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悪の組織とその美学  作者: 桜椛 牡丹
第一章 『悪の組織とご当地ヒーロー』
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初戦敗退 その1

今更ながら、我らが悪の組織『ダークエルダー』という組織について話をしよう。


組織として設立されたのは何時からなのか分からず、組員の中には首領や幹部達の姿さえ知らない者も多くいる。それでも日本人というものは気楽なもので、知らない・関わる事の無いものであればわざわざ調べようともせず、仕事と給料さえ貰えればいいという意見が多くを占めていた。


掲げる目標は、日本の革命。日本の各地を武力や法外な手段で制圧した後は、組織が求める社会となるよう各地を管理・監視をしている。


あとそう、組織の説明において忘れてはならないのが『社員コードネーム制度』だろう。

コードネームで呼び合うと悪の組織らしくていい、という意見から始まったこの制度は、全国各地に散らばる全ての組員に割り振られ、組織に関わる出来事全てにこのコードネームを名乗るよう義務付けられている。早い話が、仕事中は偽名を使えという事だ。



組織の簡単な説明としてはこれくらいだろうか。

一見平和そうな町でも、我々は常に戦っている。それは正義とであったり、また別の悪とであったりと様々だが、我らの悲願が達成されるその日まで、我らは戦い続けるのだ。




ツカサが転勤し、少しばかりの時が過ぎた頃。

桜の蕾もようやく花開こうかという頃合、人によってはほのかに暖かくなるこの時期は、不思議と心が陽気になるものだったりするのだが、この時のツカサの気分は何故か落ち込んでいた。


「よう相棒。どうしたそんな暗い顔して、彼女にでもフラれたか?」

「いや、彼女いないし相棒ってなんだ……」


そんな人の意も我関せずとツカサに話しかける一人の男。

「ん?同期で同じ職場で同じ戦闘員。このカゲトラ以外に相棒がいるのか?」

男――カゲトラは、しっかりと鍛えた筋肉を見せびらかしつつツカサの隣に座る。この男、ツカサの来る前から戦闘のために身体を鍛えていただけあって体格はいい。顔も悪くない部類で、ツカサも転勤直後はいい人だなーっと思っていたのだが……。


「何故お前はそうやって筋肉を見せびらかす。分かったからポージングをやめろ。それさえ無ければモテるだろうに」

誰かに話しかける度に己の肉体を誇示するせいで皆からドン引きされる存在であった。


「そんで、どうした。そんな、暗い顔して」

「句読点の度にポージング変えるな暑苦しい!」


ツカサは落ち込む気力も無くしたように机に突っ伏する。隣に座るカゲトラはこちらが話すまでポージングを辞める気がないようで、ツカサは諦めたように話し出すのだった。


「昨日の初出動の事だよ」

「ああ、コテンパンに伸されたアレか」


そう、それは昨日ツカサが念願のヒーロー達との初戦闘に挑んだ日。そして手も足も出ずに負けた日の話……。

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