表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪の組織とその美学  作者: 桜椛 牡丹
第九章 『悪の組織と冬の寒さと』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

408/416

決戦! さらばダークエルダーよ! その7

 第三ラウンドを告げたのは空気を叩く音だった。

 花火にも、地響きにも似たその音。半神化した黒雷が用いる『浄化の雷太鼓』が打ち鳴らすその音色は、衝撃波となってブレイヴ・エレメンツ達を襲う。

 「フレア・トルネード!」

 「ストーンバレット!」

 負けじとサラマンダーとノームが攻撃を繰り出すも、それは音の波に呑まれて即座に塵へと消えた。

 「なっ!? ぐぅぅぅぅっ……!!」

 攻撃が拮抗すらせずに掻き消され、その虚を突くように到来した衝撃波がサラマンダー達の全身を隈なく叩く。


 「無駄だ無駄。私のこの攻撃は物理以外のエネルギーを掻き消すし、今は浄化よりも攻撃力優先モードだ。生半可な威力では突破できんぞ!」

 黒雷は自身の技の説明をしながらも、その手を止める気はない。

 再び『ドドン』と空を叩き、その衝撃波をブレイヴ・エレメンツへと向けて放つ。

 大精霊ノアの補助によって指向性を持った衝撃波は、的確にブレイヴ・エレメンツへのみ向かい、シルフィが咄嗟に生成した真空の断層すらも貫通して彼女達を吹き飛ばす。


 ……実はこの攻撃、指向性を持たせなければ黒雷を中心に周囲一帯の全てを破壊するようなMAP兵器となってしまう為、注意が必要なのだ。

 ノア曰く、『本気で打ち鳴らせば空間すらもひび割れる』とまで言い出したので、黒雷もギリギリまでこの撥を持ち出すか悩んだのだが……。

 「敵が手加減なんてしてくれるワケないものな!」

 今は手心を加える時ではないと、黒雷は心を鬼にして撥を振るう。

 「どうしたブレイヴ・エレメンツ! その程度か!?」

 三度目の『ドドン』。連打も可能なのにずっと単音ばかりを使っている時点で十分に手加減なのだが、これくらい突破してもらわねば困るのだ。

 そして、対処しきれずにブレイヴ・エレメンツ達が再び吹き飛んでいく。



 ◇



 「……ぐぁ……いってぇ~………」

 再三に渡る衝撃波によってジャングルジムに張られたシールドへと叩き付けられたサラマンダーは、強かに打った腰を擦りながら身を起こす。

 あまりにも卑怯卑劣な戦法によって、今現在ブレイヴ・エレメンツは半壊と言っていい状態だ。

 なんだあの、コチラの攻撃は掻き消すクセにちっとも相殺できずにダメージを与えてくる衝撃波は。

 自分で受けた事はないけれど、きっと指向性対人地雷(クレイモア)の直撃を受けたらこんな風に全身に満遍なくダメージを与えてくるに違いない。

 変身しているから動けるだけで、普通に受けたら即死してるんじゃないか。怪人だからって手加減しろ。


 「みんな、動けるか~?」

 オレの言葉に三者三様の返事が返ってくるのを確認し、一息。

 黒雷はこちらの動きを待っているのか、追撃を仕掛けてくる様子はない。

 今のまま続けたらオレ達が再起不能になると思っているのだろう。実際その通りだ。

 不可視で音速で防御・相殺無効の攻撃なぞ、どう対処すればいいのかさっぱり分からない。

 「シルフィ、アレの対処法とか本人から聞いてないか?」

 口に砂が入ったのか、何かを吐き出すようにしていたシルフィへと問い掛ける。

 兄妹として、そして半神化の際に居合わせたらしいシルフィならば何かしら話を聞いていないかと思ったのだ。


 「……一応、撥を振り下ろしきる前に弾けばあの音は出ないらしいですよ。あのパワーに正面切って肉弾戦を仕掛けなければならない欠点がありますが」

 「「「……」」」

 弱点と言っていいか分からない返答に、オレ達は揃って閉口する。

 オレ達全員、黒雷に近付くことすらできていないというのに、近付かなければ対処法がないとはどうしたものか。

 しかも半神化して更に膂力が増しているであろう黒雷に対して接近戦をしろとは、無茶というか無謀ではないかとも思えてくる。

 昔は片手間で捻っていた相手にここまで実力差を広げられるとは……。


 「とはいえ、やらなきゃどうにもならないんだよな……」

 二槍を手に、前へ。

 黒雷が迎撃の為に撥を振り上げた瞬間を狙って片方の槍を投擲し、その槍を盾にするように走る。

 「ほう!」

 黒雷が驚いたような、嬉しそうな声を上げて槍を叩き落とした時には既に、オレは黒雷の懐へと飛び込んでいた。

 「貰った!」

 次の一手を打たれる前に、この槍を黒雷の溝内へとぶち込んでやる──!



