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悪の組織とその美学  作者: 桜椛 牡丹
第二章 『悪の組織と宇宙からの来訪者、デブリヘイムとニューヒーロー』
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大勝利!『マザー』戦その後 その2

 突如空より強襲した何者かにより、第二形態へと変化した『マザー』は文字通り爆散した。

 誰もが呆然と眺める事しかできない中、その場に残った全員にブロッサム中佐から通信が届く。

 《おい!現場の人間は誰か答えろ!現状を報告してくれ!『マザー』が起き上がってどうなった!?さっきの爆発音はなんだ!全員生き残っているのだろうな!?》


 通信は届いていても、誰もが現状を説明する言葉を持たないというか、なんと言っていいものか頭の中で整理している状態だろう。

 やっとの事で黒タイツの一人がノロノロとインカムに手を伸ばし、あーとかえーとか多用しながらも、なんとか返答を返した。

 「えー……我々は全員、無事です。『マザー』は……あー……正体不明の何者かの攻撃により、爆発四散。……えー、現在再生する兆候は見られません。引き続き死骸の処理に当たっても、いいんですかね……?オーバー」

 《なんだ、ハッキリしないな。……まぁ、いい。倒す手間が省けたと思っておけ。……『マザー』周辺の者は、再生される前に残った死骸を全て焼く作業に着手しろ。他のデブリヘイムと交戦中の者はそちらを優先、気を抜くなよ。オーバー》

 各々が返事を返し、通信は一度途切れる。

 なんだか釈然としない気持ちの中、『マザー』と対峙していた者達はそれぞれやれる事を行うべく動き出したのだった。



 ◇



 「サラマンダー。さっきのアレ、見えた?」

 「ああ。竜みたいな大砲に誰か引っ付いてたな。アーマーでごちゃごちゃした奴。オレの知らない奴だったけど、ウンディーネは?」

 「私もさっぱり。新手のヒーローかしらね?」

 ブレイヴ・エレメンツの二人は爆炎を逃れた仔蜘蛛を一匹ずつ丁寧に潰していきながら、『マザー』の残った腹の部分を細かく切り刻み、炎の中へとくべていく作業へと従事していた。

 仔蜘蛛とはいえデブリヘイム、腹だけとはいえ『マザー』。見逃したところでロクなことにならないのは目に見えているので、レーダーで逐一反応を見ながらの殲滅戦である。


 周囲に散ったデブリヘイム達は交戦していたヒーロー達がそのまま戦闘を続けているが、残念ながら『マザー』討伐と同時に逃げた個体も少なくないとの事で、今後それらの発見・討伐はヒーローの責務として重くのしかかって来るだろう。

 親玉たる存在(マザー)が消滅したとしても、全ての個体が消え去るわけではないのだ。また新たな親玉が生まれ、再び人類を捕食しようと動き出す日は遠くないだろう。


 「日本を支配した悪の組織と戦っていたかと思えば、今度はそいつらと協力して人類の脅威と大決戦。その後はまた悪の組織と戦いつつ、人類の脅威の残党狩りかぁ……。オレ達が要らなくなる日ってのは、いつ来るのかねぇ」

 「さぁ、ね。でも、私達にこの力がある以上、守れるモノは全部守るって言ったのは貴女でしょう?」

 「違いないね」


 二人は軽口を叩きながら、レーダーを頼りに仔蜘蛛を潰す。

 一匹一匹が大きさ30cm程もある蜘蛛だ。一般人なら見た目だけでも震え上がるほど不気味な存在だろうが、彼女らは躊躇なく切り捨て、つまみ上げ、炎へとくべる。

 淡々と作業をこなす彼女らを、周囲の黒タイツ達はビビりながら眺めていたとか、いなかったとか。



 ◇



 その晩、作戦終了と共に政府主催の立食パーティーが開かれた。

 戦士達を労う為に用意されたものだが、ヒーローの多くは辞退し、それぞれ帰路についた。

 明日からまた敵同士となるダークエルダーの面々に対し思うところがあったのか、単純にそんな気分じゃ無かったのか、そこは分からないが。


 とにかくこれで、デブリヘイムの脅威はひとまず一段落といったところだろう。

 明日からはまた各々の日常へと戻り、それぞれの戦いを続けていく事になるのだが、それでも彼らの顔に、決戦前までの焦りはなくなった。



 天敵との決戦に勝利した彼らは、また人間同士の小競り合いへと戻る。

 そんな彼らが真の平和を取り戻す日はいつになるのか。

 日本の平和を脅かす、悪の組織ダークエルダーがいる限り、ヒーロー達に安息の時はないのだ。


 戦えヒーロー!負けるなダークエルダー!

 彼らの戦いが、明日の平和へと繋がると信じて──!

次回、キャラ紹介みたいなまとめを書いて、その次の回から本編再開となります。

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