赤い噴水
街の北にある周りがレンガで囲まれた巨大な塔へ鎖を繋がれ、まるで散歩に行きたくない犬のような歩調で俺はステインとマリアの後ろに付いて歩いていく。
そして巨大な四角形の塔の目の前に着いた。レンガで出来ており、その塔の周りに階段が続いている。
「これがこのステージの塔か、ドミノみたいな形してるぜ!このレンガ一本ずつ取っていったら面白そうだろ?なぁお前もそう思うだろ?ジョン」とステインが話しかけてきた。
「いや全く思わねーよ!てかこの手すりのない階段をずっと登っていくのか・・・」あまりにも危険で絶句してしまう。
「幅1メートルってとこだな、余裕余裕!」ステインはなぜか嬉しそうだ
「ジョンが落ちそうになっても鎖を持っているステインが助けてくれるわよ」と笑顔でマリアが言った。この時だけはマリアが天使的な何かに見えた
「俺はジョンが落ちそうになったら絶対に手を放すからな、安心して落ちろよ!」ステインが即答する。
「あーはいはい知ってました」と俺は予想内の返答を聞き、自分の身は自分で守ろうと決意する。
そして三人一列になり登り始める、塔の周りの階段は思っているより登りやすく、風も程よい感じであったため問題はなかった。ただ数十分歩いたところでふと気が付くと、右横に広がる空と、そこから見下ろせる景色に恐怖を感じる。街は点のように小さく見え、草原とその先の空の青が広がっている。さっきまでいた場所と今の高さとのギャップに腰を抜かしそうになる。
こんな時にエミリーがそばにいてくれたらどれだけ心強いか
きっと無事であると願うしかできなかった。
「よし、そろそろ休むか、食い物~食い物~」そう言ってステインが座り込む
3時間は階段を登り続けただろうか、まだ次のステージは見えない。
「はい!ステイン!あ~ん」とマリアが取り出したクッキーをステインの口元に近づける
「あ~~~~ん!」とステインが口を大きく広げてマリアの指ごと食べる
「もう!ステイン何してるのよw」「ごめん可愛い指があったからつい・・!」とステインの唾液が付いた指をペロッとなめるマリアとニヤニヤしているステイン。
そのバカップルぷりを横目で見てイライラしつつも
「ほら!ジョンこれ」とクッキーをマリアが俺にパスしてきたので受け取り、感謝の言葉を言いつつ食べる。マリアはなんだかんだで優しい・・・と思ったのもつかの間、よし行くか!のステインの号令と共に再び歩き出した。はえーよ!と心の中で突っ込みつつ、口がもぐもぐしている内に鎖が前へと進む。渋々俺も歩き始めた。
その後数時間階段を登り続け、精神的に限界が訪れる直前にレンガで出来た階段が終わり、次のステージへと着いた。もう夜で辺りは星の明かりだけであった。その中でもよく見えるほど一面真っ白い床で、辺りは噴水や綺麗な花咲いている花壇が数多くある素晴らしい街だった。
そしてステインが直感で決めた適当な家屋に泊まることになった。人の気配はなく辺りは風の音だけで、夜はゆっくりと眠れたが、唯一不満だったのは俺だけ床で寝たことだった。幸いにも毛布はくれたが、ちゃんと鎖と家のポールにカギを付けられて逃げられないようにされた。
朝、起きると清々しい気温と綺麗な青空が広がっていた。旅の準備をして、ふと視線を噴水の方にやると何やら赤く見える、なんだろうと思いよく目を凝らすと人のようなものが浮かんでいるのが見えた。
恐怖を感じすぐにステインを呼ぶ、するとマリアとステインが寝ぼけた様子でくる。
「あれ人じゃないか!ステイン!」興奮した声で俺が言う
「まぁ待て今お前のカギを外すから」そう言い、ステインが家のポールと俺の首についている鎖とを繋ぐカギを外し、腕に持つ。
そして噴水の方へ歩いていき、中を覗くと嫌な予感は的中し、男の人が殺されていた。