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Do you remember?  作者: 白降冬夜
Dinner party
17/31

The girl can't talk

2か月もお待たせしてすみませんでしたっ!

やっと書けたので投稿。

PCよりもスマホの方が早いと気づきました。

ので、次回よりスマホから投稿。

早くなると思うので、よろしくおねがいします。

さて、新キャラ二人出てきます。それは読んでのお楽しみ。


「……ぁ……」


帽子屋のお茶会の森を抜けて、大きな整備された庭に差し掛かる。けれどもその境目には、私が見上げてしまうほど高く作られた格子戸があった。その向こうには私と同じくらい背丈の少しくすみがかった黒髪のメイド服を着た少女が私とチェシャ猫をかわるがわる見つめていた。


「メアリアン、ここ開けて? スノートさまに来客があるんだ」


「……うん……」


チェシャ猫が少女に向けて、提案する。彼女は、コクリと頷いて格子戸の鍵を外し、ギギィと音を立てながら扉を開けてくれる。それをチェシャ猫と二人で、潜り抜けた。それを見た彼女は、他の人の侵入を認めないかのような速さで、扉を閉めてすぐに鍵をかけた。


「ありがとう、メアリアン」


チェシャ猫は、彼女の頭を軽く撫でてお礼を言った。その彼女は嬉しそうな表情を浮かべたあと、私をちらりと見て、チェシャ猫に向き直る。


「……あぃす……?」


彼女は舌がうまく回らないようで、一瞬何を言ったのか分からなかった。けれど、少し時間をおいて分かった。

彼女、耳は聞こえているみたい。だけど、うまくしゃべれないようだった。


「そう、アリスだよ。あとでゆっくり話すといいよ」


「……うん……!」


メアリアンはめいっぱいの笑顔で私とチェシャ猫に向かって頷いた。それを確認したチェシャ猫は、私の背中を押して先を歩くのを急かした。くるりと顔だけをチェシャ猫に向ければ、何か言いたげな表情をしていた。彼女の前では言いづらいことのようだった。

メアリアンは、門を閉めてすぐに屋敷の裏に回ってしまい、私からは見えなくなった。


「昔と様子が違うでしょ? メアリアン」


屋敷の玄関でチェシャ猫に話しかけられる。私がコクンと頷くと、彼は何とも言えない表情を私に見せた。

昔は私以上に大量の言葉を知っていて、この世界のことをたくさん話してくれた。彼女は本当に話上手だった。表情が豊かなのは、変わっていなかったけど……、


「あんな風になってるとか、思ってなかったよね?」


私は再びコクンと頷く。

チェシャ猫が私の肩に手を置いて、私の目を真っ直ぐ見る。私はその視線から目を放すことができなかった。


「彼女をあんな風にしたのは……、この世界の所為だよ……」


「ぇ……?」


世界の所為……って、どういうこと?

この世界は、昔と変わっていないように感じるのに、どうして……?


「ぁ……」


違う……。変わってる……。

ブランの性格だ……。

昔は優しくて、私の話を親身に聞いてくれて、怪我した時も家に連れてってまで手当てしてくれたのに……。

久しぶりに会ったあのときは、私に銃を向けて、怪我させて、殺されそうになって……。


世界自体は変わっていないように見えるけど、人々の内面や精神の状況が違う……ってこと?


「見た目自体は変わってないように、見える。でも……、人々の考え方が変わった。特にアリスに対しては……ね」


「ブランみたいに、私を嫌ってる……ってこと?」


チェシャ猫が小さく頷いた。

でも……、私に微笑みかけてくれたメアリアンは?

それに、変わらず接してくれた帽子屋とかミヅキ、ソリスは……?


「けど……、メアリアンはアリスを好きでいてくれてるよ。世界の影響を受けて、ちゃんと話せなくなっただけ」


「っじゃあ……」


チェシャ猫が「分かってる」という風に頷いて、私の唇に人差し指を当てる。それで私の言葉は遮られる。


「ハッターもミヅキもソリスも、アリスのことは好きだよ。世界の影響を受けた女王さまの魔法で、帽子屋の時計が止められてずっとお茶会をしてたってわけ」


なんとなく分かったけど、世界の影響……っていうのがどういうものなのかは分からなかった。

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