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悪の組織とその美学  作者: 桜椛 牡丹
第二章 『悪の組織と宇宙からの来訪者、デブリヘイムとニューヒーロー』
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幼女、もといカシワギ博士のお見舞い その1

 美少女二人のお見舞いからしばらくして、今度は控えめなノックの後にお見舞い品を持った幼女──カシワギ博士がお見舞いへとやってきた。

 「元気しとぉや!みらいのチャンピオン!」

 「博士、博士。唐突に『ジムでワンポイントアドバイスをくれる謎の男』のモノマネをされても反応に困ります」

 「その反応が欲しくてやっとるんじゃ」

 「人が反応に困ってる所を見て楽しんでるタイプの人だ!」

 そんな感じでワイワイと雑談をしたのち、キリのいいところでツカサが眠っていた間(現在時刻は午後一時過ぎ。つまり丸一日は眠っていたようだ)の出来事を話してもらう。


 「本来はカゲトラ君に任せていたんじゃが、他の見舞い客が来たから早々に切り上げたと言っておってな。どこまで聞いたんじゃ?」

 「アイツ俺が倒れてから病院に運ばれる間の話しかしませんでしたよ」

 「ふむ。まぁ他は大した情報はないので安心するといい」

 そこからの話を簡潔にまとめると。


 ・アベルはサラマンダーと共に二体のデブリヘイムの撃破に成功。

 ・その際、サラマンダーにデブリヘイムについて詳しく話せと問い詰められたが、アベルは付近のデブリヘイムの捜索とケガ人の救護が最優先だとしてこれを拒否。サラマンダーも納得し二人別々に行動した。

 ・幸いツカサ以外は軽傷の者ばかりで、食われた者もいないはずだという。

 ・今回の遭遇戦までダークエルダーの一般装備でデブリヘイムに戦闘を挑んだ事例が無かった為、関係者とツカサには業務中にレポートを作成するように言われている。

 ・そのレポートの内容と現場の監視カメラに残された映像を資料とし、次の幹部会で今後の対応を協議する。

 ・ツカサには特別有給と特別給与が用意されていて、幹部候補としての評価もまずまずだという。


 「博士、博士!大した情報はないとか言っておきながらガッツリ俺が絡んでるんですが!?」

 「そう、その反応が見たかった!」

 「もうええわ!」

 どうもありがとうございましたーっと、互いに一礼する二人。いつから漫才コンビになったのだろうか。

 「悪いが前回の怪我もあって、君にはしばらく入院してもらう事になった。それなりに一般人が見ている前での事じゃったからな、すぐに退院しては逆に不自然じゃろう」

 確かに認識阻害装置を作動させていたとはいえ、日向さんと水鏡さんには怪我をしている事がバレているのだ。お見舞いにも来てくれていたし、あんまり早く退院しても不審がられるだろう。


 「君が休んでいる間は、ワシがヴォルトの面倒を見よう。ついでにヴォルト・ギアもメンテするでな、預かっておくぞい」

 「分かりました」

 そう言ってツカサは素直にヴォルト・ギアを手渡す。流石に入院中に黒雷へと変身する機会はないだろうし、精密機器の多い病院内でヴォルトを出すわけにはいかないので、閉じ込めたままストレスを溜めさせるよりはずっとマシだろう。

 「そうだ、博士。実はひとつ頼みがあるんです」

 「ふむ?言うてみなさい」


 今回は不甲斐なく死にかけて、たまたま運良く生き延びてベッドの上で目覚める事ができた。しかし次にまたこういう事態にならないとも限らないからと、ツカサは前置きしてからひとつ深呼吸。

 カシワギ博士は黙って聞いてくれているが、なんだかすでに頼みの内容には予想がついているとばかりの真剣な眼差しで見つめられると、とても緊張してしまう。

 見た目は幼女でも中身はツカサの倍は生きているようなチグハグな人なのだ。しかし臆してばかりもいられない、ので。

 「俺にヒーロースーツを作ってもらえませんか?」

 言ってしまった。

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