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悪の組織とその美学  作者: 桜椛 牡丹
第一章 『悪の組織とご当地ヒーロー』
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アイテム命名と幹部候補の話

 ヴォルトとの出会いから数分後。ツカサ達は会議室へと集い、ベルトと腕時計につける名称について議論していた。

 わざわざ基地の全体放送を使い呼び掛けた上で、一番広い部屋を陣取り、飲み物と軽食を用意する程の徹底ぶりである。


 しかし、この会議は一時間もせずに決着が着きそうでだった。

 大体の案が被っていたのも確かだが、慣習に則った方がそれっぽくてカッコイイのではないか、との意見に多くが賛同したためである。

 そうして名付けられた名は、腕時計が『ヴォルト・ギア』、黒雷の変身ベルトがヴォルドライバー……はとあるヤバイ地球外生命体のドライバーと似た名前になってしまうため、『コクライベルト』で呆気なく決まった。


 「なんか、拍子抜けというかあっという間じゃったのう……」

 「まぁ、ベルトかバックルかギアかドライバーかオリジナルの五択みたいなものでしたし……」

 現在は会議も終わり、皆でまったりとサンドイッチを摘んでいるところである。全員が長丁場覚悟の案件であった為に、早すぎて逆に手隙となってしまったのだ。

 「それで、ツカサよ。晴れて君も、幹部候補となるワケだが、心境はどうだ?」


 人を掻き分けツカサの傍にやってきたのはカゲトラ。相変わらず句読点の度にポージングをキメてくるので大変目に喧しい。

 「……ん?幹部候補って何?」

 カゲトラのポージング攻撃により失念しそうになったが何とか食いつけた。ツカサには初耳である。


 「聞いてないのか?黒タイツや怪人スーツよりも目立ち、ヒーローと互角以上の戦闘ができる者は皆幹部候補だ。怪人を率いていく立場の候補生ってところだな」

 「それもまだ幹部ではないからの。ヒーローから見れば、いつも顔を合わせるが倒しきれない相手みたいな立ち位置になるじゃろう。仕事も責任も給料もあんまり変わらんが、何か成果を出せば評価をされやすい立場といった感じじゃな」

 カゲトラの説明にカシワギ博士が補足してくれて、ようやくツカサも理解できた。要するに出世街道の一歩目みたいな意味合いらしい。


 「まぁワシ以外の幹部なんてみんな本部詰めで、なかなか支部の方には顔を出せんようになるらしいからの。前線を求めて来た君がなっても満足できんかもしれんなぁ」

 「博士、博士!さらっと爆弾を差し込まないでください博士!」

 ツカサが周囲を見渡せば、「え、この人幹部だったの!?」みたいな目線が集中している。というか今の会話が聞こえていたほぼ全員からそういう目で見られていた。

 「なんじゃいみんなして。ワシはダークエルダーの兵器開発部門のトップじゃよ?幹部待遇で好き勝手やらせてもらっとるから、色んな試作品をこの支部に集中させてもらっとるんじゃろうが」


 言われれば納得できそうな、そうでもないような。

 そもそも幼女好きが行き過ぎて、自らを幼女にするようなやべー人が野放しになってる時点で、何か裏があると気付くべきだったのかもしれない。

 「兎に角、議題は全て終了した。ツカサ君も皆も、より一層の成果を期待する。以上、解散して持ち場へ戻るように!」

 博士が締めれば、本当にそろそろいい時間。

 手元のサンドイッチを平らげ、お茶で胃袋へと流し込めばそこからはまた仕事の時間。


 「さて、あと半日頑張りますか」

 そう誰が呟いたのか。悪の組織は今日も平和である。

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