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一部残酷な記載があるかと思いますので、

念のため『R15』とさせて頂きました。







「ねぇ、ドクター。ドクターには好きな人っているの?」

そう、ユウキが聞いたのはただの好奇心だった。


このドクターという愛称で呼ばれている医者こと榊原サカキバラ カオル

女のような名前だが27歳の立派な青年である。

だが、中身はマッドでサディストで変態で性格歪みまくりのかなり付き合いたくない性格の持ち主である。

何故この青年が『先生』ではなく、『ドクター』と呼ばれているのかはソコに起因している。


まぁそんなドクターが人を好きになったことがあるのか興味本位でユウキは聞いてみたのだ。

言うなれば、只の暇つぶしであった。


それが、後で聞くのをやめれば良かった・・・と後悔をするのにはまだ半日ほど時間がかかる。



「いきなりですね。もちろんいますよ。最愛の恋人がね。」

にっこりとそれはもう嬉しそうに答えたのだ。


その『天使の』と付け加えても可笑しくない綺麗な微笑に何故かユウキはゾッとした。

そう正に背中に何かゾワゾワするようなものを感じたのだ。



このドクターに恋人がいるというのは初めて聞いたことではあったが、まぁ27歳で恋人の一人や二人いてもおかしくない。

何せ性格や性質はともかく、この目の前の青年の容姿はかなり好いほうに分類される。

顔は人形のように整った造作をしており、髪は烏の濡れた羽のように艶があり、肌は雪のように白くきめ細かである。

そして、その雰囲気は何とも妖しげで淫靡なのである。まさに魔性といってもいいほどである。



さらに付け加えて医者という職業、それにこの目の前の男はその前に『天才的な』という形容詞がついてくるのだ。

まぁそんな男に恋人がいても何らおかしくは無い。

だけど、この男と付き合える女性にかなりユウキは興味を持ってしまった。



だから、背中の悪寒を気にせず、その続きを促してしまった。


「へぇぇ〜〜!絶対そういうのに縁なさそうなのに。」

悪魔が恋愛をするとは驚きだ。心の中でそう付け加える。


「失礼ですね。私ほど恋に生きる人間はいませんよ。」

しれっと真顔で答えるドクターに少しだけ意外な気がした。


何故ならドクターは自分以外の人間はモルモットか何かと思っているではないか?と思うほどに冷徹なのだ。

この前も交通事故で運ばれてきた男の患者が口を縫い付けられたらしい(その場にいた看護婦談)。

理由は「ぎゃあぎゃあ叫んで、うるさかったからです。」という、全く持って信じられない理由であった。

そんなことをしてもいいのかとユウキが聞くと、「別にちゃんと元に戻したからいいじゃありませんか。」と答える始末。

この時心底ユウキは自分の担当医がこのドクターでなくて良かったと心から神に感謝した。


そんな男が『恋に生きる』とはまさに天地が逆さまになってもありえないことであり、本当にそれが事実であるなら、それはそれで怖い。





「どこが?」

思わずユウキの口から本音が零れ落ちた。

眉を寄せ、胡散臭げな表情、無意識にかなり嫌な顔をユウキは浮かべていた。その顔が不愉快だったのか、ドクターはユウキの頬をにこやかにつねりあげた。




「ひしゃい(痛い)!!」

「失礼なことをいうお口にはちゃんとお仕置きしなければなりませんね。その場のしつけが今後に影響しますし。」

ユウキを猫や犬のように扱いだすドクター。

ユウキが怒るのを知っていてやるのだから尚更性質タチが悪いと言えよう。


「まぁいいでしょう。暇だから話してあげます。どんなことが聞きたいのですか?」

気がすんだのか、それともただの気まぐれかドクターは手を離し、話す態勢に身体を整える。


・・・暇。まぁ確かに暇つぶしなのだろう。

だがそれはユウキにとってはであり、ドクター自身はそうでないはずである。


なぜなら、今は平日の真昼間で、ドクターはこの病院の医者である。

だが、ドクターは今日の仕事をどうやってか終わらせ、ユウキの病室(一人部屋)でユウキの存在を無視して、雑誌を読みながらくつろいでいるのだから。

