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悪の組織とその美学  作者: 桜椛 牡丹
第一章 『悪の組織とご当地ヒーロー』
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プロローグ


 ――西暦20XX年。その日、人々は恐れ慄いた。


 それは一月の下旬頃のある日の事。皆が寒さに身を震わせ、仕事やら学校やらと駅前から三々五々に散っていく中。一人の青年がフと空を見上げ、何かを見つけたのか大声をあげ……ずにスマホを取り出してムービーを撮り始めた所から、『ソレ』は始まったのかもしれない。


 『ソレ』は最初、黒い靄だった。ビルより高く雲より低い位置に集まった『ソレ』は、ある程度の注目を集めた後、瞬時に巨大な人の形をとった。人々が驚き足を止める中、『ソレ』はこう宣ったという。


 【全日本人に告げる。我らは悪の組織『ダークエルダー』。たった今から、我々は現状の日本の在り方に対し、反旗を翻す。市民には危害を加えないつもりだが、武力による抵抗を受けた時にはその限りではない】


 その靄は全国各地に現れ、その全てが同様の内容を話した。


 【我々はこれより、我々としての悪を貫くために、日本各地を占領させていただく。抵抗は無意味だ。大人しく我々の支配を受け入れよ。それが一番賢い選択だ】


 突然の出来事に、ほとんどの人間が身動きの取れない合間に。


 【では日本人諸君、これより始まる、日本の生まれ変わりを楽しもうじゃないか。後は頼んたぞ、同士達……】


 靄はそう締めくくると、即座に散った。残された人々は呆然としていたり、意味が分からぬと職場に向かう足を早めたりと様々に対応した。しかし無関心を貫く事だけは、誰にもできなかっただろう。


 靄が消えたのと同時、日本各地の人口密集地に彼らは現れた。


 彼らは、特撮によくあるような怪人と似たような姿をしていた。その姿は生物をモチーフにした人型であったり、幻想の中にしかいないとされる生物の姿をした者達もいた。


 そして彼らはこう叫ぶ。


 「この地は、我々『ダークエルダー』が支配する!」




 ――その日から約三ヶ月。桜の花びらが直に開くだろう季節。


 それまでの期間に、日本の約七割の地域が『ダークエルダー』の支配化に置かれていた。


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