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悪の組織とその美学  作者: 桜椛 牡丹
第二章 『悪の組織と宇宙からの来訪者、デブリヘイムとニューヒーロー』
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『マザー』攻略作戦 その1

 『マザー』発見の報のあと、黒雷達とブレイヴ・エレメンツは前に貸切にした喫茶店へとまた集まっていた。

 車内で重苦しい空気を味わった黒雷達(車内では腕を組み堂々とした態度に見せかけていたが内心は冷や汗でびっしょりだった)は、ようやくアベルという緩衝材を挟めると意気揚々と店内へと乗り込んだのだが。そこにはアベルとは別に見知らぬ人物が大勢いて

、思わず普通に開店しているのかと目を疑ってしまった。その大勢が黒雷達を一斉に睨むのだから一層タチが悪い。


 「遅いぞ、お前達。……ああ、ブレイヴ・エレメンツを迎えに行っていたのか。ならば許そう」

 その内の一人、ヤケに肩幅の広い軍服の男性が声をかけてきたが、黒雷達は誰一人として面識はない様子。男性もその事に気づいたらしく、軽く咳払いをすると、店内の全員が見渡せる位置に立ち口を開いた。

 「まずは諸君、今回のデブリヘイム原種、通称『デブリヘイムマザー』……皆は『マザー』と呼んでいるか。それの討伐作戦への参加表明、ありがとう。私は流星装甲(メテオナイト)アベルの上司であり、今回の作戦指揮を任されたブロッサム中佐である。ああ、皆言いたい事はあるだろうが、まずは話を聞いてくれ」


 軍服の男……ブロッサム中佐は、手先で黒雷達に席へと座るよう指示すると、自身はどこからかホワイトボードを取り出してきて次々と写真やデータ表を貼り付け始めた。

 「まず、今回の作戦のメインはなんと言っても『マザー』の討伐だ。コイツを撃破する事で、現在のデブリヘイム達の活動を抑止できると我々は考えている。その為にも、戦力として諸君たちヒーローや現在日本を侵略している宿敵ダークエルダーを今作戦へと呼んだ訳だが……」

 ブロッサム中佐が話している間に、ヒーロー達の間を通り抜けてアベル……今は変身していないので社員コードネーム:トウマで呼びたいところだが、流石にヒーロー達の前でそんな真似はできないためアベルで統一するが、そのアベルが黒雷の側へとやってきた。


 「やあ黒雷。驚きました?」

 「コイツ、知ってて黙ってたな?」

 ブロッサム中佐は小声で話すコチラを横目で見てはいるが、すぐに視線を逸らしたという事は黙認してくれるという事だろう。ちょうどアベルに確認したい事もあったので有難いが、ブロッサム中佐や周囲からアベルと黒雷(ヒーローと怪人)がどういう関係で今話しているのか、それをどう見られているのかは気になるところではある。

 「まぁまぁ。俺だって今朝方にあのブロッサム中佐って人に会ったんです。ダークエルダーの幹部だって言われて」


 なるほど。ダークエルダーの幹部であるなら、今は本当にアベルの上司である。黒雷達は自分の所の組織が大き過ぎて幹部どころか首領の顔や名前も知らないので、ここで出会ってもピンと来なかっただけなのだ。

 「それで、何故こんな急に『マザー』が発見されたんだ?ウチの博士も昼頃までスランプ気味だったのに」

 「あー……なんでも、『流れの占い師』を名乗る人物からの情報提供があったそうですよ?正体不明ながら、そいつの言った座標を調べたら本当に『マザー』がいたらしくて」

 「あからさまに怪しい奴じゃん……」


 まぁその謎の占い師が何者であれ、今は放置するしかない。黒雷達の目標は『マザー』なのだ。罠であろうがなんだろうが、これを逃す手はない。

 「さて、ここからが本題だ。今の説明でいかにデブリヘイムが危険か、何故ダークエルダーの協力が必要なのかは理解してもらえたと思う」

 小声で話している間に、ブロッサム中佐の話の方もどうやら本題に入るようだ。黒雷が軽く周囲を見渡せば、見知らぬヒーロー達からの憎々しげな視線をひしひしと感じるのだが、まぁ敵意と呼ぶ程でもなさそうなので今は問題ないだろう。ホントに黒雷に敵意を感じ取る程の感性が宿っているのかは疑問であるが。


 「そして、今回我々が団結して挑まねばならない敵、『マザー』の所在地が、ここだ」

 ブロッサム中佐は声を一段と張り上げ、一枚の航空写真をホワイトボードへと叩きつけるようにして貼る。そこには木と川と湖のような物しか写っていないが、山奥という事だけは分かる。そして彼は店内の全員を見渡し、静かに、だがよく通る声で告げた。


 「秩父山中」

 決戦の時はもうすぐである。

 前回のキャラクターまとめから新キャラを増やし続けているのですが、どのタイミングでまたまとめを挟めばいいのか思案中でございます。

 流石に多すぎて分かりにくくなっている自覚はあるのですが、デブリヘイム編終了までにまだまだ今後も登場するキャラクターが増える予定でありますので、今は御容赦ください。

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