第三十六話二年後2
やっぱり戦闘は上手く書けない。
可憐に気づかぬまま、巫女に近づいていく紅鷹に向かって、可憐が、とぼ、とぼ、と足を前進させ、現れた人物を捕まえようとするかのように腕を伸ばす。
相変わらず可憐に気づかない紅鷹は巫女に話かけようと近づいたら横から、誰かに袖を捕まれた。
「え …………」
ただ、単に、その人物が気になってみたら、その人物が可憐だった紅鷹の反応を誰が予測出来るだろうか
まさに、これぞ妹愛というべきだろうか
紅鷹は、黙って可憐を抱きしめた。
十秒以上も抱きしめられた可憐は、現状を理解したとたん、顔を急速に赤らめ恥じらいながら呟く。
「あ…あの……離してくれないかなお兄ちゃん」
もはや、可憐には目の前の人物が偽物には見えなかった。
たとえ、警察が言っていた紅鷹が死んだとして、遺体を見せられ、それが本物であって、もう、この世に存在しないと理解しても、目の前の紅鷹のことを、何かのまがい物には決して見えなかった。
感じる温もりは、なにも違わない。
まるで、永遠にそうして二人の世界を作っていたのを止めようとしたが、それを紅鷹が止めた。
「あら ……どうしてかしら」
同時に二人存在する紅鷹に多少驚きながらも、すぐに平然として言う。
「ああ、時間を賭けすぎた。あの二人はほっといてくれ」
そう、紅鷹が言いながら人物と可憐を見る。
「流石に時間をかけすぎた……」
紅鷹は巫女と共に「ゲート」へと歩きながら、頭をかいて言う。
巫女は口を開こうとするが、やめる。
現に、こうしてやるべきことをやろうとするために戻って来たのだから許そうと巫女は思った。
「でも……時間を簡単に越えて戻ってくるなんて卑怯ね」
「すいません…」
巫女の皮肉めいた言葉にすぐに紅鷹が答えた。
そして、「ゲート」へと入る。
その場所は、紛れも無く巫女の故郷なのだが。
「ぅっ! ………」
思わず、紅鷹が連れてきた魔物達に対して怯む。
当たり前だ。
巫女は魔物達の侵略を、防ぎきれると思わなかったから過去に飛んだんだ。
たとえ、魔物達が襲って来なかったとしても、恐怖に囚われそうになる。
「大丈夫だ」
しかし、紅鷹の言葉で、ふと、恐怖に蝕もうとする心の闇を払ってくれた気がした。
「ありがとう」
「何か言ったか?」
「いえ、なにも」
巫女は、心の中でだけ言うつもりだったが、声に出していたようだが、紅鷹が聞いてなかった事を良いことに無かったことにした。
それでも良い。
感謝の気持ちはちゃんとあるから。
そんな良いふいんきだったが、急にキョロキョロして辺りを見渡す。
そして紅鷹に質問する。
「セインは、いないの?」
「っ …………」
巫女の言葉に何も言い返せない紅鷹を見て、巫女は追求するのを止めた。
そして
立ち止まっている時間は無いので、紅鷹は、自身が未来から連れてきた魔物達に指揮をとる。
魔物達を二つの軍隊に分け、一つは、サザーランドに。
もう一つは、エルフォードに。
「くれぐれも致命傷は与えるな もし致命傷を負わせた場合真っ先にそいつを殺す。理解したか?」
魔物達は紅鷹の殺す、という言葉に怯え、理解したか? の言葉を肯定するかのように首を縦に振った。
魔物達は、それぞれの行き場へと走り去っていく。
それについて行こうと紅鷹もサザーランド国へと向かおうとするが、最高のタイミングで奴が現れた。
「何やら、面白そうな事してんな」
声質はいたってクールさをイメージさせるが、見た目はちゃらけている筋肉質な姿だった。
そいつを見た途端、紅鷹は人生で一番の難所を迎えたと言えるだろう。
「巫女 お前は先にエルフォードに行け」
紅鷹の慌てぶりに、巫女は動揺するが、紅鷹は急かす。
巫女は、あまりの剣幕に気圧され身体強化を使って駆け出す。
現れた人物は、巫女に見向きもせず、紅鷹を見据える。
「なあ、何か答えろよ」
「くそ。なんでお前がこのタイミングで出て来る」
「楽しそうだから?」
そうだ。
こいつは前からそうだ。楽しそうな事を見つけると、邪魔をするか、協力するかどちらかをして、自分が楽しむ。
楽しめればなんだっていいんだ。
今、戦うしかない。
セイン(偽)は、もう戦う事しか頭に無い。
「くそおおお!!」
掛け声を上げて、大きく振りかぶりながら右ストレートをするが、軽く交わされて、背後から攻撃される。
「っ…………」
セイン(偽)の攻撃をしゃがみ、右に回り込む。
すぐに、顔を上げて前を見るが、いない。
「上か」
そう思い、上を見るが、いない。
(後ろか)
すぐに横に回避しようとするが間に合わずに蹴りを貰う。
すぐに、顔を上げて前を見るが、いない。
「上か」
そう思い、上を見るが、いない。
(後ろか)
すぐに横に回避しようとするが間に合わずに蹴りを貰う。




