Bhopal
お待たせしましたっ!
一週間以上も待たせてしまいすみませんでした。
原作好きは回れ右っ!推奨っ!
「あ、そうだ。アリスにこれを渡しておかなきゃ」
そう言って、彼が懐から取り出したのは、オートマチック式のハンドガンだった。
差し出された黒い軽火器と、なぜか笑顔を見せているチェシャ猫を交互に見返す。
「なに戸惑ってるの? 別に気兼ねしなくてもいいんだよ?」
「っそういうことじゃなくて……!」
どうして私が銃を持たなくてはならないのか。
それに今まで指一本として触れたことのない物を、どう扱えというのか。
ましてや、一度も使ったことはないのに、どうしろっていうの?
そうやって矢継ぎ早に問いを投げかけたくなるのを、抑えるように口ごもる。
「最初っから、アリスのものだよ? だからこれを持ってきた僕以外、誰もヴォーパルには触れてない」
最初から……、私の、もの……?
でも、なんでこんな物騒なものが私のものなの?
「……っ、触りたくない……」
ハンドガンから目を背けて、か細い声で呟いた。彼に聞こえたかどうかなんてどうでもいい。私は、銃を触りたくないのだから。
早くどこかにやって欲しかった。
でも……、
「駄目だよ。こういう時のための銃なんだから」
私の手を引いて、その手に無理やり銃を持たせてくる。冷たい金属の感触に投げ捨てたくなるが、チェシャ猫がそうさせてくれなかった。
「駄目だってば!」
「こういう時って、なに……?」
彼に銃を握らされたまま、視線を合わせずに小さい声で問いかけた。
ありえないというような表情を私に向けてくる。そして、案ずるような目で私を見てくる。
「分からないの? 白ちゃんにあんなことをされたのに?」
それでやっと理解する。
白うさぎみたいに私がアリスではない、よそ者だと認識している者がいるということ。
さらに悪ければ、先ほどのように命の危険に晒されるということだ。
だから、自分の身ぐらい自分で守れと言っているのだろう。
チェシャ猫が言いたいのは、こういうことだと思う。
「チェシャ猫が、守ってくれるんじゃないの?」
「その時に僕がいなかったら、どうする? 僕を呼ぶ? 喉絞められて声が出せなかったら?」
私が問いかけた質問に即座に返されて、しかも追い詰めるように矢継ぎ早に質問を投げかけてくる。
私には、しようと思ってできなかった芸当だ。
「っそれは……」
「だったら、ほら構えて。練習するよ」
彼の手が私の手を離れた。途端に手の甲に冷たい空気が触れて、寒いと思ってしまった。
彼に言われるまま、銃を構えて引き金を引いた。
曇り空の下、乾いた風船が割れたような音が耳を劈いた。
ここから先、更新が遅くなるかもしれません。
すみません。先に謝っておきます。