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悪の組織とその美学  作者: 桜椛 牡丹
第二章 『悪の組織と宇宙からの来訪者、デブリヘイムとニューヒーロー』
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決戦!『マザー』を討伐せよ! その3

遅くなりました。

書き溜めというものをしてたんですが、せっかくの決戦なので溜めてる分全部上げます。


こちらが一本目。全部で四本あります。

 強敵感のあるカブトムシとクワガタを、黒雷とライフルレッドの二人に任せ。デブリヘイムの親玉たる『マザー』を倒すべく、アベルとブレイヴ・エレメンツの二人は暗い森の中を全速で駆けていた。

 「前方約150メートル先、『マザー』の反応あり!覚悟しろよ二人とも!」

 アベルはそういってレーダーをしまい、自身の得物である片手剣と拳銃を取り出す。

 アベルの鎧と同じ素材で出来たそれらは、トウマがアベルと成った後、デブリヘイムから回収した鉱石を鎧が吸収して生成した物だ。

 数々の戦いを共にくぐり抜けてきた武器だが、取り回し重視の為に『マザー』相手には少し心もとない感じもする。それでも、今から慣れない武器を生成するよりは戦力となるだろう。

 火力を女の子に頼るのは一端の男子として抵抗はあるが、もはや四の五の言っていられる時間はない。


 「森を抜けて広場になるぞ。奇襲に注意!」

 成り行きというか、宿敵を相手にするのだからと無理矢理リーダーのポジションにつけられたが、少しは板に着いてきた気がする。

 とはいえ元々はソロで活動してきた復讐者みたいなものだ。自分だけではこれ程の協力者を集める事なんてできなかったし、『マザー』の住処を探るのももっと時間が掛かっただろう。まぁ後者の方は謎の占い師のおかげでもあるのだが。


 「作戦通り、広場に出たらすぐに散開し注意を引いてくれ。俺はその間に『マザー』の体内に人間の生命反応がないかを探る」

 「……なぁアベルさんよ。注意を引くのはいいが、別にあれを倒してしまっても構わんのだろう?」

 「いや構うわ!取り込まれた人がいるかもって話をしただろう!?」

 「冗談だよ冗談」

 ケラケラとサラマンダーは笑う。緊張をほぐそうとしてくれたのだろうが、今のは冗談に聞こえなかったのでやめて欲しい。ウンディーネも呆れた顔で並走するサラマンダーを小突いている。

 それを見て初めて、自分の身体が強ばっているのを実感した。

 大きく息を吐いて、改めて武器を握り直す。


 もう広場は目前、ここまで来たら、後は野となれ山となれだ。

 「二人とも、ありがとう。……行くぞ!」

 「応!」「ええ!」

 二人の返事を心強く感じながら、アベルは全速のまま森を抜ける。

 そしてその広場の中央に、()()はいた。

 それは、とても奇妙な造形をしていた。

 まず、蜘蛛の腹が有った。その腹に8本の脚が付いていて、それのどれもが毛深くも頑強そうな黒光りを放っていた。

 その蜘蛛の腹に、ムカデの胴とカマキリの両腕が付いていた。死神の鎌を思い浮かべるほど鋭く研がれたその両腕は、待ちわびた餌をどう料理しようかと光沢を纏っていた。

 背には蜂の羽を付け、頭部となる部分はカブトムシに酷似していた。

 それが目測で高さ約15メートル。


 “ぼくのかんがえた最強の昆虫”でも体現したかのようなコラージュモンスター、それが『マザー』の正体であった。

 「うげぇ、正気度減りそう……」

 「物理法則もあったもんじゃないわね……」

 ブレイヴ・エレメンツの二人はそうボヤきつつも、作戦通りに散開し注意を引くべく遠距離攻撃を放つ。

 しかしそれも、牽制程度の威力とはいえ『マザー』の身体にはちっともダメージが通らないようで。お返しとばかりに振られた鎌は、サラマンダーの避けた後の地面をバターのように斬り裂いた。

 「アベルすまん!これ長くもたないかも!」

 「分かってる!集中するから引き続き頼む!」


 舐めてかかったつもりはなかったが、アベルと成った日に相対した『マザー』とは全くの別物と思えるほど強くなっていた。

 見た目がどうであれ虫をモチーフとしているのならば、当時のアレは幼虫だったのだろう。それが今は蛹を経たのか、成虫となって暴威を振るうようになったとなれば合点がいく。

 「消化されてたりしないでくれよ……」

 口の中で連れ去られた幼馴染の名を口にしながら、アベルは『マザー』の中の生命反応を探るため、全神経を集中させた。

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