そして、それはこの日だけでなく、天気のいい日はほぼ毎日である。

理由はこの部屋が一番日当たりが良くて静かであるからという理由なのだが、ユウキにとってはいい迷惑である。


だが今は別だ。

ただでさえ暇な入院生活にこんな人物の恋愛話ほど興味深いものはない。



「全部!!」

離してもらった頬をさすりながら、ユウキは答えた。



「全部・・・ですか。」

少しドクターは考え込むと恍惚と語りだした。


「そうですね、あの運命的な出会いは私が3歳の時でした。あれは―」

「ちょっと待った!!3歳!?相手は一体何歳だったんです、それにそんな昔のこと本当に覚えてるの!?」

「人の話は最後まで聞きなさい。全く礼儀を知らない口ですね。それに学習能力もないようですし。」

そういってまたもユウキの頬をつねりあげた。

「だはら、ひしゃいって(だから、痛いって)!!」



「相手も3歳ですよ。それに私は貴方と違って生まれてから今までの記憶は全てあります。引越した先の隣が彼女の家だったのですよ。」


生まれてから全ての事を覚えている、とドクターは言い切った。

普通ではないと思っていたが、どうやら子供のときから普通ではなかったようである。


「それじゃあ、彼女とは幼馴染?」

「ええ、近所でも評判の仲のいいカップルでした。」

その歳で多分恋人はないだろうとユウキは思ったが、今度は黙って、口出しはしなかった。

また頬をつねられるのはごめんである。



「ふ〜ん、それで。」

「出逢ったその時に結婚を申し込みましたよ。」

「って、出逢ったその時にーー!?」

「もちろんです。この人しかいないと確信しましたからね。」

自信たっぷりに答えられてもユウキとしては困る。


小さな頃であれば少しはまともな子供かと思ったが、そうではなかったらしい。

この性格は昔からなのだろう。『まさに三つ子の魂百までも』である。



「そしてもちろん、彼女も快くその申し込みを受けてくれましたよ。」


3歳で快くも何もないだろうと思うが、敢えて何も言わなかった。


「どこがそんなに好きなの?」

この男がそこまで一人の人間の何に惚れるのかが、気になった。

何せ3歳で生涯の伴侶を決めてしまったのだ。


「そうですね。敢えて明確な言葉にするならば、遺伝子に惚れたのでしょう。」

「遺伝子〜〜!?」


「ええ、彼女に私の子供を生んで欲しいと思いましたから。」

そういって、にっこりと微笑む。そうあの『天使の』微笑だ。

またまた背中に悪寒が走る。

さっきは何故悪寒が走るのか検討もつかなかったが、今ならなんとなく解るような気がした。



「・・・・。」

―ちょっと待て!3歳で子供が欲しいとはおかしくない!? あんたの性の目覚めは一体いつよ?―


いいたい言葉は多々あったが、無理して言葉を飲み込んだ。何故なら聞くのが怖かったからだ。

生まれてすぐに性欲に目覚める子供。それを肯定されるのは絶対に嫌だった・・・。



「それで・・?」

これ以上聞くのは怖かったが、それ以上に好奇心が勝ってしまった。


「さて、どこまで話しましたか。全くすぐに脱線するのですから貴女には困ったものです。もう少し落ち着いたほうがいいですよ。」


余計なお世話である。





「そう、3歳で出会って、結婚の約束をして、それから6歳まで一緒にいました。

ですが、小学校にあがる前にまた私が引っ越してしまいましてね。

それからはずっと、手紙やメールでやりとりをしていました。

そして、同じ大学の医学部に入学しまして、感動的な再開をしました。

12年ぶりの再会に彼女は涙を流して喜んでくれましたよ。


そして、彼女は内科の道を目指し、私は彼女を助けるためにそれ以外の道を全て選びました。そして今同じ病院に勤めるに至ります。


うん、どうかしましたか?そんなホッとしたような顔をして。」


「いや、案外普通で安心した。なんかドクターのことだから、相手が初潮を迎えたと同時に子作りに励んでいて、実はいまサッカーチームが作れるくらいのドクターそっくりの子供がいます、と言われても信じられそうだったから。」

