第十二話
再開!!
おまたっせしました。
いや、文才とイベントを引き起こす力が無いのでかなりすっ飛ばします。
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俺が城を出てからの初めての街にたどり着いた。
以前、リリスとエリスとの買い物のときに城下町で、服や、武具、この世界に存在するモンスターの毒を解毒する薬などの調度品、旅に必要になるものを買いに行って以来の街ということで多少興奮していた紅鷹は、この街には一体自分の知らない事がどれくらいあるのだろうか気が気でならなかった。
案の定、期待は外れることなく自身の想定の範囲内を軽くオーバーするくらいで、好奇心が沸いており、すぐにでも街を徘徊したい気分だった。
そんな様子の紅鷹をみた護衛Aがこう言った。
「先にエリスさんと街を見に行ってもいいですよ。馬車は私が予定通りの宿に預けますので」
護衛の言葉に感謝し、直ぐにエリスを引きずるようにして馬車を降りた。
特に行きたかったのは飲食店だった。
なにせ、今は日本人じゃなくてもおなかがすく昼時だからである。
それに、文化の違いが合ったとしてもやはりおいしいものはおいしいはずだと思っているので、それをエリスに伝えた。
すると、エリスはそんなことかと軽く流すように答えた。
そのことに紅鷹は多少疑問に思ったが、ある程度位の高い騎士だったこと思い出し、それなりにうまいもんを当たり前のように食ってたのかなと思っていた。
案内されるようにこの街を回った。
途中、野外経営の店があったのでおねだりをしたところ、エリスは少しむっとしたが、「しょうがないな」と、まるで親が子にするようなやり取りだった。
そして、着いたのが「ユーミリ」。
由来はわからないが、なぜかカタカナというところに異世界を感じて冷めかけていた興奮がぶり返すように心の奥底から燃え盛ってきてさらにうっとうしくなっていた紅鷹であった。
食事の後、自分たちが泊まるであろう宿に向かい護衛Aと合流した。
そのときの護衛は、なぜかキョロキョロしており、どこかに集中しているようだった。
その様子に気になって俺は問いかけた。
「何かあったのか?」
「いえ、なにも」
そうか、と軽く返してその場は特になにもなかった。
しかし、後でこの会話を後悔するだろう事をまだ知らない。
★
一泊した後、すぐに街を出た。
紅鷹的にはもっとはじめての異世界の旅を楽しみたいと思うところがあったのだが、魔王討伐という大義名分を与えられた身であってその様な行動は許されなかった。
ほとんどノンステップで荒野を駆け抜ける馬車の中に彼らはいた。
「でも本当に急いでいるんだな」
「あたりまえですよ。誰もが早く魔王という恐怖の対象を消し去ってくれるのを待ちわびているのですから」
「俺たちのことはどうでもいいのか?」
そう、もっとも疑問に感じたのがそこだった。
なぜ、この世界の人々のために俺たちは誠心誠意を尽くそうとしているのに、実際に救ってもらうはずであろう人たちが俺たちを急かすのか。
仮にも死というものが高確率で迫ってくるであろう依頼のはずなのに、それ相応のものが保障もなしなのか。
「魔王を倒せば英雄。倒せなければ名を知られること無くはじめから存在すらしていなかったようにされるだけ。特に貴方のような異人はね都合がいいんですよ」
「そうか、それでも俺にはそれ以外目的も無い。無事帰ってこれたとしてもまだ日本に帰るなんて決めてない。まだ、俺には選択の余地がある。選択はそのときそのときにあるけれど決してそれを選びなおすことはできないのだから、慎重になるさ。まぁ――」
すべてを切り捨てるように言う。
「――とりあえずは魔王を倒してからな?」
それぞれが反応を示し何かを考えているようだった。
正直、紅鷹本人かなり難しいことを言ってしまって自身も自分の言ったことをわかりかねているのだ。
はたして紅鷹は自分の言ったことがしっかりと誰かに伝わるのを分かっていっているのか、それとも口から出た偶然なのかはまだ、分からない。
次回は3日の予定です。
さらに次は6日です。
その後は、二日おきに投稿を続けます。