第十五話 不可解な現象と忘却の記憶
やっふ-------------!!!
結構力を入れたけど、詰まんなかったらかなりショックを受ける。
結構がんばったんだけどな……。
8月29日、午後6時40分
魔王は跡形もなく目の前から消え去った。
自身の放った懇親の魔法で、無限と称される俺のすべての魔力を篭めて、塵一つ残さず消し去った。
紅鷹は、心の底からなんともいえぬ達成感のようなものが急速にこみ上げてくるのがわかった。
この二ヶ月間でいろんな犠牲を払いながらもここまでこれた。むしろ、そういう犠牲があってこそ今の現実があるのだと感謝をしていた。
そして、内に潜むこの気持ちを早く仲間と共有したいと思い、後ろを振り返りエリスに抱きつこうとしたが―。
そう、抱きついていつもなら、やめてください、私たちはそのような関係ではないのですよといいながら頬を赤らめるはずの顔が無い。
無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、 無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い、無い。
首から上が“無い”。
「なっ……なっ!?」
生きている人間なら誰しもが存在する場所は虚空をただ現していた。
虚空という表現は違うかもしれない。
なぜなら、斬られたであろう首元からは噴水のように血しぶきが吹き上げているのだから。
そして、恐怖に追い討ちをかける様にコロコロっと丸い何かが音を立てながら自身の足に転がってきたものが当たって停止をする。
下を見たくなかった。
下を見ることが怖かった。
下を見て現実を突きつけられることがいやだった。
下を見たらすべてが終わってしまう気がしたから。
なぜなら足元には、約二ヶ月間を一緒に旅をしてきて、特別な感情を抱いたエリスの顔が、首から上だけが存在しているのだから。
転がってきたであろうエリスの首から上だけの部位は鮮血をまき撒きながらも美しさを保っていた。
「うわあああぁぁああああああああああああぁぁあ!?!?!?!?!?!?!?!?」
思考速度が急速に落ち、零に近いほどに低下した紅鷹はわけがわからなかった。
どうして、魔王を倒して、その喜びを分かち合おうとしたエリスの顔がここ《足元》にあるのか。
どうして、このような状況に陥ってしまったのか。
本来なら死など、この世界に来て何度も身近な人のを経験してきた彼は慣れていたはずだ。
慣れてはいた。
それは、皆紅鷹とは関係は深くは無くただ近くにいる、いわば友達の友達みたいな関係。
そんな人が死んでも多少傷つく程度だが、それが愛している人なら―。
足元に転がってきたエリスの首を見ながら尻餅をついていた紅鷹は自身に迫る危険に気づけなかった。
いや、気づいたとしても反応することさえ今の紅鷹にはできなかった。それほどまでにエリスの死という状況に精神を深く傷つけられたのだ。
紅鷹に迫った魔法はそのまま直撃して彼を壁際まで吹き飛ばした。
「ううぅっ!」
瓦礫の中から這い上がって視界を得た。魔法が頬に直撃したために口からは大量の血を垂れ流しながら、攻撃をしてきた者をうつろな目で見つめた。
口内を切ろうが、攻撃してきた相手を見るだけで、紅鷹の頭を冷やすのには十分だった。
しかし、運命はそれ許さぬように突如紅鷹の記憶というものに直接なにかがぶち込まれるように流れてくる。
あまりの頭痛で地面にしゃがみ込んでしまい、起き上がることができない。
もがき苦しむ中、誰しもが体験することが無いようなものを紅鷹は体験していた。
しかし、この状況で今、流れ込んでくる記憶が誰かなのか理解できないし、記憶を叩き込まれれば、当然、脳はパニックを起こす。
なので、先ほどの魔法を放った敵に対応することはできなかった。タイミングとはどうしてこうも悪いのだろうか、どこか意図的にされているのではないかとおもうには十分過ぎた。
そして、魔法を放った張本人の護衛Aは、ヘラヘラと笑いながら紅鷹に近づき一蹴した。
「はははは!! 大丈夫ですか? 勇者様よお!!」
高らかな笑い声を上げながら、ドスっ、ドスっと紅鷹の腹に蹴りを加える。これまで一緒に旅してきた護衛Aとはとても思えぬのような言葉遣いだった。
鳩尾に諸に与えられる衝撃に抗うことができずに何度も、何度もそれをもらい続ける。
飽きた護衛Aは用を済ますためか次の行動を始めた。
「せいぜい元の世界で記憶をなくして生活してな!! はははははははははは!!」
「………………っ」
最後に言葉も発せず、悔し涙を流しながら意識は遠ざかった。
ただ、その時不自然な光景を脳裏で見たんだ。
まるで右目と左目で別々の世界を見るように。
そうだ。
別に見ていたものに違いは無い。
なのにこの感覚は一体なんなんだ?
セインの言葉に重なって別の声が聞こえたんだ。
『せいぜい元の世界で記憶をなくして生活してな!! はははははははははは!!』
『この行動には意味があるのですよ……それを理解するには少々時間が必要なのですがね』
2
深い、深い底から急速に意識が戻ってくる。
先ほどの光景。
それらを必死に抗おうとする気持ち。
「っ!? はぁ…はぁ!! はぁ!! はあ、……ふー」
意識を取り戻した紅鷹の体中汗で濡れ、大きく肩を上下させて呼吸をした。
なぜかはもうわからない。
ただ一つ、酷く辛い悪夢を見たのだろうと自身を納得させた。
冷静さを取り戻すと自分が寝ていたのは家のソファーだということを知る。
しかし、いつも座りなれているはずのソファーが、懐かしいものになっていたから奇妙な気持ちになった。
自分にそんな覚えはない。当然、もう何年も暮らしているはずのこの家の感覚を忘れるほど家を空けた覚えもない。
不思議な感覚に妙な浮遊感を感じていたが誰かから声がかかった。
「起きたの? お兄ちゃん」
声をかけてきたのは案の定分かりきったことに、一緒に家に住んでいる可憐だった。
「ああ、起きたよ。 ゴメンな、晩飯送れてさ。いや、あれだね、暁と一緒にゲーセン行ってたからであって、決して可憐の作ってくれた晩御飯を―」
必死になって言葉を繋ぐ紅鷹に可憐は哀れみの視線を向けていたのを紅鷹は気づいた。
「どうした可憐?」
すると、可憐はまるで記憶喪失の人に真実を伝えるかのような顔で言った。
「今、何月何日か言える?」
「は? そんなの6月29日だろ、いや30日か」
ははは、となに記憶喪失のやつに聞くような見たいに言ってんだよ笑いながら紅鷹は言った。
その否定を肯定するようにするように可憐は口を開いた。
「ううん、違うよお兄ちゃん。今は8月の30日だよ―」
空白の二ヶ月間。
自身の見た悪夢。
そして、可憐の懐に感じる何か不可解な温もり。
それを理解するのには二年の月日を有することになる
ヤバイ……愛用中のノーパソガ壊れた。
今は、親のを使ってるけど、いつ復活できるか…とりあえず16日までは予約投稿してあるのでもんだいないのですが、それ以降はどうするべきか。
ていうか、自作パソコン作ってあるけどbootができない。
自作を進めてきた友達は原因がわからないというし、なんか不幸だ。