またまた思ったことをユウキはポロっとこぼしてしまった。


「惜しいですね。そうしようかとも思ったのですが、さすが彼女に嫌われるのは嫌だったので、それは最終手段に残して、方向性を変えたのですよ。」

言わなければ良かったとこの時ユウキは心底後悔をした。


にこにこと、嬉々としてその後の家族計画を語りだすドクターははっきりいって、迷惑の極みである。


ドクターの言葉を聞き流しつつ、そういえばまだその女性についてのことを聞いてなかったことを思い出した。

「ねぇドクター。彼女ってこの病院に勤めているんでしょう?名前なんていうの?どんな女性?」








「彼女は―」

――――――――ガチャン!!

ドクターが口を開く前に目の前のドアが開き、よく世話をしてくれる看護婦が慌てて入ってきた。

「やっぱりここに居たんですか!探しましたよ。ドクター、急患です!お願いします!!」


「やれやれ、またですか。全くせっかく休んでいたというのに。」

不機嫌そうにドクターは立ち上がる。

「では、また今度。」

そういってドクターは病室を後にした。


不機嫌なときのドクターははっきりいって性質タチが悪い。いやもともと性格は悪いのだが、それに輪をかけて悪くなるのだ。

精神的に患者を苛めるのだ、それも徹底的に。そして、その患者の反応をみて憂さ晴らしをする。

はっきりいって最低最悪の医者である。

また一人、ドクターの被害者が増えると思うと、ユウキはその患者の精神的な安否を願って、心の中で合掌する。


「全くドクターは。自分の職業を何だとおもっているのかしらね。」

看護婦がポツリと漏らした言葉にユウキは大いに頷く。




「ごめんなさいね。騒がしくして。じゃあまたね、ユウキちゃん。」

「あっ!ちょっと待って坂上さん。聞きたいんだけど、ドクターの恋人って誰?

この病院の医者だって聞いたんだけど。」

最後にドクターから聞けなったことを看護婦に聞く。

これを聞かなければ気になって眠れやしない。




「ドクターの恋人・・・?」

誰かしら、という顔をする。公認の仲ではないのかと思うが、あそこまで惚気のろけるドクターのことだ。

どんな手を使ってでも認めさせるであろう。ここの院長や教授、理事長の弱みの一つや二つ三つくらい簡単に握っていそうだ。


「あー、もしかして佐藤先生のことかな、恋人とはちょ〜っと違うかな?

ドクターはそう思ってないでしょうけどね。」

そういって坂上看護婦は苦虫を噛み潰したような顔をする。

それはもう笑いをかみしてめいるのか辛いのかよくわからない表情だった。


「 ? 」

ユウキがわからない、という顔をすると。

看護婦はこっそりといいことを耳打ちしてくれた。


その言葉に「えっ!?」っと顔をあげると、看護婦は笑って

「ただし、時間は夜中の2時から4時くらいまでね。もし別の急患が入ったらそっちを優先させること。いい?」






「了解しました!」

ユウキはにこやかに看護婦に向かって敬礼を行う。


そして、ユウキは今夜の為に身体を倒し、寝る準備をする。

この後のことを思うと興奮して眠れないかと心配したが、何もしないでも外から漏れてくる天気の暖かさに自然と睡魔が訪れる。




何せこの部屋はドクターが推薦するほどの安眠に適した部屋なのだから。





ここまでお読みいただきありがとうございます。

数話で完結する予定ですが、お楽しみいただければ嬉しいです。


ちなみに恋愛のカテゴリーに入れていますが、少し違うのかもしれません・・・。

ほかにどんなカテゴリーを当てはめればいいかわからなかったんですよ!


誤字脱字などがあれば教えていただけると嬉しいです。

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