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第6話:デュエルスタンバイ

ウィルたちの集団を率いる形で、

俺とぴっぴが先導しながら、来た道を辿っていく。

といっても、ぴっぴは集団のあっちこっちに話しかけたりしているので

基本案内役は俺一人だ。


しかし、改めて見ると異様な集団だ。

先頭のウィルは見た目は人間のようだが、それ以外はおかしいところだらけだ。

後ろに控えるメイド服を着こんだ二人は人間のようだが、大きなハサミと鍵盤?を持っている。

一体、何用なんだ?

人間ぽい種族はちらほら見えるけど、それ以外には

見た目が魔物だったり、魔物なのかどうかもよくわからない異形なものがぞろぞろ歩いている。

特に気になるのが、メイドの後ろを歩く―


「……なあ、あんたは、魔王だったりするのか?」


「うぬ。正確には――『召喚されし、いにしえのデーモン様』だ」


尊大な声があたりに響く。

天を衝く角、禍々しい髑髏の面、そしてカラスのような不気味な翼。

その立ち姿は、かつて俺が勇者たちから聞いた魔王そのものだった。


「儂らは、かつて悪魔族最高ランクの★6として、それはもう世界中に恐れられたのだ」

 デーモンは腕を組み、かつての栄光を噛み締めるように語る。

「だが時代が進み、新カードやインフレ能力が続々と現れ……

気づけば誰のデッキにも入らなくなり、『不要データ』としてここへ捨てられたのだ」

 そこへ、メイド服の双子が容赦のない追撃を放つ。


「弱体化乙」

「ざーこ。時代遅れのバニラカード」

「ぐぬぬ……っ!」


 魔王――いや、デーモンは耐えきれずに膝から崩れ落ち、そのまま地面に突っ伏した。


「初期は! 初期は強いと評判だったのだ……っ!

今の環境がおかしいのだ、バランス調整をミスっておるのだ……!」


 四つん這いのまま、拳で地面を叩き、悔し涙を散らす。


「こらこら、あまり虐めないの」

 ウィルが苦笑しながら二人を諫めた。


「はーい、リーダー」

 揃って生返事を返すメイドたち。デーモンは震えながら呟く。


「儂が弱いのではない……時代が狂ったのだ……」


 あまりの不憫さに、俺はいたたまれなくなって声をかけた。

「まあ、よろしくな。ええと、召喚されし……」

 挨拶をしようと右手を差し出す。……ええと、名前は何だったか。


「長いから、私たちは『デーモンさん』って呼んでるわ」

「ねー、でーちゃん」

 メイドがケラケラと笑う。

おい、威厳も名前も、原型を留めてねえじゃねえか。


 すると、ぴっぴがのそのそと歩み寄り、絶望に沈むデーモンの目の前に立った。


「よろしくっす、おじいちゃん」

 がしっ、と元気よくその手を握る。


「お、おじい……?」

 その言葉がトドメだった。

 いにしえのデーモンの翼はヘロヘロと力なく垂れ下がり、

髑髏の仮面の奥から、滝のような涙がボロボロと溢れ出した。


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