表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/42

エピローグ。これも一つの終わり方。 ちなみに、もう一つはこの紅鷹が15年に紅鷹と一緒に戦う話。まだ、書くか検討中。

別の小説を二作品思い付いていたのでそちらに力が…


ちなみに一つは、過去改変物です。


異世界トリップよりかは酷い事にはなることは無いし、主人公もやや内気に、現実を否定したがりな感じです。


すでに、終わりまでしっかりと決めており、更新が停滞することはないと思われます。


もう一つは、まだ話が固まってなく、まだまだ工夫中です。

 


「んな事は、アンタ《俺》を見れば分かるさ……」


 紅鷹は、目の前にいる自分《未来》に答えを出した。


 となると、残る弊害は一人。


「セイン(偽)を倒すぞ。二人でなら倒せる」


 そう、未来の紅鷹は過去の自分に言った。


 そして、二人でセイン(偽)を倒そうとしたが、結果は殆ど未来の紅鷹に良いとこを持って行かれたと言うべきだろう。


 現時点での紅鷹は、陽動位にしかならない。


 言い方を変えれば、陽動も立派な者だが、そこは譲れない気持ちだろう。


 実際、未来の紅鷹は程度の差はあれど現時点での紅鷹と差ほど変わりは無い。


 だから、未来の紅鷹も現時点での紅鷹と似たような気持ちを抱いていたことになる。


 つまり、結果的にはそれは、数年の時間で解決するものであって悩む必要は無い。


 紅鷹は、自身の手で勝ち取った異世界で生涯を閉じる計画を立てていた。


 この世界では、紅鷹は二人存在しない。


 日本にいる紅鷹は、この世界の紅鷹は死んでいる。


 ここにいるのは世界から外れた、どんな所からも外れてしまった紅鷹しかいない。


 彼は、独りぼっちになったのだ。


 世界を変える前、あの永遠に近い時間のくりかえしの中でも確かに感じた思い。


 信頼、絆、それら全てが、この世界では無かったことなのだ。


 だから、今の彼には、この世界での人ととのつながりは無い。


 それは、悲しいことだ。


 誰だって同じ気持ちになる。


 あるはずだったものが無い。


 空しさがある。

 ただ、それでもいいと紅鷹は思っていた。


 だが、やっぱり叶わぬ願いだとしても会いたい気持ちがたしかに心にはある。


 エリスやリリス。


 一週間という短い期間であったが、エルフォード国の人たち。


 薄暗い夜の街で出会ったおっさん。


 おっさんとは、時間をこえたつながりがあった。


 それと、セイン(偽)。


 ここでは、セイン(偽)はそのままのはずが無い。


 ちゃんとした魔王の手下をしていて、今はどこにいるかさえわからない。


 会いたい人がいっぱいいる。


 だけど、みんなは覚えてはいない。


 それでもいい。


 そう、紅鷹は思った。


 そして、旅をする準備を始めた。


 魔法は使わず、己のみ一つで。



                      2

2011

 エルフォード国。


 紅鷹が召喚された場所。


 一週間、過ごした城。


 二ヶ月ぶりに訪れた場所はなにも変わってはいなかった。


 あの時初めて見た市場。


 店、武具屋。


 なにより、三人で歩いた道がやけに懐かしく思えて、目が潤んだ。


 ただ、ちょっとだけでも良い。


 彼女たちの姿を見たいと思った。


 それを、きっと神様は了承してくれたのだと思う。


 潤んだ目で、視界が完全に戻っていない紅鷹は誰かとぶつかった。


 途端に誰かとぶつかったのすぐに謝った。


「ごめなさい!」


 するとぶつかった人も慌てて謝って来た。


 そして、彼女は良く知っている人間だった。


 日光に反射したきれいな銀髪。何者にも取り込まれない銀色の瞳。


(リリス…)


「ふふふふ!」


 思わず不気味な笑いが出てしまった紅鷹は思い出した。


 この世界ではリリスと俺の間にはつながりは無い。


 いかにも怪しい奴に移ってしまうので、笑うのをこらえた。


 てっきり不審者でも見るような目で見られていると思ったのだが、彼女はキョトンとした目で見ていた。


 世界を変えて紅鷹が降り立った時間は、2011年の6月29日。


 おそらく世界を変える為に奮闘する俺が来るのは二年後。


 だから、彼女は俺が始めて会った時と年は変わらないはずだが、さっきまではしゃいでいた様子だととても同い年、いや、もう精神年齢はとっくにおじいちゃんを超えているが、今の自分は大学一年の時の状態だ。


