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悪の組織とその美学  作者: 桜椛 牡丹
第一章 『悪の組織とご当地ヒーロー』
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初戦敗退 その2

その日、ツカサは朝早くからカシワギ博士に呼び出されていた。

まだ転勤したばかりで仕事に不慣れな事を自覚しているツカサは、何か問題を起こしてしまったのかと戦々恐々としながらも呼び出しに応じたのだが、博士の研究室に入って開口一番に、

「今日、君にはヒーローと戦ってもらおうと思っておる」

そう、面と向かって言われたのである。

「つ、ついにですか…!?」

「ついにじゃ。というか戦闘員として君を配属させたのに、事務仕事ばかりやらせていては持ち腐れじゃろうて。なんで、今日仕掛けてみようという話になってな?」

博士の話では夕方頃にいつもこちらの活動を妨害しに現れるらしい。活動時間帯と外見からしてこの町のヒーローはまだ学生なのではないか、という憶測もあるが、真偽のほどは定かではないそうだ。

また、何らかの手段で記録映像やら目視による印象を誤魔化しているようで、記録やモンタージュを作成しようとしても上手くいかないとの事。


「ヒーローも正体さえ分かれば打つ手はあるんじゃがなぁ。その辺は用心深いようで、妨害に現れた所を迎撃するしかないのが現状じゃ」


それも全戦全敗。なんとか必要な作戦は行えているものの、このままではいつまでたってもこの町を支配下に置く事ができない。オマケに普通の組員はみんなヒーローと戦う最前線よりも、安全な支配済の地域への異動を希望するため、ヒーローと対峙している基地は常に人材不足なのだそうだ。


「おっと、話が逸れたな。なので、君にも早くヒーローとの戦闘に慣れてもらいたいわけじゃよ」

そう言って博士は近くにあったダンボールを漁り、中から新品の全身黒タイツを出してきた。

「まずは普通の戦闘員として参加してもらう。それが終わってから、君にはあのベルトを渡そうと思っとる。ここまでで何か質問はあるかの?」


今は特にありません、とだけ答えると、博士は作戦をまとめた書類をツカサに渡し、話は終わったとばかりにすぐにまたデスクへと向き直った。

ツカサもなるべくポーカーフェイスを維持しようと努力しつつ、内心ウッキウキのワックワクになりながら部屋を後にする。


作戦の決行は本日の夕方。ついにヒーローの実力が見られるのかと思うと、作戦開始時間を待ちきれないツカサであった。


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