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悪の組織とその美学  作者: 桜椛 牡丹
第二章 『悪の組織と宇宙からの来訪者、デブリヘイムとニューヒーロー』
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対デブリヘイム包囲作戦 その1

 流星装甲(メテオナイト)アベルと悪の組織ダークエルダー、そして精霊戦士ブレイヴ・エレメンツ。

 この三組によるデブリヘイム包囲作戦が遂に始まった。

 とはいえ、ツカサ達としてはブレイヴ・エレメンツとの共同戦線という以外に変わりはない。少し前に、現状を重く見たダークエルダー幹部会により日本侵略作戦は一時中断とされ、全勢力を用いてのデブリヘイム掃討作戦が可決されたのだ。

 しかし、デブリヘイムが日本国内にどれほど広がっているのかも分からず、また中核だろうと予測されている『マザー』も発見できていないため作戦は長期化を予想され、それに伴う侵略作戦の遅延や他勢力の動きなど、懸念材料はいくらでもあるのだが……。


 「その辺は、俺達下っ端が考えても仕方のない事だろ?」

 「確かになぁ」

 今は平日昼下がり。桜も散り、徐々に気温の上がり始める頃合い。ツカサとカゲトラは、デブリヘイムセンサーを手に町の中をドライブ中であった。

 この作戦の要はデブリヘイムを倒した際に手に入る隕石の欠片をどれだけ早く必要数集め、解析できるかにかかっている。そのためそれが進展を見せるまではこうしてセンサー片手に地道な索敵を続ける他ないという事で、毎日のように主要道路から裏道までねり回っているのだ。

 「デブリヘイム撲滅はんたーい!宇宙からの来訪者を歓待せよー!」

 「またやってるよ。飽きないねぇ……」

 ヒーローとの共同戦線を張る上で、ダークエルダーは日本政府として作戦の大まかな概要を国民に向け説明した。そしてやはりというか、デブリヘイムの脅威を知らない人間はこうして不満を訴えるのである。

 確かに、地球外生命なんて人類にとっては奇跡的な出会いであろう。未知の鉱物や技術などを持ち込んでくれれば万々歳だ。

 しかし、それはその生命体が友好的であればの話。今回のように、人類を餌としかみていない連中とは分かり合えるはずもない。


 「ツカサより支部へ。駅前付近でデモを発見した。規模は小、部隊を送られたし」

 『こちら支部、了解した。部隊を送る』

 政府を通したとはいえ、ダークエルダーは悪の組織。法律なんて守る気もないし、相手の主義主張なんて暴力で解決する気満々なのだ。日本の大半を制圧した事件からまだ半年も経っていないのに、こんなにも平和ボケするものなのか。

 「な、なんだ!なにか来るぞ!?」

 「猫だ!犬だ!ニホンザルだぁ!?動物達が編隊を組んで音楽に合わせてダンスしながら向かって来るぞー!!?」

 「デモなんてやってる場合じゃねぇ!」

 逃げる者、愛でる者、一緒に踊る者。反応は様々なれど、少なくともデモはこれ以上続けられないだろう。後は片っ端から更生施設へと放り込めばおしまいだ。


 「まだまだ時間がかかる作戦とはいえ、暇なような忙しいような、よく分からんなこれじゃあ」

 「ボヤくなよ相棒。筋肉と同じさ。目の前のやれる事をやっていれば、その内成果は見えてくるって」

 「それ筋肉に例える意味あった?」

 そんなこんな話していると、手持ちのレーダーが反応を示す。二人はすぐに表情を変え、左腕に装着したそれぞれのギアへと手を伸ばした。

 「「変身!」」

 ツカサは黒雷へ、カゲトラは対デブリヘイム用に用意された特別な怪人スーツ『兵装仮面アーミーΔ(デルタ)』へと姿を変える。

 兵装仮面アーミーΔ。それは今までの対人戦を想定した怪人スーツとは違い、より火力を重視した特別製の怪人スーツ。各種銃火器やチェーンソー付アサルトライフル、モーションセンサー式グレネード等を扱う、対軍隊や対デブリヘイムを目的に作られた物騒な代物である。


 「さあ、仕事といこうぜ相棒!」

 「血の気が多いなぁ……」

 二人はテンションに落差がありながらも、現場に着いた瞬間すぐに車内から飛び出す。目の前には、今にも子供を襲わんとしている一匹の巨大蝉。

 「やらせるもんかよ!」

 Δが射撃で牽制し、黒雷が突っ込んで子供を救出。すぐに乗ってきたワゴン車へと子供を預けたら、とって返してデブリヘイムへと殴り掛かる。


 これが、ここ数日毎日のように行われる出来事。

 デブリヘイムの活動が活発になるにつれ、町の治安もどんどん悪くなる一方ではあるのだが、今はこれがダークエルダーとしてもヒーロー達としても精一杯な状況である。

 一刻も早い『マザー』の発見を。そう皆が願いつつ、平和を守る為に今日も戦う彼らなのであった。

 頑張れ黒雷、負けるなブレイヴ・エレメンツ。この町の平和は君達にかかっている──!


 ……なんか違うって?

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