The boy of cat ears
早く投稿するとか言いながら、まだ待たせて申し訳ございません!
他のに釣られてました!
すみません!
チェシャ猫との話が終わり、屋敷の扉に手をかける。そんな様子を見た彼が、取っ手を握る私の手に優しく触れる。
「大丈夫……?」
優しい声音で問うた彼に、私は少し考えて小さく頷いた。それを見た彼が、私の手の上からやんわりと扉を押した。それに従って、私も扉を押した。
扉が少し開いただけで、中の喧騒が耳に入ってくる。その隙間から見えるのは、食器を片手に忙しなく働く猫耳のついた少年たちだ。
チェシャ猫も幼いときはこんなに可愛かったのかな……と、場違いなことを考えてしまう。
その内の1人が薄く開いた扉に気づいたらしく、こちらに近づいてくる。でも、私達には気づいていないようで扉を閉めようと押してくる。
「あの……?」
小さく声かければ、扉を開いて私とチェシャ猫を交互に見る。
「……?」
私を物珍しそうな目で見て、チェシャ猫を見たときは満面の笑みになる。
「お兄ちゃん!?」
大声あげたから、近くにいた少年たちがバッとこちらを向き、私達の元へと集まってくる。
チェシャ猫が私の背中を押して、屋敷の中へと促す。
お兄ちゃん……?
チェシャ猫に弟……なんていたっけ?
思わず斜め後ろにいたチェシャ猫を見上げる。
気づいた彼が、頬を掻きながらボソリと答えてくれた。
「弟はいないよ。もしいたら、アリスには紹介してるし。僕のことをお兄ちゃんって呼んだのは、僕が拾った子だよ」
「はぁっ!?」
拾った!?
思わず声あげてしまう。その声が屋敷中に響いてしまったらしく、屋敷が少しの間だけ静かになる。でもすぐに、元の喧騒に戻る。
「アリス、声大きいよ」
こういう子どもを拾う……なんて言葉は使わない。
人間扱いをしていない気がして、気に入らない。
「スノートさまに知らせてきますね」
「ぇ!? ちょっと待って!!」
不意に聞こえた声に私とチェシャ猫は声を上げた。
制止の声も虚しく、一人の少年が扉の向こうに消える。
「ぁ……」
小さく嘆息すれば、それがチェシャ猫と重なる。
自分のタイミングで部屋に入りたかった……。
これじゃ彼女に呼ばれるまま……。
「アリスさま、チェシャ猫さま」
俯いていた私とチェシャ猫に声がかかる。顔を上げれば、扉の向こうに消えた少年が薄く開いた扉から顔を出していた。
「こちらにどうぞ。スノートさまがお呼びです」
ほらね。
うぅ、泣きたい。
シミュレーションも何もしてないから、最悪の想定しかつかない。
ブランみたいに敵意むき出しで、殺されかけるかもしれない。ううん、今回は死ぬかも。
部屋の前に落とし穴を仕掛けられてあって、まっ逆さまに落ちて、上がる方法なんてなくて、餓死……なんてことも……。
考えてるだけで、背筋が冷えてきた。
「アリス、行こう?」
肩をポンポンと軽く叩かれて、チェシャ猫に促される。彼の表情は柔らかかった。私の表情が暗くなっているのに気づいたのだろうか。
「何が起きても大丈夫。ね?」
そうだ。
私は、この世界で今までみたいに丸腰ではない。
自分の身を守る武器がある。
スカートの上から、脚についているホルスターに触れた。
これがあるから、大丈夫だと自分に言い聞かせて、彼女の待つ扉に一歩足を踏み出した。
さて、次回出てくるのは、公爵婦人さまです!
こんな人っていうのは出来上がってますので、
あとは書くだけ。
今度こそ早く書きますので、待っててください!
今回またまた申し訳ございませんでした!