でね、金を貰う以上は働かねばならんのだ」
強面のおっさん達約100名。その彼らの前に立つ霧崎は、その台詞通りとても嫌そうな顔をしている。
その集団に立ち向かうかのように並ぶのは、20名の全身黒タイツと4名の怪人スーツ。そして我らが黒き鎧のダークエルダー幹部候補、黒雷である。
実際はまだ戦力はあるのだが、二面作戦を警戒して総会本部や下位組織に配備しているため、必要十分なだけの精鋭部隊のみが霧崎と対峙する事になったのだ。
25対100。単純に見れば1人あたり4人で囲まれて叩かれて終わりな戦力差ではあるが、彼らの目に怯えはない。
何故なら彼らは、常日頃からヒーローと対峙し、デブリヘイム事変も最前線で活躍してきた猛者達。
あのデブリヘイム『マザー』を見て、今更強面のおっさんに怯えるような者達ではないのだ。
「どこで作戦が漏れたのかは知らんが、まぁ対峙しちまった以上は相手してやらなきゃならねぇわなぁ……」
霧崎は心底ダルそうに、嫌気と焦りの表情を隠そうとしない。数日間の付き合いではあるが関わりのあったツカサとしては、彼がそんな表情を見せるのは珍しい気がして、つい気になってしまう。
そこでフと、その強面のおっさん達の中に椎名の姿が見当たらない事に気が付いた。
「戦う前にひとつ聞いておきたいのだが、アンタ達の戦力はそれだけか? 前情報によれば、もう一人ヒーロー級の戦力がいるという話だったが……」
「……へぇ。結構嗅ぎ回ってたんだな。残念ながらこっちは、ダークエルダーを相手にするように想定してなくてね。面子はこんだけさ」
それが最後の問答のつもりだったのだろう。霧崎は肩を慣らすように回すと、一人前へと出て拳を構える。
「改めて名乗らせてもらおう。とある組織の組長をやってる、霧崎 龍馬だ。怪我ァしたくなかったらどいてくれ」
対する黒雷もまた前へと出て、今度はきちんと忘れずに持ち出した一対のトンファーを構える。
「………ダークエルダー第一傭兵部隊所属の黒雷だ。生憎と今までまともに役職付きで名乗った事がないので、半端な感じになるが許してくれ。あと退くつもりは毛頭ない」
名乗りというにはあまりにもグダグダな感じになってしまったが、それでもこの場にいる全員は真剣な顔(片方の陣営は全員顔を隠しているが)で衝突の時を待っている。
少々の静寂の後、黒雷と霧崎は同時に号令を放つ。
「「かかれぇっ!!」」
『うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』
漢達の雄叫び。事前にダークエルダーが退避させた無人の住宅街にその雄叫びは大きく響き、遂に両者は衝突した。