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1ー4 名前 自由 確保

和名で現代社会も良いかと思ったけど、楽しそうだしファンタジーにした。

名前が大変。

 

 二歳になった。あれから続けていた絵本で異世界言語習得はリスニングならほぼ完璧になり、舌っ足らずながらもある程度なら話せる様になった。

 リスニングが出来るようになってからは人の噂話や、普通の会話でも新しい娯楽になり、更に家族構成や名前が分かる様になった!


 両親、姉、兄、僕に使用人が沢山という感じで、


 僕の名前がシルバー・シャルフ・アードラー。どうやら貴族らしく名前が長い。シルバーが僕自身の名前、シャルフが貴族になる前の名字、アードラーが貴族としての名字らしい。


 母親の名前はリーべ・シャルフ・アードラー。元国一番の癒し手だったらしい。今は三児の母。仕事の疲れからか髪の毛が少し痛んでいる。


 父親の名前はリヒト・シャルフ・アードラー。妻は嫁に来てもらったらしい。かなり痩せていて骨が浮き出ている。しかしイケメンだったと分かる顔立ちをしている。


 ここは代々アードラー家が治めていた領地の一つらしく、姉と兄は日本で言う東京の様な国の首都である王都にある学園へ通っている。

 ちなみに全寮制なので帰って来るのは連休のみな上に、王都にある方の家を利用するため此方から会いに行く必要があるらしい。


 それと絵本の中に度々魔法や魔獣が出てきて、はじめはファンタジーな本だなぁって楽観的に捉えていたが、流石に五冊、十冊と重ねていくと考え始めた。

 そして日本で車が一般的だったから当然の様に出てきた様に、魔法なんかのファンタジーが一般的なのでは、と思い至った。


 赤髪の時点で不思議に思うべきだった!異世界転生したんだもの魔法位有っても良いよね!と可能性の話でしかないのにかなり興奮していた。


 そんな濃い二歳児生活を過ごしている。最近はそば子が付きっきりだったのに加えて、交代で母親がお守りをする事が増えた。父親も来るが、うるさいので直ぐに摘まみ出されている。


 ある日そば子が僕を抱えたまま眠っていた。今までは忌々しきベビーベッドの柵で外を練り歩く事はおろか、ベビーベッドから出る事すら叶わなかった。

 しかしこの日は違った。そう、本を読み終わってほのぼのとした時間が流れていた時にそば子が寝たのだ。つまり僕は自由になったのだ!

 

 その上、新たな旅の始まりを祝福するように綺麗な装飾の施された扉が半開きだった。これ幸いと完璧なハイハイで廊下に飛び出した。

 そして異世界転生物のテンプレ、赤ん坊の時からの魔力操作で魔法チートをこなすのだー!と野望を胸にして。


「のりこうぇー!^^」


 わぁい^^



▼▼▼


 威勢良く飛び出し人気が殆ど無く、廊下を這いずり回れたのは良いものの重大な問題に直面した。



 図書室、書斎ってどこにあるの?



 おあいにくさま僕はあの部屋から一度も出たことがない。

 そんな自宅徘徊者Lv1の赤ん坊がまっすぐ目的地へたどり着ける筈もなく、物の見事に自宅遭難者Lv1に転職してしまった。


 助けを借りようにも、こんな千載一遇のチャンス二度と有るのか分からない。もしかしたらセキュリティが更に強固になるかもしれない。

 そう思うとスニーキングミッションを止めることは出来なかった。


 すると前から辞書の様に厚い本を積み重ねて運ぶ使用人がやって来た。

 しかしそれよりも後ろから小さく僕を呼ぶそば子の声がする。

 

 やり過ごす?いや、バレたらお仕舞いだ。玉砕覚悟で行くべきか?しかし本を持つ使用人にバレるかもしれない。


 しかし使用人は角を曲がってこちらには来なかった。更に両手が塞がって閉められなかったのかおそらく図書室と思わしき部屋の扉が開いている。

 僕は飛び出した。


(ええい、ままよ!)


   パタタッ!


                                  ガシッ!



 後ろから掴まれた。

 そこにはおそらく読み聞かせようと用意したであろう絵本を持った母親が立っていた。


「どうしたのかな~?シルバちゃんはわんぱくですね~」


と笑って無い顔で抑揚なく話すと、ツカツカと歩き出した。


 その先は僕が入ろうとした部屋の3つ隣の部屋だった。

 どうしてここに入るのか疑問に思い首を傾げたが、開け放たれた扉の中を見れば一目瞭然だった。

 数えきったシミ付き天井。十字架が少し見える窓。そして忌々しきベビーベッドのある部屋。


 僕の部屋だった。


 僕はあまりのショックで真っ白になった。

 扉が鍵付きになったりベビーベッドの柵が高くなっている事に気が付かないまま、真っ白になった。

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