第二十一話
ストックが後一つ…
ああああああ、夏休みに入ったら気を抜いて連載とまりそうだけど、終わりまであと少し。
がんばるぞーー!
それと、時間の表示をシュタゲ風に変えました。
ちなみに数字は、無限大ですよ?
∞∞∞∞/∞∞、∞∞/∞∞:∞∞:∞∞
ここはいったいどこなのだろうか。
暗くて、寂しくて、悲しくなっても、音もない。時間の流れもない。
時間の流れ自体はあるのだけれど、時間跳躍と時間の巻き戻しのせいで時間の感覚が薄れている。
いや、完全に時間の概念を忘れ、超越してしまった。
だけど、もう嫌だ。
もう疲れた。
誰かこの呪縛から解放してくれ。
俺をループから助けてくれ。
俺にはもう、同じ死を見ているのは辛いんだ。
絶えられないんだ。まるで人形みたいに殺される時間がほぼ一定で、死ぬ。
自分は何をしていたんだ?
エリスを助ける為に目指していた世界なんてもうどうでも良くなってしまった。
ただ、目の前の死を回避することにしか、目が行かなかった。
もう嫌だ。
何もしたくない。
“時間を巻き戻す”のはもう、いやなんだ。
誰か、“俺を殺してくれ”。もう、疲れたんだよ……。
そう、紅鷹は思った。
そして、誰かが殺してくれるのを願った。
だけど本心ではわかっている、もう人類などとうに絶滅しているのだから。
だから聞こえてくるはずがないんだ。この孤独な人類という生物全てが絶滅した世界で。
「俺が、お前を殺してやるよ」
誰だ? 幻? 幻聴? ついに幻まで見るまでになったか、俺はもう本当にだめかもしれない。ただ、それでもいい。すがるしかないんだ。神頼みでも良いとさえ思うほどに紅鷹は狂っているのかもしれない。
どうすればいい? 教えてくれよ。答えが帰ってくるかわからない。だけど、聞いておきたい。
「俺が、お前のやるべきことを教えてやるよ」
どんなこと? 俺のやるべきことって一体なんだったっけ。
「今すぐ過去に行け。日付は、日本時間で、2009年の6月辺りだ。その日に、未来から巫女が飛んでくる。但し、巫女の行動は変えるな。変えると重大なパラドックスを生んで、お前が消滅する。だから、巫女が何らかの行動を起こし終わった後に、特別な方法で過去に飛ぶんだ。お前ならもうできるはずだぞ。お前はとっくに理から外れているんだから。まあそれは、巫女の行動があってのものだからな」
待ってくれ、その月辺りに巫女がいるのか? 会えるのか? あきらめていたのに。必死になって探しても見つからないで、何度同じ時間を繰り返したって変わらない世界で、どんな方法を使っても居場所がつかめなかったのに。
これは、必然だったのだろうか……。俺が、こうやって屍のようになるのを。
そして、この見知らぬ誰かが、俺に伝えにくるのが。
「魔力感知くらいできるだろ。後は自分でやりーや」
最後に一つだけ、お前は誰なんだ? 本心からききたいことだった。ここはもうすでに普通の人間じゃはいることすらできない領域のはずなのに。
そいつは笑顔で言ったんだ。
いまでもその理由はわからないけれど。それを理解するには彼本人だけかもしれない。
「あえて言うなら、“おまえ自身だよ”」
☆
見知らぬ誰かの言葉に促され、しばらく使っていなかった体を起こす。
骨がきしむ。筋肉が悲鳴を上げている。一体、どれくらいの時間、動かさなかったらここまで酷い状況になるかは人間にはわからないだろう。
ただ言える事は、ものすごい膨大な時間をすごしてきたとしか言いようが無い。
それは決して、普通の人間の寿命の何百倍にもなるだろう。
それでも、道しるべをもらった紅鷹には止まれない理由がある。
完全に忘れかけていた理由が今、しっかりと思い起こされている。
とりあえずは体を元に戻さないと。
「“戻れ”」
そう、聞こえない小さな声で呟くと、世界が、ビデオの巻き戻しのように逆再生され始めた。
フラッシュバックのように次々に風景が変わり、巻き戻る。自分が歩いてきた道を。
紅鷹の立ち位置も変わる。
そのとき発生するGに対して、紅鷹はまったく苦になってていなかった。
それを行う当初は、ものすごいGにへこたれていたのだが、何百回、何千回とするうちに、まるで単純作業をするみたいにできるようになっていたので、苦を感じなかったのである。
巻き戻しは、この時間の概念が廃れたこの世界から、2011年の6月あたり。その間で、6月あたりから8月の終わりをなんども繰り返して巻き戻っている。
それは、紅鷹がなんども同じ時間を繰り返したことを意味し、それら全てを巻き戻しているのである。
そして、ゆっくりと、巻き戻しの速度が落ちていく。巻き戻しが終わるとそこは2011年の6月辺りで、場所は紅鷹が召喚された場所であった。
そこでは、前にも見たように、すでに最初の紅鷹とリリス姫の会話は始まっている。
しかし、そんなことはどうでもいい。
今は、ここから普通の時間逆行を行うのだ。2009年へと。
そうして、なれた動作で体ごと、時間を飛び越える。
巻き戻すのではなく、過去に飛ぶ。
「“飛べ”」
たった二つの言葉で、紅鷹の言葉で、体を包み、不思議な魔力のような物体が絡みつく。
そして、何度も行い、もう体の一部みたいに感じる、G。
グググ、と横に引っ張られるようなものを感じながら、体が、時間を越えているのを感じている。
(2009年か……そこに巫女がいる)
紅鷹は、召喚の場で、時間を飛び越えた。
思った。
これれってトリプル投稿じゃないですか?




