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悪の組織とその美学  作者: 桜椛 牡丹
第一章 『悪の組織とご当地ヒーロー』
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漆黒の戦士の名前

翌日。ツカサ達は会議室へと集められていた。

集まった面子はこの研究所のほぼ全所員。どうしても手を離せない者達は、それぞれ壁に設置されたモニターへ通話を繋げての参加となる。

「本日は忙しい中お集まりいただきありがとう。早速じゃが、本日の議題を発表させてもらう」

会議を仕切るのはカシワギ博士。博士は集まった面々の顔をぐるっと眺め、


「第一回!ツカサ君の変身後の姿の名前を決めよう会議ーッ!」

『うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!』

研究所全体を揺るがすような歓声が沸いた。


本日も悪の組織は平和である。





会議開始から数時間。数度の休憩を挟んだが、未だに議題は候補止まりであった。

それというのも、わざわざこんなヒーロー最前線の基地に集まる豪の者達は、そのほとんどがヒーロー物の物語が好きである。つまりは誰もが理想の名前を考えており、その理想が全てぶつけられた結果……。


「えぇ……ではこの300超えの候補の中から、ツカサ君に決めてもらおうかの……」

モニターに書き出された凄まじい数の名前候補。見た目から由来しているものや、単純に自身の好きなキャラクターの名前まで、あらゆる方面から投げられたソレらはどれもこれも悪くないと思わせるものばかりではあるが。


「うーん……その、ヴレイヴ・エレメンツを意識した『ヴォルト』ってのも捨て難いですけど、常に敵対する事になると子供達には不評を買いそうですよね?かといって轟〇とかカ〇ザとか、まんまなのは怒られそうですし……うーん……」

この特撮脳、名前決めは苦手であった。


「ふむ。雷を意識してなおヒーローに寄らず、悪の組織らしい名前がいいとな?」

「ええ。まだ実戦段階ではなくても、一応あのフォームには雷撃を扱う能力はあるみたいですし。できることならそれも絡めてみたいなーと。」

「なれば、これでどうじゃ?」


そう言ってカシワギ博士が書き出したのは、漢字二文字。

「見たままを表現し、なおかつパワーアップした時にも名前を継ぎ足しやすい。皆の意見も“黒”と“雷”に偏っている事から、そのまま『黒雷』と言うのはどうじゃ」

カシワギ博士が周囲を見渡せば、反応はまずまず。これといって反対もないようで、ツカサとしても悪くないなと思える名前ではある。

「ではそれで……ん?」


ツカサが頷いて締めようとした時に感じたのは周囲からの期待の視線。数瞬考えて、何を期待されているのかを悟ったツカサは意気揚々とベルトを巻いて、

「変身!」

眩いばかりの変身雷撃の跡には漆黒の騎士。

「今これより、私は名を『黒雷』と名乗ろう!」


その瞬間、開催時よりも大きな歓声が基地を轟かせた。

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