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悪の組織とその美学  作者: 桜椛 牡丹
第二章 『悪の組織と宇宙からの来訪者、デブリヘイムとニューヒーロー』
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ツカサの初デート その1

 デートの約束をした次の日。つまりはデート当日。

 ツカサは手持ちの予算で精一杯オシャレして(初めてマネキンに着せてあるセットをそのまま買った)、集合場所として指定されていた駅前の奇妙な形のオブジェの前で待っていた。時刻は朝8時10分。待ち合わせ時間は8時30分なので、若干暇を持て余しつつも缶コーヒーを片手にスマホをいじっている。

 昨日の今日なのでまだ怪我の具合は良くはならないが、日常生活に支障はないだろう。しかし戦闘になれば弱みになりかねないのも事実。ダークエルダーとしての仕事は休みをもらっているが、活動地域がこの町へと近付いているというデブリヘイムの動向は未だに不明。既にこの町へと侵入していて、近くで暴れ始めるような事があれば、非番であろうと出動する羽目になるだろう。


 人前で変身する事も極力避けたい。特に今回は素顔を知られた相手と行動するのだ。ダークエルダー対抗組織として認知されているため、彼女の目の前で黒タイツや黒雷へと変身してしまえば、後々大きな問題にもなりかねない。

 面倒な事になりませんように、と心中で祈りながら顔を上げれば、ちょうどキョロキョロと周囲を見渡しながら歩いてくる長身の女性……日向 陽(ひむかい ひなた)が目に入る。

 「日向さん」

 先に声をかけ片手を軽く上げれば、彼女もこちらに気付いたか小走りで近寄ってくる。

 「ごめんなさい、待たせた?」

 「全然。まだ集合時間10分前だよ」


 思っていたよりも(ども)ること無く、すんなりと声が出た。彼女いない歴が年齢と等しいツカサにしてみれば快挙である。今の仕事で度胸が付いたのかもしれないが、それでも美少女を前に緊張しないでいられるほど慣れてはいない。

 彼女の格好といえば、奇妙なネコがプリントされたパーカーに履きなれてそうなジーパンとスニーカーで、特に気張った様子もなく、『これから友達と遊びに行ってきます』的な雰囲気なのだが。彼女が肩から下げた鞄が胸をこれでもかと強調させているせいで、ツカサはマトモに目線を合わせられないでいた。嗚呼悲しきは男の(さが)よ……。


 「朝ごはんは食べたかね?まだなら先にファミレスに寄るのも吝かではないぞ?」

 「司さんどうしたのその口調……」

 「あ、うん気にしないで。とにかく行こうか」

 こうして、ツカサと日向陽のデートが始まったのである。いいのかこんなので……。

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