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悪の組織とその美学  作者: 桜椛 牡丹
第二章 『悪の組織と宇宙からの来訪者、デブリヘイムとニューヒーロー』
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突然のおやすみ

 喫茶店での会話は続く。

 主な内容はお互いにとっての敵の情報交換のようなものだが、ブレイヴ・エレメンツに関してはほとんど情報が出揃ってはいないため、会話は自然とデブリヘイムについての談義となる。

 「ヤツら、デブリヘイムは人間と同等レベルの知性があります。ヤツらは人間を餌として見ていますが、普段は餌として食った人間へと擬態し、社会に紛れて我々と変わらない生活をしています。多分俺や他のヒーローを相手にしたら狩られると理解しているのでしょうね」

 難儀な相手ですよ、とトウマはコーヒーを啜りながら憎々しげに話す。ダークエルダーが日本の侵略を開始する前から戦い続けてきたのだから、煮え湯を飲まされた経験も何度かあるのだろう。


 「じゃあ、普段はどうやってデブリヘイムを見つけるんだ?」

 「ヤツらの体内には、俺の……アベルの装甲と同じ成分でできた鉱物が埋まっているんです。ヤツらが擬態を解いた時に装甲が反応して、装着者である俺を導いてくれていたんです。でもそれだと俺しか場所が分からず、土地勘のない地域で暴れられると俺が先導して他の仲間を連れていくしかなかったので……。今ではその鉱物を検知できるレーダーをカシワギ博士が開発してくれたので、俺が現場に着くまでのサポートが充実しましたね。デブリヘイムの足止めや住民の避難等が格段にやりやすくなりました」

 「その辺はダークエルダーがサポートに入ったからこそじゃな。全国各地に支部があって、それなりの戦力も常駐しておる。国の直轄だった頃は全く予算が降りずに、鉱物の研究すらロクに進んでおらんかったんじゃよ?ワシが見るに見かねて三日で解析からレーダー開発までやってやったわい」


 トウマもカシワギ博士もにこやかに話してはいるが、当時は何を思っていたのか。人命に関わる研究に資金を回せないようでは、前にいた上層部というのはよほどの無能か何かだったのだろう。国の直轄組織がバックアップについていても、それではほとんどトウマ一人に頼っているような状況だ。今は対処できているから、では遅いのだ。

 「……おっと、長引いてしまってすまんな。今日はトウマ君の挨拶と状況説明だけにして、これから引越しの準備をせねばならんかったんじゃよ。悪いがカゲトラ君も手伝ってもらえんか?」

 「力仕事ですね?任せてくださいよ!筋肉も喜びます!」

 早速立ち上がってポージングを始めるカゲトラにトウマは唖然となっていたが、ツカサからはすぐに慣れるとしか言えなかった。


 「ごめんな、俺は手伝えそうになくて」

 と、そう言ってツカサは左肩を撫でる。ダークエルダーの医療機関は優秀(自身の身体を老人から幼女に作り替える変態がいる時点で相当な技術力があるはず)だが、流石に打撲を治すのにそこまでの技術は使おうとしないのか、必要な手当をした後は自然治癒を待つようにと言われたのだ。それでもヒーロー全力の一振の怪我に対して完治に三日と言われている辺り、一般の医療とは別格なのだろうが。

 「いいんじゃよ、君はしばらく休んでおれ。労災として落としてあるから給料も心配せんでええ。しばらく前線へ出ずっぱりにさせてしまっておったからな。ちょうどいい休暇だと思って、完治までの三日間は有給を出して遊んでくると良いよ」


 そうカシワギ博士は言い残し、全員分の伝票を持ってヒラヒラと手を振りながら去っていく。見た目は幼女なのにできる上司感が出ててイケメンに見える。見た目は幼女なのに。

 「それでは俺はこれで。これからよろしくお願いしますね」

 トウマとカゲトラも去り一人残されたツカサは、急にできた三日間という休日をどう過ごそうか、それを考える為にもう一杯コーヒーを注文する事にした。

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