 ◇



 「まぁ……惜しいとだけ言っておこうか」

 サラマンダーが臆せずまっすぐに突っ込んできたのには驚いた。だが、それでも黒雷を仕留めるのには後少し足りない。

 「あって良かったクロックアップ、ってな」

 黒雷の秘奥義であるクロックアップ。ノアのチカラで体内の電気信号やその他諸々を加速させつつ、黒雷スーツのリミッターを全解除する事で並々ならぬ速度で行動できるという技だ。

 “気功”を全力で放出する事で身体を保護している為、これを使うのは10秒のみと決めている程の荒業である。

 それでも溝内に大槍を突き込まれるよりはマシだと判断したのだ。


 周囲の空気すらも重たく、掻き分けて進まねばならないような状態で、黒雷はサラマンダーより一歩半の距離を取る。

 おそらくサラマンダー達には黒雷が超高速で動いているように見えるだろう。いや、非加速状態の人から見れば突然居なくなったように見えるのか。

 周囲を見渡せば、サラマンダーの突撃に合わせて他の皆も黒雷へと迫っていたようだ。

 三者三様に武器を構えて真剣な目をしているが、これが驚愕に変わるのは何秒後になるのか。


 「まぁ切り札を切った以上、やることはやるんですがねっと!」

 黒雷は撥を振りかざし、空を叩く。

 『ドン』

 まずはシルフィに向けて一発。

 『ドンドドン』

 ガントレットを盾として構えたノームには三発。

 『ドドドドドン』

 ウンディーネにはオマケで五発。


 そしてサラマンダーには……。

 「【爆裂雷鼓の型】ァ!!」

 破格の十六連打。黒雷が高速で動いている間に、全身から炎を吹き上げて火の玉になろうとしていたらしい。

 そうすれば衝撃波の威力も弱められると踏んだのだろう。割と正解に近いので、圧倒的な武力でねじ伏せることにした。

 まとわりつくような空気を全力で切り裂きながら撥を振るい、締めは全力の『ドドン』。

 ここまででリアルタイムは三秒ほど。

 追撃も可能だが、やり過ぎては彼女達の戦意を折ってしまいかねないので、この辺りで終わるとしよう。


 黒雷は数歩下がって距離を置き、自身の加速状態を解除する。

 そうすると、先程まで撥で叩いた空気がブレイヴ・エレメンツ達を襲い、

 「「「「きゃあああああああああああああ!!」」」」

 四人揃って四方へと散っていき、それぞれシールドへと叩き付けられた。

 「ふははははは! どうだ、私のチカラは! これでもう眼中に無いと言わせないぞブレイヴ・エレ……」

 その時、頭上でスコンっと音と衝撃がして。

 確認する前に、黒雷の頭へと炎と風の竜巻が降り注いだ。


 「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 唐突な衝撃に黒雷は前のめりに倒れる。幸いにもヘルメットは割れていないようだが、油断していた所への不意打ちはかなりメンタルに響く。

 「なっ、なんだって……」

 苛立ちながら立ち上がると、傍に落ちていたのは一本の矢。

 一体誰が……と見渡すと、シルフィの得物が双銃から弓へと変化している。どうやらクロックアップ前に頭上へと矢を放ち、風を操作して黒雷へと命中させたらしい。

 文字通り一矢報い()()()のだ。


 「……やるじゃなーい………」

 我が妹ながら素晴らしい仕事をする。ずっと傍に居た兄に隠し球だなんて。

 「ますます楽しくなってきたなァ!」

 黒雷は両手の撥を直列に繋げて引き伸ばし、一本の棍を生成する。

 隠し球には隠し球、本邦初披露で対抗だ。

 「まだまだ心折れてくれるなよ、ブレイヴ・エレメンツ!」

 身の丈ほどある棍を振り回し、今度は黒雷からブレイヴ・エレメンツへと突撃を敢行した。

 戦闘描写って話しが進まない割に文字数も取るし頭も使うんですよねぇ……。

 次回辺りで決着になる……といいなぁ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