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悪の組織とその美学  作者: 桜椛 牡丹
第二章 『悪の組織と宇宙からの来訪者、デブリヘイムとニューヒーロー』
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決戦!『マザー』を討伐せよ! その6

連続投稿4本目。

これにて連続投稿は終わりになります。

 「やった!」

 ブレイヴ・エレメンツの必殺技により、『マザー』の頭部は胴体より切り離された。

 それは放物線を描いて飛び、アベルの目の前まで転がり、止まる。

 「今助けてやるからな……!」

 アベルは『マザー』の体液で汚れる事も構わずに、切断面から内部へと、中身を掻き分けながら侵入していく。

 絵面は相当ヤバいが、念願が叶う可能性が目の前にあれば、飛びつかないわけにはいかないのだろう。

 そうして万が一にも傷付けないよう慎重に掘り進んでいって、そしてコツンと何かに当たる。

 「例の鉱石だ!その中に反応がある!」

 黒タイツが叫ぶが、ここまでくればアベルにだって分かる。

 数年前に攫われてから、ずっと助けたいと願っていた相手。


 「ゆかりぃぃぃぃぃ!」

 人がすっぽりと収まるサイズの鉱石だが、アベルはそれを自在に加工する事ができる。

 横半分になるよう亀裂をいれ、開けて中身を確かめてみれば。

 そこには確かに、数年前と変わらぬ姿で目を瞑る幼馴染の姿。

 「ああ……あぁ……!」

 「アベル。心配なのは分かるが、今はこちらの医療班に任せてくれ」

 アベルから見て、外見も服装も当時のまま。どこにも損傷等は見当たらないが、化け物の体内に数年間も取り込まれていたのだ。どんな障害や後遺症が残るか分からない。

 「すまない、頼む!」

 「任されろ。絶対無事に君の元へと返してみせる」

 黒タイツの一人はそう言ってサムズアップを決めると、すぐに担架を用意しトラックへと担ぎ込んだ。

 最低限の機材だけを載せ、急発進。

 トラックにはワープ装置も取り付けられてはいるが、それで容態が急変しないとも限らない。そのため一刻も早くきちんとした医療設備の整った場所へと移そうという判断だろう。


 「オレ達が置いてけぼりなんだけどなぁ」

 そう、戦闘に参加した全員が放置されたままなのである。

 《すまない、今すぐ別の車両を回そう。それまでにできれば、『マザー』の死体を処理しておいてもらいたい。他のヒーロー達は交戦中のデブリヘイムの掃討作戦へと移行するように》

 ブロッサム中佐からの通信が切れ、現場には多少弛緩した空気が流れる。

 首を落としてから、『マザー』はピクリとも動かなくなった。それで死んだと思い込むのは危険だが、どうしても油断してしまうのが人間というものだろう。


 だからこそ、反応が遅れた。


 まず瞬時に頭部が()()()

 そして次に両腕の大鎌が再生し、今度はそれが()()()()()()

  更には追い討ちとばかりに、蜘蛛の腹から大量の仔蜘蛛が湧く。

 皆が気付いた頃には、既に三桁を超えそうなほど増えていて。今なおそれが湧き続ける。

 「あー……ラスボスの第二形態ってお約束だよなぁ……」

 とは、誰が言ったのか。誰もがうんざりしつつも、やらねばならないとなればやるしかない。

 【■■■■■■■■■■■■■!!】

 『マザー』が初めて吠える。

 皆が一様に武器を構え、より進化した『マザー』と対峙したその時。

 空から一条の流星が流れた。



 ◇



 それは、突如空中に現れた。

 最初は太陽光の反射でチカチカと瞬くだけのものだったが、高度が下がると今度はそれが縦に伸びる。

 「……竜?」

 黒タイツの誰かが呟く。

 そう、それは見ようによっては竜だ。手足は見えないが、見た目だけなら東洋竜に似ている。

 その竜はまっすぐ降下し、『マザー』を飲み込まんとそのアギトを大きく開ける。

 まっすぐまっすぐ落ちてきて、そして竜のアギトが『マザー』に触れる瞬間、竜は炎を吐いた。

 炎は『マザー』の頭部を貫き、胴を抜け標本のように地面へと縫い付ける。

 直後にそれは大爆発を起こした。

 肉の焦げる臭いが充満し、『マザー』の肉片がそこらじゅうに飛び散る。

 仔蜘蛛の半数以上を巻き込んだ炎は、延焼せずに収束し跡地には、焼け跡と死屍累々の有様のみが残されていた。

 竜の姿は、何処にもない。

 一瞬の出来事で、『マザー』は跡形もなく消し飛んだのだ。

多分もう書き溜めはしないと思います。

これからはまた週一ペースに戻りますので、今後も読んでもらえると幸いです。

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