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第十七話 始まりと終わりの通過点③

この話は本来プロローグとまったく一緒なんですが、まあ、4ヶ月でちょっとは成長したんだよって意味で書き換えました。


最後だけ文が加わっています。


てか一言。


冒頭につながったーーーーーーーー!

     


 2013年、9月23日、曇り 午後6時27分。


 その日から世界は変わった。


 自分の視界から見える周りの建物はほとんど崩壊を記している。


 それに夕食時で、ちょうど夕飯を作ろうとしていた東京から僅かに離れた住宅街からは火が燃え盛るように猛威を振るい多量の煙幕を発生させている。


 火事の臭いに混じって、人間の血生臭い異臭が立ち込めており吐き気を催す。それに、さきほど緑のゴツゴツしたやつの脳を手刀で突き刺したため、脳みそがグチャグチャとした固体のような液体のようなものがこぼれ出ている。


 そして、世界にとってもっとも不釣合いで存在するはずのない地球外生命体を目という機関で捕らえ、それを自分で殺したという記憶を蓄積させる側頭葉に届いた瞬間、頭に激痛が走った。   


 地面にうずくまりながら2年前の空白の2ヶ月の間の記憶がフラッシュバックのように次々と失われた欠片を修復させ一つのものへと変貌する。


(全部……全部思い出した)


 ただ、まだ分らない事が一つだけある。


 なぜ、現代では当の昔に絶滅したはずの狼が存在し、その狼が二年前に見たものと似たような姿をしているのか。


 本来、架空の世界にしか存在しないゴブリンという生き物が日本に存在し、それを狼同様二年前に見たことがあるような感覚がするのか。


 もしかしたら、やつらは向こう《異世界》の世界の住人なのではないか。


 自分の記憶の欠落に関係しているのだろうか。


 そもそも、俺は何のために異世界に召喚されたのかを忘れていた。


 今なら分かる。


 それは、魔王という恐怖の対象を異世界の人々から排除する事だったはずだ。


 記憶では確かに魔王は倒した。


 しかし、その直後の記憶が酷く曖昧でなにかフィルターがかかったようにその記憶を思い出せてはくれない。


 ただ、これだけは言える。


 自分は失敗したんだ。


 異世界を救うこともできず、そして日本も崩壊へと近づいていることを許している。


(俺は一体何のために向こう《異世界》に召喚されて魔王を倒すために努力したんだよ…)


「全部、無意味じゃねえか……」


 その自分を責めるような小さな声は誰にも届くことなく、どこかに響くことも無かった。

      

     2    

 彼はすぐに気持ちを切り替えこの世界を救うことを硬く心に誓った。


 俺ただ一人で何ができるって? それは当然の疑問だと思うが、それは簡単な話。


 できるさ、この両目さえあれば……この両目のことは向こうのやつらの中でエリスとリリス姫しか知らない。好都合だ…。


 そして、『とりあえず目の前のやつらの掃除からだな』、と心の中でつぶやいて俺はウルフの群れのほうへ歩み寄った。


 そのことに気づいたのか群れのリーダー格のモンスターが俺を襲えと遠吠えで指示を出している。


 そしてリーダー格のモンスターの口から炎の塊が吐かれた。


 それとほぼ同時に手下の口からも同じもの《炎の塊》が吐き出される。


 数はおよそ二桁を越える程度に及ぶがまったく持って足りない。


 俺は2年前と同じように右目を閉じ、左目に魔力を籠める。


「無駄だ!!」


 言葉を放った瞬間、彼の左目は漆黒の瞳に染まりすべてを飲み込むような、ただ純粋な黒色をしたと同時に、朱色の文様が瞳に浮かび上がるとともにやつらの炎の塊を消し去った。


 二年間のブランクがあったが問題なくこの左目は機能した。おそらく右目も正常に作動すると思う。


 その後、左目の色は茶色に戻り、相手に捕らえられないような速さで背後に回り込み手刀で首を捕らえ引き裂く。


おびえても助けは来ないぞ!!」


「俺に会ったことを地獄で後悔するんだな」と、もうすでに聞こえてはいないだろうバラバラな狼に吐き捨て残りの人の体を食す殺戮動物の息の根を視界に写るすべてを止めた。


 とりあえず、この東京にいるやつらは今日中に片付けなければ………。


 それが終わるまで無事でいてくれよ……可憐!、暁!、…美希!。


 そして五年。“俺は自殺を考えた”。

そういえば、ノーパソのブルースクリーンをみて文字を検索したらまさしく「UNMOUNTABLE_BOOT_VOLUME」がヒットした。


調べてみると、どうやらHDDに問題があるらしい。


詳しくはまた。

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