 本当なら高校のときの状態でも良かったのだが、それはどうしても譲れない思いがあった。


 二年間についたいろんな傷をなくしたくなかったからかもしれない。


 だから、いや、うまくまとめられないけど、これだけは言いたかった。


「危ないから気をつけろよ」


「ええ、それともしスカーレットの騎士に何を言われても私のことは内緒に」


 言葉とともに彼女は右手の人差し指を唇に持っていった。


 自然と会話は続いてなにもあの頃と変わらない雰囲気だったが、彼女は逃げていたのに気づいたのかすぐに一つの言葉を残して走り去って言った。


『またあいましょう』と。


 ふふふと、頬が赤く染まる。


 繰り返しの中、女と感じる暇は一切無かった為、欲はかなりたまっていたので思わず赤くなってしまった。


 


 


 

これでも健全な男だ。


世界は危機に陥る事は無いから、くだらない感情を表に出すことが出来る。

この時代を選んだ意味は、特に無い。


ただ、こことは違う世界で出会ったのがこの時代、この時期だったから選んだだけだ。


彼女らの、成長を見たかったのもあながち間違ってはいない。


成長を見守ると言うよりかは、幸せに暮らしているかを見たかっただけ。


自分と関わってしまったせいで、不幸な末路に導いてしまった事のせめてもの償い。


そして、彼女らを守る為、強く成らねばならない。


今の自分よりももっと。


「過去の自分を、世界を助ける為に…………なんて厨二病だ」

考えるだけでバカらしくなる。


エリスを救う事にしか意識が行かず、失敗。


日本を救う為に、日本に紛れ込んだ魔物達との戦争中に暁、美紀が死んで、世界が見えなくなって自殺。


未遂に終わり、巫女に時間を飛ぶ事の出来る魔法を教えて貰った。


実にバカらしい。

「時間は、有るようで無い」


今から考えれば、紅鷹とセイン(偽)が戦うのは、何年も先の話だが、いずれそうは言ってられなくなる。


忘れてはいけない言葉。


「常に時間は有限」



自分自身に刻む。


そして、忘れてた事が有ったが、四年後の15年には、巫女が、俺がやって来る。


少なくとも俺は過去。


今現在俺が歩む道を歩む事になる。


巫女は、そういえば、唯一の知り合い。


巫女がこの世界に戻ってくる前に出来るだけ多くの人との関係を増やしていこう。


永遠に続くような無を体験した紅鷹は切実に考えていた。


深く考えていて、前を見ていなかったため、再度紅鷹は人にぶつかった。


「すいません」


「おお、気にすんな。それよりもアレ見ろよ中々面白いことになってんぞ」


 ぶつかった男が指を刺して、面白いといった方向に顔を向ける。


そこには――


「姫えぇぇーー! 何処にいらっしゃるのですかーーーー」


大声を張り上げる女性がいた。


その女性を、数人の男が四方を囲んでいた。


女性は気付かない。


後ろにいる男の存在を。


「いやはや、運命ってのは凄い強制力をもつもんだな」


めんどくさそうに、ぶっきらぼうに、けど、どこか嬉しそうに、紅鷹はスカーレットの髪が風で靡く姿を目に納めながら、彼女に背中を預けた。


「え?」


きょとんと、目を点にしてスカーレットの騎士がハテナマークを頭につける。


そんな些細な行動でも笑いが漏れてくる。


「後ろには気を付けろよ。オレがお前の背中を守ってやる」


これで、彼の物語は一端の幕を閉じる。


数年後にも戦いはあれど、今だけは、彼の愛する人を守る為に力を使わせてくれと。


拳を握る。標的は、彼女の邪魔をする全ての人間。彼女の道を遮る全ての障害物を。


「二度と、後ろは取らせない」


固く誓う。


あの日に起きた、彼の油断故に起きた惨状を。


僅かでも良い。


あの短かった数ヶ月の思い出を――






 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