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1ー2 赤ん坊 ご飯 娯楽


 二度目の人生を謳歌すると言ったな。あれは嘘・・・と言うよりはまだ無理。まだ多く見積もっても一歳行くか行かないか位の年。泣いて、ご飯食べて、寝る。これのルーチンが今の僕には必要だ。


 早く大きくなりたい。何もしないでベビーベッドに寝かされる毎日は、サブカルチャーで溢れていた日本での暮らしと比べてしまうと酷く退屈なんだ。

 なんとなくで数えていた天井のシミも数えきったし、首がいまいちまだ座っていないから寝返りをうって新たな発見をするにも一苦労して寝てしまう。非力な僕の体がこう言う時には困る。

 

 立てるようになんて贅沢言わずに、ハイハイが出来るようになったら早急に体を鍛える必要があるな・・・。

 寝る子は育つだ!前世では165cmしかなくて色々と不自由したんだ。現世では170cmは最低でも欲しいんだよなぁ・・・。


 そんなとりとめの無い事を考えていると、朝から数えて二回目の鐘が鳴った。鐘は1日三回で、朝、昼、晩の三回に窓から十字架が辛うじて見える教会から鳴る。

 僕はこの部屋から出たことが無いから時計が有るのかどうか分からないが、鐘から朝は一時間後位、昼は直ぐ、夜も直ぐにご飯が来る。

 だから市民は鐘を合図にしていて、多分時計は無いんじゃ無いかと僕は思っている。


 それよりもご・は・ん!ご・は・ん!ここ最近の娯楽と言えば日替わりの離乳食だ。

 離乳食と言えば、転生する前のこの体の記憶が無いから誰が乳母で、誰が両親かが分からないのが辛いが、それでも今は転生前の記憶より食い気が勝っている。

 ・・・今日は少し遅いな。今は精神が体に引っ張られているのか、お腹減ったら泣くし、排泄ガマン出来なくて泣くし、何故か急に泣く。だからかそろそろ泣きそう。ヤバい。



・・・・・・・フギャーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!



 あーあ、泣いちゃった。

 これを自分で抑えられるように慣れれば良いのになぁ・・・。僕が泣くとメイド服に身を包んだ女性が飛んでくる。薄く汗をかいている様子が見えるのであまり迷惑を掛けたくない。


・・・・・・フギャーーーーーーーーーー!!!!


ガチャッ!


「あ*♭いな#い!ば?」


 少し荒くドアが開き、僕をあやそうと色々と工夫を加えつつ構ってくれた。

 この人は大体二十代後半かそこらかな?少しくすんだ色合いの金髪で顔にはそばかすがある。

 そして出ました異世界言語。所々日本語ででも聞き取れそうな音が出ているが、新しく学ぶ方がよっぽど早いと思う。・・・英語は得意じゃ無いんだよなー。


 そば子(そばかすから取った。僕命名)は僕がきゃっきゃと笑い出すとホッと胸を撫で下ろし、ついでとばかりに離乳食をくれた。今回は黄色の方が少し強いオレンジ色で口に入ると、芋の様な優しい甘味と少しの深みがあった。おいしい。

  

 僕が離乳食を夢中でもちょもちょと食べていると、そば子が考え込むように顎に手をやって少し部屋から出て戻ってくると、その手にしていた物を見て僕は口に含んでいるのを忘れる程の衝撃を受けた。


 それは明るい色で纏められ、かなりデフォルメされたキャラクター達が出てくる本。絵本だった。

 文字が分からないから読み上げてくれるだろうけど、新しい娯楽は僕が求めていた物!それに、異世界言語も絵本を介せば絵とニュアンスでおおよそが伝わるから一石二鳥だ!


 手足をぱたぱたさせて興奮している僕を見て、そば子は思わずといった形で笑みが零れていた。かわいい。

 早く読んで欲しくて、あーあーとそば子を見つめる様にして急かす。伝わったどうかは別としてそば子は微笑みかけながら読んでくれた。


 「む し※♭あ・とшфтかれΐまおύ♪cw◆▲いあいあ●〆」


 なるほど、分からん。

 これは思ったよりも骨を折りそうだなぁ・・・。


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