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4話

「ここか……。我が同胞が、天界の毒に侵されたという忌まわしき場所は」

アルカードの部屋のドアを蹴破って(本日二度目)入ってきたのは、漆黒のロングコートに身を包んだ男。吸血鬼界のエリート、執事のセバスでした。

「アルカード様! 目を覚ましてください! あなたが今朝、SNSにアップした『朝のラジオ体操で心も体もリフレッシュ☆』という投稿、魔界で大炎上しておりますぞ!」

「よせ、セバス……。止めてくれ。私の指が、勝手に『いいね』を押し続けてしまうんだ……!」

アルカードは必死に抵抗していましたが、ミカの「友情の魔法」は強力でした。彼のスマホの画面は、今や子猫の動画とライフハック記事で埋め尽くされています。

「おのれ天使め、我が主をここまで骨抜きに……。こうなれば、吸血鬼の誇りを取り戻す『荒療治』を執行いたします!」

セバスが取り出したのは、魔界の禁忌アイテム『徹夜明けのカップ麺・特盛り(背脂マシマシ)』。その臭い(香光)を嗅いだ瞬間、アルカードの聖なるオーラが激しく揺らぎます。

「くっ……! その暴力的なまでの塩分とカロリー……! 浄化された私の血管が、ドロドロの快楽を求めている……!」

「さあ、召し上がれ! 健康診断の結果を恐れぬ、真の闇を!」

そこへ、買い物帰りのミカが「ただいまー!」とボウルを持って乱入してきました。

「あ、アルカードさん! ちょうどいいところに! デザートに『手作りヴィーガン・マシュマロ』作ってきたんですけど、食べます?」

「「……!!」」

左手には、血を汚し、胃もたれを誘発する背脂マシマシ麺。

右手には、魂を洗浄し、美肌へと導くオーガニック・マシュマロ。

「食べるんだアルカード様! 闇に堕ちるのです!」

「食べてくださいアルカードさん! 徳を積むんです!」

「あああああ! 私は……私は…………どっちも食べる!!」

アルカードは両方を交互に口に詰め込みました。その結果、彼の体の中で「究極の不摂生」と「至高の健康」が正面衝突し、部屋中に「いい匂いだけどなんか胃が重いピンク色の煙」が充満。

「……もう、どうにでもなれ……」

煙が晴れると、そこには「背中に白い羽が生えているのに、顔色だけは土色で、右手でゴミ拾いトングを持ち、左手でジャンクフードを食べる」という、属性が渋滞しすぎて誰も近寄れない新種の怪物が誕生していました。

「アルカードさん、なんだか……情報量が多いですね」

「黙れ! 私はもう、光でも闇でもない! 私は……『グレーゾーン』だ!!」

こうして、彼のアイデンティティ崩壊はさらに加速していくのでした。




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