学校案内
「ここが、音楽室で俺たちが使ってる所ね」
さっきから、場所を案内してるのに肝心の赤石さんは上の空。
「相川さん、好きな人とかいるんですか?」
「なに?急に」
突然聞いて来た。てゆーか、俺にそう言う事を聞く人ってあれなんだよな。
「なんでもないです。ただ、ちょっと相川さんの事が知りたくなっただけで」
「そうならそうって言ってくれればよかったのに」
「聞こうとしても、相川さんずっと窓の外をみてるんだもん」
「あー、ごめんね、そん時さ考え事してたから」
「それって、夏美さんの事に関してですか?」
「なんで、夏美の事だと思う?」
「女の勘?それに、私に学校案内する前ずっと夏美さんのことを気にしてたから」
「あー、そっか」
「だから、好きな人を聞いてみたの」
性格悪そうだけど気の所為かな。
「赤石さんは好きな人いるの?」
「うん、今日出来たばっかりだけどね」
「そうなんだ。誰なの?」
「教えて欲しい?」
「教えたく無いのなら深く追求はしない」
赤石さんは、周りを見渡して俺の腕を引っ張り耳に口を近付ける。
「教えてあげない。あと、私のこと名前で呼んで?」
そう言った。周りにはちらほらと人がいた。
他の人からみれば、イチャイチャしてるようにしか見えないと思う。たぶん。
ってゆーか、これ、見た人が噂を広めて夏美の耳に入ったら。
どうなるんだろう。