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第七話 チート

 後ろを振り向いたサクの目の前には、ボコボコにされたタコヤキが居た。


 「これで帰ったらおっざんに何言われるかわがらない… どうせならこごでじんでもら…」


 喋るのもやっとの状態で、ボク達に手を伸ばすタコヤキ。ボクが嫌な予感がしたその時、サクはフルパンチをお見舞いするが、すでに何かをされたのは確かだ。なぜなら、ボク、サク、田嶋くんの姿が見えなくなったからだ。死んでもらうと言うのは、本当の死ではなく、ステルス状態になり現実的には死と変わらない状況を作るのが目的だったのだ。確かにこれでボクが死んだと伝われば、王様は諦めるかもしれないな。能力発動した後、タコヤキはバタッと倒れた。それでもボクらはステルス状態になったまま。超能力は発動した本人が解除をするまで効果は消えない。そのまま本人が亡くなったとしてもね。タコヤキは気絶してるようだけど。さぁどうする。まずは…


 ガシャンッ


 「あー寒かったああああ 春だから暖房入れてないのに、暖かすぎるぅぅ… ヘッックチュンッ!! でもまだ寒気が…」


 ボクがブルブル震えていると、事務所から膝掛けを貰ってきたサク。西口さんは一体どう思っているのか。ボクが戻って来ないのに、客のサクがウォークインの方へ行くことを。

 

 「はるみ、何で密室になる所に居たんだ」


 真剣に話してくるサクだが、


 「仕事だからだよ!!」


 寒さにだんだん苛々して来てボクは強く言い返した。


 「まぁ、仕方ないか。でもな、俺はこのコンビニでは学校みたいに一緒に居られないんだ。落ちたからな。だから…」


 「ちょちょちょ! ちょっと待って。もしかして、コンビニも一緒に働こうと思ってたの? それは息詰まるよ」


 「あー、ほぼ丸一日ドキドキして心臓がもたないからか」


 「どれだけポジティブなんだよ! うー、寒い… あ、電気ストーブ」


 ボクは事務所まで行くのも面倒くさくなって、超能力で生み出したストーブを、直感を信じて3人の間に置いた。


 「痛っ!」

 「サクいたの?そこ。 ごめん、どこにいるか見えないから」

 「この見えなくなったの、結構面倒な事になったね。このままだと、サクさんが未成年二人を誘拐した事件になってしまうかも」


 田嶋くんは落ち着いた声で、すごいヤバい事に気づく。


 「それはやべぇな。 いくらイケメンでも未成年の誘拐は許されねぇ」


 「いや、そもそも顔関係ないし」


 田嶋くんの顔が見えなくてもきっと引き攣った笑みをしているんだなぁと思っていた頃。


 「はるみさん、お久しぶりです」


 目の前にアランが現れた。ボクの事は見えないはずなのに、なぜかすごく目が合う。


 「お、お久しぶりです。 って、ずっとは居られないって言ってたけど、本当に全然こっちに来ないじゃないですか!」


 アランは孫の顔を見るように優しい顔で、


 「申し訳ないです。こちらも色々忙しくて… サクさんが居てくれて本当に助かりました。で、はるみさんとサクさんの他に、貴方は誰でしょうか?」


 きっと田嶋くんの事だろう。変な噂が立たないように口封じでもしようとしてるのか。


 「僕ですか? 初めまして、田嶋 優 と申します。 はるみさんとは同級生で、僕のストーカーの件で協力してもらってたんです」


 「なるほど。はるみさんにはお友達が居ないとお父様とお母様から聞いておりましたが、お友達居たんですね。安心しました。目を見ただけで分かります。この人ははるみさんを大事に思っている、はるみさんを陥れるような人では無い事をね。私は頼み事をしてる立場でありながら、はるみさんの援護はなかなかできません。田嶋さん、貴方も協力してくれますか?」


 そこから田嶋くんに事情を話すと、あの日の情景と繋がった事で理解し、協力に賛成した。だが、ボクは正直、田嶋くんは共に行動しない方がいいと思う。能力があってもボクはこのザマ。誰かに助けられないとやっていけない。その状態で、無能力者の田嶋くんが同行すると助けれる自信がない。心強いサクが居るが、前線で戦ってもらう事になるとボクしか守れる人は居ないからだ。


 「わかりました。蒼井さんには何年も酷い事をして来たので、その恩返しができるキッカケが出来て、僕も嬉しいです。無能力者ですが、何も知らない僕だからこそ分かることもあると思うので、サポート頑張ります」


 「ありがとうございます。私も危険信号を感じればすぐに駆けつけますので。…さて、なぜこの季節にストーブを?」


 アランは首を傾げ顎を軽く掴む。


 「アランはボク達が見えなくなっているのに気づいているよね? それはなんでなの?」


 アランの能力の情報がまだ無い。きっとこれは、前回ボクがタイムチェンジをする以前に、タイムチェンジザ•ワールド放った事も記憶に残っていた。本当ならタイムチェンジをした時点で、以前の記憶は無いはずなのに。


 「私の能力は、他の能力を無効化し、干渉できる能力"ノンパワーインター"です。なので、御三方のステルス状態でも干渉できると言うことです」


 アランは平然と話しているが、これって凄くないか?


 「それ、チートじゃん。俺好きーそれ」


 サクはウキウキした声だ。ボクもチートすぎて主人公なのが恥ずかしいぐらいだ。ん?、ボク主人公なのか? 今のところ活躍してないし… あー怖い怖い。考えないでいよう。


 「確かにチートと言われてもおかしくないですが、その代わりに攻撃力は全くのゼロなので、生き地獄ってところですかね。なので、御三方に、私が駆けつけても攻撃力は上がりません。防御に専念すると思っていただけたら助かります」


 アランはいつもニコニコして、感情が読めない。ヴァイロンがすぐに引き返したのだって、攻撃されないのならもう少し足掻いても良かったはず。何かまだ隠してるはずだが、話さない事を無理やり聞いても教えてくれるはずがない。また時期を見て聞いてみる事にしよう。


 その後、ボクら3人のステルスを解いてもらい、倒れたタコヤキはアランがアザーへ連れて帰ってくれた。タコヤキが失敗したことによって、新たな強敵を用意される事、さらにサクも捕獲対象になったと言い残して…

読んで頂きありがとうございます。

引き続き宜しくお願いします。

応援していただけたら幸いです。

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