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オレとりか

作者: 蒼井 双葉

俺の名前は“ゆう君”24歳。

いたって普通のフリーター。

“ゆう君”ってのは彼女が呼んでくるあだ名で、決して自分から言ったりはしていないし、呼ばれるのも少し恥ずかしいがそれでも彼女は呼んでくる。


彼女といえば、俺の彼女は変わっている。

乙女チックって言うか、バカって言うか…。

なんて言えばいいか分からないが一言で言えば不思議ちゃん。


桜並木を歩いてる今だって足元の水溜まりに映る桜を見ていきなり

「ねぇ、ゆう君。知ってる?」

俺は満開の桜の下を右手にスーパーの買い物袋、左手に少し太った彼女の“りか”の右手を握り少し先を歩いていた。

「ん?なにを?」

笑顔で“りか”を見ながら聞いたが、内心また始まったな!って思ってた。

“りか”は頭上の桜に目を移しながら案の定、訳の分からないことを言い始めた。

「あのね。桜って恋をしてるんだよ。」

俺は思わず右手に持ってる買い物袋を落としそうになった。

「え?なんでよ。誰によ。」

“りか”はなんだか楽しそうに笑ってる…。

おい。お前には桜の妖精でも見えるのかよ!!とツッコミたいが話が余計ややこしくなるからグっと抑えて話を聞き流そうと努める。

「だって桜って薄いピンクでしょ?ピンクって恋の色じゃない。

だから桜は恋をしてると思うんだけど、相手まではわかんないなぁ。」

そう言って“りか”は本気で考え始めたようだ。

家まで後10分もある。

まだまだおかしなことを言ってきそうで、それを考えると頭が痛い。


初めて会ったときはもっとしっかりしていて年相応の落ち着きがあったはずなんだけど…。

俺は初めて会った時のことを思い出していた。

4年ぐらい前に俺のバイト先のスーパーに新人としてやって来た。

人見知りで彼女が出来たことのない俺は挨拶をしたり、必要最低限の会話しかしなかった。

そんなある日、帰ろうとしてたら雨が降ってるとパートのおばちゃん達と話してた。

「外、すっごい雨よ。土砂降り。」「げっ。マジっすか。俺、傘ないのになぁ。」なんてちょっと困ってたら

「良かったらどうぞ」と折りたたみの薄いピンクの傘を渡してきた人がいた。

「私、置き傘もあるし大丈夫だから良かったら使ってください。」

笑顔で俺に傘を渡してくれるのを見て女神に見えた。

その女神が“りか”なんだけど、やっぱり最初とキャラが違いすぎるんだよね。

そして、傘を借りた翌日から俺は意識しまくりアピールしまくりで見事付き合うことになった。


まぁ、“りか”はバカだか、乙女チックなんだか、計算なのか、それとも天然ものの不思議ちゃんなのか…俺にはさっぱりわからないけど、それでも俺は“りか”の事がすげー好きだし。

バイト先の店長にずっと誘われてて断ってた社員になる話も受けようと思う。

そんでこのまま結婚するんだろうな。

子供は“りか”みたいにしたくないけど。

なんて考えて1人でニヤける。

実家にも挨拶して…。



ってか“りか”って俺の母ちゃんと同い年だよな?

確か…54歳だっけ?

まぁ好きなら年齢なんか関係ないよね?




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